『E.T.』『ジョーズ』『ジュラシックパーク』...みんな大好き、不朽の名作を世に送り出してきたスティーブン・スピルバーグ監督。
昨年12月に71歳の誕生日を迎えた彼ですが、どうやら最近のメディアでの発言によって巷からは「あれ、老いてきてる...?」なんていう声も。もちろん年齢なんてカンケイないはずですが、最近のカルチャーにはちょっぴりコンサバな一面があるようです。
「ストリーミング先行映画はオスカーに相応しくない」と発言
先週、Netflixなどのストリーミングサービスのために撮影された映像について「エミー賞に匹敵しても、オスカーではない」と発言したことが話題になっています。
おそらく特定の受賞要件を満たすために買収した劇場で、数日間上映しただけの映画について不平を言っていたと考えられますが...。それでもこの発言に対して、『West World』のような人気ストリーミングドラマよりも映画のほうがずっと名高く優れていると示唆し、ひと昔前の映画 VS テレビの対立構造を彷彿とさせるようだという批判の声もあがっています。
一方、最近では映画とドラマの垣根なく演じる名優たちの活躍も目立ちますよね。
たとえばスピルバーグよりも数多くオスカーを受賞しているメリル・ストリープはHBOドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』シーズン2への出演契約が決まっていて、アカデミー助演女優賞を受賞したばかりのアリソン・ジャニーだって、シットコム『Mom』に出演続行することになっています。映画とドラマ、ストリーミングとのあいだにギャップをつくるのは、誰にとって必要なのでしょうか?
今後、スティーブン・スピルバーグ監督のVR映画は...?
スピルバーグ氏はまた他方で、VR(バーチャルリアリティ)についても後ろ向きな発言を残しています。先日行なわれたFANDANGOの取材によると、スティーブン・スピルバーグ監督のVR映像作品が今後あり得るか聞かれた際、次のような課題があるとの見方を示しました。
VRでは、観客の意識をどこに向けるか働きかけづらいことから、物語のメッセージを伝えるのが難しいと思います。観客は見回すことだってできるわけですから、どこを見て、どこを見ないようにするかはとても難しく、完全に要点を逃すことになりますね。ストーリーを伝えるエンターテインメントとしては難しいです。
各センテンスに"hard"という言葉を用いながら、いかにVRで映画のメッセージを伝えづらいか述べています。
たしかにVRの世界では、ストーリー性の強い映画制作はまだ初期段階にあるといえます。たとえばカメラに向かって電車が突っ込んできそうになるシーンに、観客がワッと驚く...というような、初歩的な場面をVRでつくることは可能です。
特に洗練されたことができるわけではないですが、チープなスリルが味わえるのはVR映像ならでは。それでもやはり、スティーブン・スピルバーグというハリウッド映画界の巨匠が指揮をとるのは現段階で難しいものだと考えられているようです。
米GizmodoのAlex Cranz記者はこれについて「『まだカセットが使えるのに、なんでネットでストリーミング音楽なんて使うんだ』と怒り狂う親みたい」と、手厳しく非難。
個人的にはそこまで言うか...と思いますが。映画界の中でも外でもテクノロジー推進派とそうでない人たちはいますが、もしかするとそれとは関係なくスピルバーグ氏はただ「彼の知っている、昔の映画界」を大切にしようとしているだけなのかもしれません。最近のメディア文化がかつてとは違うかたちで発展していくなかで、伝統を重んじる人と新しきを追及する人のどちらもあって良いと思うんですけどね。
Image: YouTube
Source: FANDANGO
Alex Cranz - Gizmodo US[原文]
(Rina Fukazu)