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Microsoftが「マイク・ロウソフト」と争った企業対個人のドメイン名戦争はどう決着したのか?


インターネットでURLに使用されるドメイン名は、使用者がいなければ自由に取得できるもの。しかし、有名企業としては、第三者に企業名と似たドメイン名を奪われてしまうと、自社サイトとよく似たサイトを運営され、本来得られるはずの売上の損失や、詐欺に利用されることで顧客の信頼を落としてしまうリスクが存在します。このため、自社名や主力商品など商標に関わるドメイン名を誰かに取得されていたら、最悪の場合、訴訟に発展してしまうことがあります。2004年にこの問題に巻き込まれたのが、ソフトウェア開発を行っていた当時17歳のマイク・ロウさん。その前に立ちはだかったのはIT界の巨人、Microsoftでした。

Microsoft vs. MikeRoweSoft - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Microsoft_vs._MikeRoweSoft

事の発端は、ロウさんが小遣い稼ぎのため、ウェブサイトデザインの仕事を始めようと、自身のウェブサイトを立ち上げたことでした。ロウさんはこのとき「自身のフルネーム」にソフトウェアの「Soft」を付けた「MikeRoweSoft.com」のドメイン名を取得し、ウェブサイト運営を始めました。

ロウさんは誤認を狙ったわけではなく、また詐欺をしようという気もまったくありませんでしたが、自社名と発音が似ている「MikeRoweSoft.com」のドメインの存在を知ったMicrosoftは、商標権侵害としてドメイン登録にかかった費用と引き替えにロウさんが取得した「MikeRoweSoft.com」を譲渡するようメールで要求しました。しかし、ロウさんは「MikeRoweSoft.com」を気に入っていたため、この提案を拒否し「1万ドル(約107万円)くれるなら譲っても良い」と何気なく回答したそうです。しかし、Microsoftはこの返答を自社への宣戦布告とみなし、ロウさんに対し25ページに渡る書簡を送付。書簡には、ロウさんがドメイン名を安く入手し、後に高額で権利者に売りつけるサイバースクワッティング行為を行っているとして、ロウさんの行為を非難する内容が書かれていたとのことです。


ロウさんは、そもそもドメインを売るつもりがなかったために高額を提示していたようで、メディアに対し「金を要求しているというのは事実ではありません。まさか自分の名前のせいで、Microsoftが私に圧力をかけてくるとは思いませんでした」と話し、自身の立場を訴えました。すると、この姿に同情した人々は、ロウさんに裁判費用として総額6000万ドル(約64億円)以上の寄付を行いました。

騒動が大きくなったことを受けて、Microsoftは「『MikeRoweSoft.com』を問題視しすぎた」と広報を通じてコメントを出し態度を軟化。その後、ロウさんとMicrosoftとの間で和解が成立。ロウさんがMicrosoftに「MikeRoweSoft.com」のドメインを譲渡する代わりに「新規ウェブサイトの構築支援」「MSDNの会員権」「Microsoft認定コースの無料受講権」「Microsoft Research Tech Festに家族全員を招待」「Xboxとゲームソフト数本」を受け取ることになりました。


ロウさんによると、和解の際に支払う予定だった弁護士費用はMicrosoftが立て替えたため、寄付されたお金の用途がなくなってしまったとのこと。そこで、新しく構築したウェブサイトで「お金の使い道」について投票を行いました。その結果、ロウさんは余ったお金の大部分をこども病院に寄付し、残ったお金を自身の将来の学費として使用することになりました。

その後、ロウさんは「インターネットの歴史の一部」というタイトルで、Microsoftの弁護士とやり取りしたメールの内容や25ページに渡る書簡の全文、経緯などをまとめた本をオークションサイトで出品します。このオークションは50万回閲覧されるほど大きな反響を呼び、入札額は20万ドル(約2150万円)以上にもなったそうです。しかし、高額入札者の不正が発覚したため、ロウさんはオークションを事前承認された入札者に限定しました。最終的には1037ドル(約11万円)で落札されたとのことです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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