ある意味、一獲千金アート。
いつも価値が揺れうごき、ワクワクすることもあれば、本気で向き合う人の頭を悩まされるものといえば!? ……いったい何の話をしているかというと、仮想通貨のことです。ちなみに、アートもこれに似たような一面がありますよね。
さて、このふたつのテーマをレゴブロックで表現しようとするアーティストがいます。Andy Bauchさんが手掛けたこちらのアートは、ビットコインが表されているんだそうです。
でも、どれも単なる抽象画じゃありません。それぞれの作品に仮想通貨ウォレットの秘密鍵が隠れていて、読み解けた人は回収できるというカラクリつきのアートだというのです。なんと大胆な…!
LAにあるCastelli Art Spaceで公開中の「New Money」では、あらゆる種類の仮想通貨の秘密鍵になっている作品が展示されています。Bauchさんが2016年に購入したビットコイン、ライトコイン、その他のアルトコインがそれぞれ異なるウォレットに保管してあり、ウォレットには文字や数字を含む秘密鍵が暗号化されているんだとか。
秘密鍵はもともとアルゴリズムによってパターン生成されたもの。アートの要素を組み入れながらイメージを出力するにあたって、アルゴリズムで多少の調整を施しているそうです。作品が完成後には、ちゃんと秘密鍵が得られるか、数式でさかのぼりながら処理することで、確認をとったんだそう。
作品には値札が付けられ、タイトルには購入当時の価格と、どの仮想通貨なのかが記載されています。さらに展示スペースにはそれぞれのウォレットの時価をライブフィードで公開。市場と展覧会がひとつの場所に集結したような…オークションともちがって、現代的というか、想像しただけでスゴい空間。
これらのアート作品は先日、すべてあわせると1万ドル(約107万円)相当の価値がありましたが、仮想通貨市場は移ろいやすく、その後およそ9,000ドル(約96万円)に下落しています。なお、すべての作品とウォレットの秘密鍵はウェブ上で公開されていて、購入者以外でもコードを読み解いた人がウォレットの中身をもらえる仕組みになっています。もしやこれはチャンス…?
「私がやっていることの多くは、新しいテクノロジーとヒューマニティーとのギャップを埋めようとするものです」と、Bauchさん。彼が自身のアートに好んでレゴを使うのは、ピクセル画のようなニュアンスのテクスチャを好んでいるからだそう。また、大量生産されているレゴを利用するのは一種のメタファーにもなっているんだとか。彼が手がけたテクノロジーと仕事を奪われた人たちのポートレートなどはそのいい例でしょう。
ブロックチェーン技術や仮想通貨に興味を持つ人々は、アートの世界でも近年増えてきています。
Tumblrで行なわれたプロジェクト「Jogging」が話題になったBrad Troemelさんも、数年前に物理的な"ビットコイン"アートを手掛けています。こちらは本物の秘密鍵が描かれていて、その作品の購入者はコインの所有権を引き継いだのだとか。秘密鍵を解いて現金化すれば膨大なリターンが得られるわけですが、それと引き換えにアートはグチャグチャになってしまいそうですね。なんだか中身のお菓子が全部抜かれて穴だらけになったクリスマスのアドベントカレンダーが頭に浮かんできます…。
今回のBauchさんの作品、読み解ける人は出てくるのでしょうか? 彼いわく、作品の購入者には特別にヒントを教えてくれるみたいですよ!
Image: Andy Bauch
Source: Castelli Art Space, Motherboard, Instagram, Artsy, New Money Crypto Prices, Tumblr, Artspace
Rhett Jones - Gizmodo US[原文]
(Rina Fukazu)