Appleが密かに準備中のウェブベースでアプリの購入・配布や端末の監視が一括で可能となるツール「Apple Business Manager」とは？

管理者がデバイス設定を構成し、アカウントを作成してそれぞれにアプリや書籍を購入・配布することが可能になるウェブベースのIT管理ツール「Apple Business Manager」のベータ版をAppleが密かに公開しています。Apple Business Managerは2018年春にも本格的に運用される見込みであるとApple関連メディアのAppleInsiderが報じ、その正体に迫っています。

Apple's Business Manager provides web-based IT management, launches this spring
https://appleinsider.com/articles/18/04/01/apples-business-manager-provides-web-based-it-management-launches-this-spring

既存のモバイルデバイス管理(MDM)ソリューション上に構築される新しいビジネス向けIT管理ツールは、Volume Purchase Program(VPP)およびDevice Enrollment Program(DEP)の機能を統合したようなものとなり、それでいてウェブベースのポータル上でさまざまな運用が可能となります。VPPとDEPについては以下のページに詳細が記されており、簡単にまとめると、企業が仕事で使用するためのアプリケーションや書籍などを一括購入し、社員の使用するiOS端末に効率良く配布するためのツールがVPPで、一括導入された端末の設定をより簡単にし、管理をより高度にするためのツールがDEPです。

ビジネス - プログラム - Apple（日本）

VPPとDEPという既存のビジネス向けツールと同じように複数のアカウントを作成したりデバイスを一括管理したりできるというのは、2016年に登場した教育現場向けのユーザー・デバイス・コンテンツ管理ツールのApple School Managerと非常に似ている、とAppleInsiderは記しています。なお、Apple School Managerもウェブベースのポータル上で一括管理が可能なツールとなっているので、AppleはすでにApple Business Managerを実現するためのツールを揃えていると言えます。

Apple School Managerに付いては以下のページで詳細をチェック可能です。

教育 - ITと導入 - Apple（日本）

近年Appleは教育・ビジネスの分野に力を注いでおり、つい先日には教育向けイベント「Let’s take a field trip.」を開催し、「教育」に対するAppleの取り組みを全世界に向けてアピールしています。

iPadネイティブ世代の子どもたちの進化した学習スタイルがすごい - GIGAZINE

Appleが企業向けに展開しているビジネスの柱のひとつが「教育」関連のツールであり、もう一方の柱として期待されているのがビジネス向けのツール。ビジネス向けツールの足場を広げるため、Appleは2014年にIBMと企業のモバイルを一変させるためのグローバルなパートナーシップを締結。さらに2018年3月には、ビジネス向けアプリケーション開発の流れを加速させるために「IBM Watson Services for Core ML」を発表しています。

また、Appleがエンタープライズ向けに提供しているMDMソリューションは、Jamfなどのサードパーティー製の管理ソリューションと比べると、しばしば貧弱で「改善の必要性があった」とAppleInsider。いまや900万台以上のApple端末を管理しているというJamfは、近年Appleがエンタープライズ向けのサービスに力を入れる中で、2017年には過去最高の成長を見せています。Appleがこの流れに取り残されてしまわないためにも、ビジネス向けツールをアップデートしてApple Business Managerをリリースすることは必要不可欠と思われます。

なお、Appleが準備中のApple Business Managerのベータ版についてはPDFで詳細をチェック可能となっています。