敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ。今回はアメリカで人気トップ5に入るウエディングサイト、ZolaのCEOを務めるシャンリン・マーさんの仕事術です。

結婚式は1つのプロジェクトと言えるので、優れたプロジェクト管理ツールがあるととても助かります。彼女は友人たちに結婚の贈り物を買うことにストレスを感じた経験から、ノブ・ナカグチさんと共同でZolaを設立しました。ノブ・ナカグチさんも、自分が結婚する際にウエディング・レジストリ―(結婚する際に欲しい贈り物リスト)を作るストレスを体験しています。マーさんから会社経営や私生活、「自分がいなくても成り立つようにしていく方法」についてお話を聞きました。

居住地:ニューヨーク市

現在の職業:ZolaのCEO兼共同設立者

仕事の仕方を一言で言うと:力を合わせて

現在の携帯端末:iPhone X

現在のPC: Mac

── まず、略歴と現在の仕事に至るまでの経緯を教えていただけますか?

私はシンガポールで生まれ、オーストラリアのシドニーで育ちました。 ほとんどの少女が大人になったら先生、医者、宇宙飛行士になりたいという夢を持っているようですが、私はシリコンバレーの記事を読んで、Yahooに代表されるアメリカのインターネット企業に畏敬の念を抱き、大人になったらYahooの共同創業者であるジェリー・ヤング氏になりたいと思っていました。オーストラリア時代に話を戻すと、当時の私はアメリカに移住した人は誰も知りませんでしたが、いつかテクノロジーの分野で働きたいと夢見ていました。

ジェリーのようなリーダーたちには、1つの共通点がありました。それはスタンフォード・ビジネス・スクールです。私は幸運にもスタンフォード大学に入学して、卒業後に初めて就職したのが、ご想像通り、Yahooです。約2年間そこで働いた後、ニューヨーク市のGiltに転職しました。スタートアップの最初のプロダクト担当者として採用され、最終的にはゼネラルマネージャーになり、Giltの食品飲料部門であるGilt Tasteを設立しました。

大規模な会社の中でミニ設立者になる機会に恵まれたと思います。Giltは起業するおもしろ味を知った場所であり、私の現在の共同設立者であるノブ・ナカグチさんとZolaの会長であるケビン・ライアンさんに出会った場所でもあります。Giltの次は、短期間、Chloe + Isabelという別のeコマース会社で働き、いよいよ2013年に自分の会社設立に専念することにしました。

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共同設立者のノブ・ナカグチさんとマーさん
Image: Lifehacker US

Zolaは、個人的なニーズから誕生しました。私は多くの結婚式に出席して、結婚する人たちへのギフトを山ほど買っていましが、正直言って結婚のお祝いギフトを買うことがいかに大変で、心をこめられないものか気づき、愕然としました。ノブさんにこの気持ちを話したところ、彼も何年か前に自分が結婚したとき、新婚夫婦の立場でウエディング・レジストリー(結婚するカップルがもらいたい物リスト)を作るときに体験した苦労を思い出しました。 私たちはそれまでも一緒に会社を設立することを考えていましたが、これは大きなチャンスになるかもしれないと思いました。少しばかりリサーチしてみたところ、ウエディング市場は掘り出し物であることがわかりました。アメリカのウエディング産業の規模は900億ドルに上り、そのうちの190億ドルがウエディングギフトに使われていることを認識している人はほとんどいません。私たちは、お互いの経験を製品やデザインに活かすことで、最適なソリューションを提供できると確信しました。

──最近の1日の流れを教えてください

1日として同じ日はありませんが、一貫しているのは、1日のほとんどは会議に出席しているということです。2月中旬のある日のスケジュールは以下の通りです。

午前9時か9時15分:職場に到着

午前10時:新人社員朝食会。年に2回このような機会を持ってきましたが、会社が急速に成長しているので、もっと頻度を増やさなければなりません。

午前11時:スタッフ統轄のマニカさんと1対1ミーティング。彼女は私の右腕なんです。

11時30分:Zola Weddingsのプロダクト主任を務めるジルさんと1対1ミーティング。

12時30分:共同創業者のノブさんと外でランチ。毎日最低10分間は一緒に過ごすようにしています。

午後1時:成長戦略、財務、マーケティング、マーチャンダイジングの部署の社員約20名と月例の事業計画会議。

午後3時:やっと自分のデスクに腰を据えて、夕方までメールに返信したりして過ごす。

午後6時:オフィスを出てニューヨーク市のeコマース業界の仲間たちと夕食。

── 「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは?

メールよりもSlackを使っています。あと、瞑想アプリ『Headspace』もほぼ毎朝使用しています。今は、Nokenというアプリにはまっています。これを使うと自分にあった旅程を計画するのが本当に簡単なんです。近いうちにアイスランドに出張する予定があるので、その出張計画を立てる目的で最近使いました。他にこれがないと生きていけないものは、信頼できるペンとノートです。古臭いかもしれませんが、便利で決して裏切られることがありません。

── 仕事場はどんな感じですか?

Zolaは、社員間のコラボレーションと会話を促進する目的で、完全にオープンなオフィス環境になっています。私は最高マーケティング責任者、社長、成長戦略担当のシニアバイスプレジデントと同じ並びに座っていて、その小さなエリアは「エグゼクティブポッド」と呼ばれています。私のデスクは、整然としたカオスという感じで、それが私の好みです。オーストラリアの旗がテープで貼ってあるモニター、友達からもらった植物、たっぷりのスナックが置いてあります。

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Zolaのオフィス
Image: Lifehacker US

── お気に入りの時間節約術やライフハックは何ですか?

瞑想です。愛犬のノエを散歩に連れて行く前に毎朝10分間瞑想します。これをするかしないかで、その日の調子の安定度に大差が出ることに気づきました。

──仕事場で採用しているプロセスで、興味深いもの、珍しいもの、こだわりがあるものがあれば教えてください

ノブさんと私は、2人揃ってオフィスにいる日は必ず一緒にコーヒーブレークを取ります。お互いにスケジュールがパンパンに詰まっていても、一緒に過ごす時間をもうけることを優先しています。私たちはいつも金融街のBlue Stone Laneに行きます。オーストラリアの店で私のお気に入りの場所です。私たちは仕事やビジネスの新しいアイデアについて話すことが多いですが、彼の子供たちのことや私の新しいアパートのことを話すこともあります。

── どんな人たちからどのように仕事を助けてもらっていますか?

まず何といってもZolaの社長を務めるレイチェル・ジャレットさんです。Zolaを開業した当時は、すべての部署が私に報告していました。会社の規模が小さいうちはそれでも何とかなったのですが、すぐに立ち行かなくなりました。レイチェルさんと私はGiltで同僚でしたが、彼女は何かを成し遂げるためにはどんなことでもするタイプの人です。今の私は自分の得意なことに集中して、そうでないものはやらずに済んでいます。幸い、レイチェルさんは多くのことに優れています!

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マーさんの自宅のスクリーン
Image: Lifehacker US

──ToDoはどうやってトラッキングしていますか?

Googleカレンダーは私の生命線です。私の会議と出張のスケジュールをすべて入れてあるだけでなく、メールに返信したり、大きなプロジェクトに集中するためにまとまった時間をブロックするのに使っています。誰かと会う時間を確保するのと同じぐらい自分の時間を確保することも大切です。

──どのように充電していますか? 仕事のことを忘れたいときはどうしますか?

最近は、以前より自分の時間を作ることを意識しています。24時間365日ついつい仕事に縛られてしまいがちです。対応すべきメールが何百万通もあったり、読むべき記事が山ほどあったりしますが、自分を大切にすると、仕事人としてもリーダーとしてもはるかに力を発揮できます。暗闇で自転車をこぐSoulCycleの大ファンになってしまったので、毎週末最低1クラスは出席しています。それから、ブルックリンのレッドフックにある新しいアパートに引っ越したばかりなので、自宅のものを買うためにオンラインショッピングに長時間費やしています。

──仕事の合間に何をするのが好きですか?

これはとてもばかげた答えですが、投資することです。私はADAY、Billie、Hawthorneなど13社のベンチャー企業を支援しているエンジェル・インベスターです。革新的なソリューションを考案する創業者たちを支援することが大好きなんです。

──今、何を読んでいますか? おすすめの本はありますか?

私のお気に入りの本はMarty Cagan著『Inspired: How To Create Products Customers Love』です。何度も読み返しました。アイデアを生みだして製品を開発していく方法について書いてあります。

──今日あなたがされたのと同じ質問をしてみたい相手はいますか?

作家のティモシー フェリスさんです。

──これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください

「自分がいなくても回るようにする」です。我が社の会長のケビン・ライアンさんがある日私にこのアドバイスをくれましたが、当時は何のことだかさっぱりわかりませんでした。でも今は、これ以上ないほどよくわかります。仕事をより多く引き受けられる人材を雇い、自分がいつもしていたことを委ねられるなら、自分でするより大きな揺るぎないものを築くことになります。それこそが、すべてのCEOの目標じゃないでしょうか。

──今後の目標を教えてください

ゾラは、現在アメリカ国内で閲覧者数トップ5に入るウェディングサイトの1つです。この先、どうしたら1番になれるでしょうか?


Image: Lifehacker US

Source: Zola, Headspace, Noken, Blue Stone Lane, Amazon

Nick Douglas – Lifehacker US [原文]