人間関係を円滑にしたり、チームで仕事を進めたりするには、人とのコミュニケーションが不可欠です。最近では「コミュ力」のように一般名詞化し、就職の面接でも重視されているようですね。

そんな「コミュ力」の中でも大きな部分を占めるのが、会話ではないでしょうか。真剣な会議の場、フラットな雑談の場など、人は会話を通して相手との関係を構築していきます。

IBMのWebメディアMugendai(無限大)では、まさに「言葉のプロ」とも呼べる人物が登場し、その巧みな技術を惜しみなく公開していました。

やっぱり「話し上手は聞き上手」会話で最も重要なのは「相づち」

登場するのは、元NHKアナウンサーの加賀美幸子さん永六輔さんが企画し、タモリさんが初めて出演したNHKの番組として語り継がれる「ばらえてい テレビファソラシド」に、これまたNHKで初めてバラエティ番組に登場した女性アナウンサーとなった方です。

そんな加賀美さんですが、いつも心がけていたのは「話さない」ことだといいます。言うまでもなくアナウンサーは言葉が重要なわけですが、一体どういうことなのでしょうか。

NHKに入って間もないころのことですが、ある上司に、「あなたはもっと話しなさい。言葉が少なすぎる」と言われました。でも私は、その人の言うことは聞きませんでした。なぜかというと、当時出演していた、ある長寿番組の出演者が私のことを、「あなたは、よく(人の話を)聞いてくれる」と言ってくださったからです。その出演者は「アナウンサーがペラペラしゃべると、自分は『はい、そうですね』と言うぐらいしかない」とおっしゃっていました。

だから私はいつも、耳を澄まして大事なお話を聞いたあと、必ず感想を短く言って、「ではこの場合はどうですか?」というような、短い質問をして話を膨らませていきます。

「話し上手は聞き上手」という言葉は本当なのですね。加賀美さんは他にも、人の話を聞く際に最も重要なのは「相づち」だと語り、やたらとたくさん質問をするのではなく、耳を澄まして話を聞き、適切な相づちを打つことの重要性を説いています。

言葉はコミュニケーションだけではない。自分を深めるためにも活用するもの

加賀美さんは他にも、言葉は人との会話だけではなく、自分を奮い立たせるためにも活用できると語ります。特に、落ち込んだり自分を励ましたりする時に「言葉」は重要になるのだとか。

私は仕事でも子育てでも、実際の点数は60点くらいのときもあるかもしれないけれど、「気持ちは100%」と自分に言い聞かせてきました

人はある意味、冷たいから、人に頼ってもなかなか励ましてもらえません。だから私は、自分で自分を励まします。それならすぐにできますから。

加賀美さんは「言葉は伝えるだけではなく、考える道具でもある」とも語り、知っている言葉が少なければその分考えも浅くなり、考え抜いた深い言葉を持っていれば、より強く自分が励まされるとも話していますよ。

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Image: Mugendai(無限大)

言葉が伝わるポイントは「息づかい」

そうやって言葉を研ぎ澄ませていった加賀美さんですが、どのように語れば、より人に伝わるものでしょうか。そんな疑問についても、以下のように具体的に語っています。

同じ言葉でも、自分の息づかいで伝えます。ただ「元気ですね」と言うのではなく、(自分の息に思いを乗せて、重苦しくなく気持ちよく伝わるように)「本当に、元気ですね」というように。それだけで全然、違います。その息づかいに自分らしさが出ます。息づかいや間の取り方に、その人の生き方は出てしまいます。息をしているということは、生きているということですから。

「会話が上手」というと、ウィットに富んだジョークや頭の回転の速さなどを思い浮かべそうですが、深く自分自身を見つめ、どれだけ相手のことを思っているかが重要なのかもしれませんね。

その他にも、加賀美さんが言葉に興味を持つきっかけとなった「」の話や、古典文学を朗読することの意外な効果、「天才」タモリさんとの裏話など、話し上手もそうでない方も楽しめるロングインタビューは、Mugendai(無限大)より続きをお楽しみください。


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