以前ハンズオンで、Pebbleの魂を受け継いだスマートウォッチと評された「Fitbit Versa」。米GizmodoのPatrick Lucas Austin記者が改めてレビューしています。性能面では一長一短ある感じで、いちばん評価されているのはそのデザインです。
私がFitbit Versaを腕に巻いた約1時間後、同僚が「いいスマートウォッチだね」と言ってきました。しばらくすればあなたも身につけられるようになるこの新しいフィットネストラッカーは、見るに堪えないデザインだった前モデルの、歓迎すべき最新版です。200ドル(約21,500円)のVersaはフィットネス愛好者やカジュアルアスリート、健康マニアたちのエクササイズ用(でバッテリーが長持ちする)ウェアラブルへのニーズをもっと満たしてくれるでしょう。でも、利用できるアプリが不足し、価格がほかのスマートウォッチと近しいことも相まって、ウェアラブルとしてより有能になったにもかかわらず、より多くを求めるオタクたちには売りにくいものになっています。
少なくとも、Fitbit Iconicよりは魅力的ですよ!
Fitbit Versa
・これは何?:Fitbitの第3世代スマートウォッチ、初めての魅力的なウェアラブル
・価格:200ドル(約21.500円、NFCを利用したいなら230ドル)
・好きなところ:高速なインターフェースと落ち着いたデザイン。フィットネスっぽいデザインが嫌な健康オタクにはパーフェクト
・好きじゃないところ:貧相に感じられるところ。とりわけ、Apple Watchの艶やかさに比べると。また、音楽関連の操作で本当にイライラさせられるところ。
前モデル・Fitbit Ionicはデザインの観点では完全なる失敗でしたが、Versaは落ち着いた、出しゃばらないデザインによってそれを改善しようと努めています。Ionicの角張ったSFチックなデザインとも前々モデル・Fitbit Blazeのぎこちないデザインともさよならし、アルミ製で色は黒基調というデザインに、滑らかな角が何よりも増して「私の最初のスマートウォッチだ!」と主張するVersaとご対面。色はブラックに加えて、ローズゴールドとシルバーも選べ、NFC搭載のSpecial Editionにはローズゴールドとグラファイトがあります。
そんな変化がありましたが、Versaは当たり障りのないデザインに見えます。四角くて丸い形は同様に退屈なApple Watchに似ているのに、それほど艶やかではなく、ベゼルのせいで同形の競合製品よりも本体が広くなってしまっています。厚みはVersaのほうが薄いんですけどね。
Google Wear OSを採用した丸いスマートウォッチの中には、Versaのスタイルに一致するものはありません。そして、コンピュータにとってファッションは未だ悩みの種、有名ブランドとその高級ファッションデバイスはバッテリーの短さに苦しみ、ハードウェアとしては非力。Versaはいくつかの派手なフィットネスバンドのように注意を引くこともなくランや休息を記録するものを探している人のための代替デバイスである必要があります。
Ionicの取り柄は、すばらしいバッテリーの持ちにありました。1日または2日(あるいは6日)外出してチャージなしでも、腕に巻かれた無用の長物と化すことなく利用できたのです(訳注:Ionicのバッテリー持続時間は公称最大5日間)。Versaの推定バッテリー持続時間は4日以上。少し短くなりましたが、価格の近いApple Watch Series 1の「18時間まで」に比べると感動的です。「より長く使える」が意味するのは、より多くの時間、睡眠や平均心拍数などの情報を収集するのに使えるということ。充電ドックに置く時間も短くなります。
充電ドックに触れておきましょうか! Versaの充電ドックはスマートウォッチ本体をはめ込んで固定して利用しますが、これがかなりうっとおしいんです。電源ケーブルが浮いてしまって、テーブルの上にぴったりと落ち着けるのに一苦労です。対照的に、Ionicの充電ケーブルは台座の底面につながっています。
どちらの充電方式もNokia Steel HRやApple Watchのそれに劣っています。対抗馬たちはともにそんな風になることはありません。加えて、Ionicの3極ケーブルはVersaの4極コンセントと互換性がありません。
しかし、長いバッテリー持続時間は私がほとんどこのわずらわしさと向き合わなくてよいことを意味します。小さな奇跡ですね。
Versaの進化した点としては、インターフェースがあります。すべての関連するヘルスデータを時間とともに、カスタマイズ可能な文字盤上で見られます。スクリーン端でスワイプすれば、通知も見られますし、歩数計や心拍数、消費カロリーの上に、その日のヘルスデータを表示し続けることもできます。スワイプとタップでスマートフォンアプリ経由でVersaにインストールしたアプリを再配置したり使ったりすることもできます。女性向けに生理周期トラッキングも将来的に追加される予定です。
VersaはSlackのようなメッセージサービスの通知とともに、テキストやカレンダーのリマインド、電話の通知をサポートしています。しかし、返信については問題外です。少なくともiOSユーザーにとっては。クイックリプライ機能は、ワンタップでテキスト返信できるものですが、Androidユーザーのためのものです。
遅延はほとんど問題ではありません。グループチャットで38のテキストメッセージを受信したとしても、です。この点において、VersaはApple Watch Series 1を打ち負かしています。Apple Watchは、アプリを開いたり、スマートホーム機能を利用するとなると、ひどく遅いです。
Versaは本当に気になるデータ──フィットネスデータを表示するという点でもすばらしい仕事をします。
スマートフォンアプリのおかげで、自分のフィットネスデータをチェックするのは、どこでもどんな風にでも簡単です。ダッシュボードは簡単に編集でき、いちばん気になるデータを強調するよう再配置できます。私は、心拍数と睡眠データを表示し、摂取カロリーと水消費量は切り捨てています。
Fitbitは文字盤とアプリが合わせて550以上あり、IonicとVersaの両方で使えるとしていますが、この記事を書いている時点では使えるものは多くありません。もっとも有名なものとしてはスターバックスのアプリがすぐに使えるようになり、Versa上のスターバックスカードのバーコードをスキャンしてアイスカプチーノを買えるようになります。
550のデザインとアプリはFitbitがPebbleとそのアプリプラットフォームを獲得したことによる大きな恩恵です。Fitbitは米Gizmodoに「Ionicで利用できるアプリは開発側のいくつかのアップデートのあと、Versaでも動くようになるだろう」と語っています。ほかにも、StravaやFlipboardのようなアプリがあります。どういう吹き回しかNew York Timesもありますが、今のところそれらがストアにおいていちばんのビッグネームというのはとんだがっかりです。
SpotifyもApple MusicもGoogle Play Musicも、あるいはTidalのサポートもなく、ユーザーが聞ける音楽といえば、Versaに自分で読み込んだ楽曲またはVersaが現在サポートしている音楽サービスであるPandoraかDeezerで聴ける楽曲だけです。また、NFCで支払いをしたいなら、230ドルのVersa Special Editionを買い、ファイナンシャルパートナーリストの中から自分の銀行を見つけてFitbit Payに登録しなければなりません。直感的に音楽再生ができないスマートウォッチを、本当にスマートウォッチと見なしていいんでしょうか?
あなたはVersaをFitbitの三度目の正直だと考えるでしょう。ある意味、その通りです。Versaは過去の製品の上に実現した、めざましい進歩です。派手にならない程度に洗練され、バッテリーは週間労働時間(のほぼぜんぶ)をカバーするほど持ちます。心拍数から睡眠まですべてをトラッキングし、もしスマートフォンを置いてランに出るなら、BGMを流すこともできます。しかし、Versaはスマートウォッチとは言えません。少なくとも、すばらしいユーザーインターフェースを利用するアプリが公開されてくれないことには。また、ラン中の位置データが欲しいなら、スマートフォンを持つ必要もあります(訳注:VersaはGPS非搭載)。
見せびらかすに値する超スタイリッシュなスマートウォッチは300ドル以下にはありませんが、Versaはそのポジションにぐっと近づきました。会議に遅れることを知らせる前に、どう睡眠をとるべきかを見直させてくれます。もしあなたが私のように、自分の健康について知り、有益な決断をするのに使えるデータを集めるウェアラブルを求めているなら、その一方で電話にすぐ出たり次のアポイントに遅れないようにするのに十分なほどスマートなウェアラブルが欲しいのであれば、Versaを買うべきです。
まとめ
・フィットネストラッカーとスマートウォッチのお得なセット。交換用バンドが標準のブラックラバーバンドから乗り換えるのに便利です。
・Samsung製スマートフォンを利用していないAndroidユーザーにいいウェアラブルです。
・プレイリストを転送するのに1時間かかるので、音楽関係は貧弱です。
・アプリ選択の幅がないのはひどいですが、フィットネス用なら…うーん、時間が経てば変わる…かな。
・Apple Watchの代替として十分に洗練されています。みんなでお金を出し合って買うなら、Pixelが大好きないとこの誕生日プレゼントとしていいかも。
・TimerとHue Lightsが基本的に便利なアプリのすべてです。
Image: Gizmodo US
Patrick Lucas Austin - Gizmodo US[原文]
(かみやまたくみ)