前回はスーツに合わせるべき正統派の革靴をご紹介しましたが、今回はそれとは真逆のご提案。働き方が多様化するのに合わせて通勤着のカジュアル化が進む現在、次第に受け容れられつつあるスニーカーについて考えてみました。

大前提として、職種や立場によって選ぶべき服装はまったく異なります。さらに、営業活動などの外回り、内勤で済む社内業務、地方や海外への出張など、TPOによって、服装に求められる基準も異なるでしょう。しかし、ある程度自由な服装が許される職種やTPOであれば、カジュアルを有効活用できるし、必然的に足元はスニーカーが多くなるでしょう。

カジュアルアップではなくドレスダウンの発想で

いくらカジュアルOKと言われても、あまりに個性的だったり、だらしなく見えたりするのは論外。あくまで社会人として求められる清潔感や信頼感をキープしつつ、自然に見えてリラックスできるコーディネイトであることを心がけましょう。はじめにカジュアルありきで考えるのではなく、すでにビジネスウェアとして一般的なスーツやジャケットを利用して、いかにドレスダウンさせるかということが肝心なのです。

スーツやジャケットにスニーカーを合わせてもOK

クリエイティブな職種を中心に注目されているのが、スーツやジャケットをカジュアルに着こなすテクニック。ネクタイなしでもいいのであれば、インナーをポロシャツやTシャツに替え、足元も革靴からスニーカーへ替えることで、いつものスーツやジャケットを新鮮に見せることができます。同時に、いわゆるアンコンアンコンストラクション)の(芯地や肩パッドを省いた)スーツやジャケット、ストレッチや通気性といった機能的な素材で仕立てたセットアップが普及したことも、この流れを加速させています。

それでは、スーツでも違和感なく、こなれて見えるポイントについて紹介します。

①デザインはローテク系が◎

スーツやジャケットになじみやすいのは、いわゆる昔ながらのスニーカー。特にテニスシューズ系がベストマッチ。あえてハイテク系を合わせるのも悪くはないのですが、悪目立ちしがちなので上級者向けです。

②白黒はっきりさせること

アッパーからソールまで、真っ白か真っ黒に絞ること。余計なラインやディテールなどを極力排した、ミニマルなデザインが鉄則です。野暮ったくなりがちなブラウンやベージュなどは避けた方がいいでしょう。

③素材は高級感のあるレザー

キャンバス素材は砕けすぎた印象になりがちだし、なにより汚れやすいのが難点。やはりここは、上品なスムースレザーが基本。撥水スプレーなどを利用することで、ダメージを最小限にすることができます。

スーツやセットアップに抜け感を作る白スニーカー

定番のグレイとネイビーに、軽さをもたらしてくれるのが白スニーカーです。インナーには白いポロシャツやTシャツを合わせれば、さらに調和のとれたコーディネイトにまとまります。無地はもちろん、チェックのジャケットなどの柄物との合わせるなら、よりこなれ感がアップ。

注目の白スニーカーは、誰もが知ってるあのブランド!

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Photo: 竹内泰久

レザー疲れにくいスニーカー(紳士) ¥6,900税込/無印良品(無印良品 池袋西武☎03-3989-1171)

オーセンティックなデザインを踏襲しつつ、トウに配した半月状のラバーと程よいボリューム感でアレンジ。余計な装飾を一切省いたデザインは、カジュアルというより、むしろモードな雰囲気すら漂わせています。しかも驚きなのが、スポーツブランドやファッションブランドではなく、無印良品のスニーカーなのです。足裏にフィットするアーチを付けたインソールを装備。さらにこのプライスとくれば、もはや買わない理由が見つかりません。

先行ブランドを猛追する新鋭純国産ブランド

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Photo: 竹内泰久

ブルテリア ロウ チャビー スムース ¥17,500/バディ(バディ トウキョウ ストア☎03-6805-1745)

靴と鞄を手がける大阪のファクトリーから、2011年に飯塚徹哉氏がディレクションを手がけるブランドとしてスタートしたバディ。丸みを帯びたトウからヒールにかけてのフォルムが絶妙で、まさにありそうでないカタチを実現。数多くのセレクトショップで取り扱われる人気ブランドに成長しました。こちらはレザー本来の風合いとタフさを引き出しつつ、雨にも強いスムースレザーを採用。ライニングには、牛革と吸湿・速乾性に優れたデュポン社の素材を使用。取り外し可能なインソールで、素足で履いても気持ちいいのが特徴。

バスケットシューズの元祖からは注目の限定モデルを推奨!

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Photo: 竹内泰久

ワンスター J VTG HS(ヒールスター) ¥25,000/コンバース(コンバースインフォメーションセンター☎0120-819-217)

ローテクスニーカーの定番コンバース。その限定ライン“TimeLine”から発売されたばかりの注目作が、こちらの通称“ヒールスター”です。コンバース初のレザーを使用したテニスシューズとして、1972年に発売されたモデルの復刻版です。オリジナルと同様、継ぎ目のない一枚革で仕上げたメイド・イン・ジャパンの一足。シンプルな内羽根パターンと、スマートな大人顔のフォルムがポイント。やや高額ですが、作りの良さと希少性を考えれば損はありません。

ドレス感があって引き締まった印象の黒スニーカー

基本的にスーツの色より暗い色を選ぶのが鉄則で、その意味で黒は万能です。今まで使っている黒いカバンやベルトをそのまま利用できることもあり、白スニーカーよりも合わせ方は簡単。注意すべきは、余計なラインや切り替えがなく、ソールまで真っ黒であること。

白スニーカーブームの火付け役ブランドでは、あえて黒をチョイス

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Photo: 竹内泰久

オリジナルス スタンスミス ¥8,900/アディダス オリジナルス(アディダスグループお客様窓口☎0570-033-033)

ストリートファッションはもちろんですが、大人も巻き込んで空前のスニーカーブームを牽引した重要作といえば、アディダススタンスミスであることに異論はないでしょう。もともとはテニス用シューズで、そのクリーンでミニマルなデザインがヒットの理由です。あまりに流行しすぎたこともあり、今あえて大人が選ぶべきは、ソールとヒールパッチまですべて真っ黒のこちらをおすすめ。プライスも控えめなので、この際まとめ買いしておくのもいいかも。

革靴のドレス感を残しつつ厚底ソールが主張

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Photo: 竹内泰久

UA ITY ドレススニーカー ダービー ¥21,000/ユナイテッドアローズ(ユナイテッドアローズ 銀座店☎03-3562-7798)

いわゆるクロージングに強いユナイテッドアローズのオリジナルは、カジュアル化が進むビジネスシーンにおいて、スーツやジャケットに違和感なく合わせられることを念頭に開発されました。シボ感を残した高級感のあるレザーアッパーを採用し、真上からは正統派の革靴のように見える外羽根のデザインに。肉厚なフラットソールとインソールが快適な歩行をもたらし、足元に程よいボリューム感を加えてくれます。メイド・イン・イタリーでありながら、こなれたプライスというのも嬉しい限り。

大人スニーカーブームを支え続ける実力派の黒

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Photo: 竹内泰久

9838 ¥23,000/エー エム ビー(ハイブリッジ インターナショナル☎03-3486-8847)

イギリスやイタリアの人気シューズブランドの輸入販売を行っていた会社が、長年のノウハウを結集して生まれたブランドが、こちらのAmb(エー エム ビー)。デザイナーズブランドなどの高級スニーカーの製造を手がけるポルトガルのファクトリーに生産を依頼し、モダンなデザインを得意としています。こちらは、一目で上質さが伝わるスムースレザーを採用したロングセラーモデル。肉厚なインソールとパッド入りシュータンによる、ふかふかとした履き心地。


本格化するクールビズにはスニーカーが新常識に

クールビズが本格化する中、多くのブランドで涼しくて軽いスーツセットアップを販売するようになりました。そうした機能性を最大限に引き出してくれるのがスニーカーでもあるのです。

基本的に白スニーカーであれば素足で、黒スニーカーなら素足もしくは黒ソックスを合わせましょう。今回ご紹介した中から予算と好みに合ったものを選んで、来るべきクールビズや出張などに、スニーカーを活用してみてください。


Photo: 竹内泰久

Source: 無印良品 , バディ , コンバース , アディダス オリジナルス , ユナイテッドアローズ , エー エム ビー