モテたい。

それも、恋愛的な意味ではなく、得意先や同僚・上司から猛烈にモテたい。つまりは社会人として仕事がデキるという意味でモテたい

そして、あわよくばその上で、やっぱり異性からも圧倒的にモテたい。モテにモテまくって、困ってしまう人生を歩んでみたい。

そんな煩悩に振り回されている筆者の元に、とある新商品を発売したライオンさんから、PRの打診がありました。

結果、企画を進める途中で何故か精神的に大ダメージを負うことになったので、心して読んでもらえたら幸いです。

清潔男子に向けた新製品、登場

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左)石澤さん。LIONで商品開発をしている人。 右)内田さん。LIONのマーケティング担当の人。
Photo: Shinsuke Yasui

内田さん:今回お越しいただいたのは、弊社の新商品Ban汗ブロックロールオン プレミアムラベル男性用」のPRをお願いしたいからです。「Ban」については、ご存じですか?

カツセ:名前は聞いたことあるんですけど、どんな商品でしたっけ?

内田さん:制汗剤です。従来の制汗剤はニオイ訴求の商品が多い中で、Banはワキ汗・汗ジミを気にするお客様の意識の変化に併せて、2014年にワキ汗対策を提案する制汗剤を発売しました。

カツセ:ああ、脇に直接塗って、汗を抑えるやつでしたっけ。女性とか、とくに外見を気にしそうですもんね。

内田さん:ところが、最近は外見や身だしなみを気にする男性が増えてきているというデータもありまして、弊社でも今年新しい男性用Banを作りました。それがコチラの商品です。

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新商品「Ban汗ブロックロールオン プレミアムラベル男性用」。
Photo: Shinsuke Yasui

カツセ:言われてみるとたしかに、灰色のTシャツ一枚で出かけるとか、脇汗事情によってハードルがやたらと高く感じます。

内田さん:ですよね。基本的なコンセプトとしては女性用と同じで、見た目からきちんと清潔感を保っていきましょうという狙いです。「脇汗を抑えて健康面に問題ないのか?」といったご指摘もありますが、人間の発汗機能は脇だけでなく全身にあるため、脇だけを抑えても問題ありません。

カツセ:なるほど。家にあったら使ってみたいかも。

石澤さん:ちなみに男性は、女性から指摘されると、身だしなみを意識する傾向があるらしいです。カツセさんにはいち男性として、この商品をPRいただきたいのですが、いかがですか?

カツセ:なるほどー。でも、一個思うんですけど、いいですか?

内田さん:はい、なんでしょう?

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Photo: Shinsuke Yasui

カツセ:女性って、そんなに男性の身だしなみを気にしているんですかね? 「男なんだから、ある程度ずさんでも仕方ないよね~」って感じで、いい意味で諦めてくれるんじゃないですか? 違います?

内田さん:ああ、それは、絶対にないですね。

カツセ:すごいハッキリ言った。

内田さん:身だしなみはちゃんと気にして欲しい!

石澤さん:私も!! 

カツセ:そんな目でこっちを見るの、やめてもらえます?

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Photo: Shinsuke Yasui

内田さん:カツセさんはTwitterで女性のフォロワーさんが多いんですよね? 試しに「男性の身だしなみ」について聞いてみたらどうですか? きっとものすごい数の指摘が入ると思いますよ。

カツセ:わかりました。ちょっと意見を集めてみます。大して集まらなかったら、きっとこの商品もそんなに売れないってことですからね?

内田さん:PR記事とは思えないプレッシャーのかけ方してきますね。

石澤さん:きっと集まると思うので、是非試してみてください!

男性の身だしなみで気になる1991のこと

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Photo: Msahiko Katsuse

ということで、「女子は男性の身だしなみのどんなところを気にしているのか」を調査してみることに。今回は筆者のLINE@(有効登録者数1万3000人。うちが女性9割)を使って、ざっくりと意見を集めることにしました。

「普段は800件くらい集まるんですけど、今回は500件くらいでしょうね」と低く見積もっていたところ…

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Photo: Masahiko Katsuse

総数1991件も集まりました。

まさかこんなにたくさんの「男性の嫌なところリスト」が爆誕するとは思いませんでした。読んでいるだけで命を絶ちたくなる死のリスト。しかし、悲劇の始まりはここからだったのです。

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後日、このリストを持って、ライオンさんに向かった筆者。
Photo: Shinsuke Yasui

カツセ:ということで、女性の声を集めたら1991件になりました。

内田さん:ほらー! やっぱり皆さん、気になっているんですよ!

カツセ:考えてみたら僕も、人生で初めてできた彼女に鼻毛が出ているのを指摘されて、デート帰りに泣きながら鼻毛カッターを購入したことがありました

石澤さん:カツセさん、青春の闇が深いですね。

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せっかくなので、このリストを見ながら「男性の身だしなみ」について深堀していきます。
Photo: Shinsuke Yasui

内田さん:一番多かった項目って、何ですか?

カツセ:それが、意外だったんですけど「長い爪がイヤ」という意見でした。

石澤さん:えー! 意外!

カツセ:ですよね! 僕も「そんなとこ見てんの!?」って思いました。手は大事らしいです。あと次は、「眉毛

内田さん:あー、わかります。眉毛が細い人、無理だ。

石澤さん:わかる。

カツセ:これは「放置してるのがイヤ!」という意見も「整えすぎてるのイヤ!」という意見もあったんですよ。単なるワガママじゃんって思ったんですけど。

内田さん:いえ、何事も自然な具合が一番なんですよ。整えてないように見えて、実は手入れしているくらいが、ちょうどいいのだと思います。

カツセ:加減が本当に難しいな…。

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Photo: Shinsuke Yasui

カツセ:ちなみに三番目に多いのは、「鼻毛」でした。

内田さん:やっぱり気にされる方は多いんですね。

カツセ:鼻毛って、女性はなんで出ないんですか? 男性より量が少ないんですか?

石澤さん:ちゃんと手入れしてるからですよ! 女子の方がすごく気にしているんだと思います。

カツセ:そうか、当たり前かもしれないけど、鼻毛切ってる女性とか見たことないもんな…。そこは陰で努力してるのか…。

内田さん:鼻毛どころか全身の毛ですよ。手入れはこっそりと、でもきちんとやっているのだと思います。

カツセ:女性って大変だなあ。

内田さん:いえ、たぶん、男女問わず全体の美容意識が上がっているので、鼻毛に関しては男性も女性同等の意識が求められているってことだと思うんですけどね。

カツセ:生きづらい世の中になったもんですよ、本当に。

石澤さん:なんでグレてるんですか?

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Photo: Shinsuke Yasui

内田さん:ほかには、何かありました?

カツセ:あとは「に関する項目がすごく多かったのと、「タンクトップがイヤ」とか。

石澤さん:タンクトップわかる。デートでいたら逃げる。

カツセ:先っぽがトンガった靴」とか。

石澤さん:あーナルシストっぽい。お金使い荒らそう。

カツセ:言いたい放題過ぎません?

内田さん:楽しいですね、この企画。

カツセ:クツの踵を踏んで歩くのが嫌」もいました。

石澤さん:あーわかる。

内田さん:え、踵踏むの、そんなにダメなんですか?

石澤さん:なんか、 女性にも言えると思うんですけど、財布がレシートだらけだったり、 踵を踏んだりしている人って、部屋も汚いんじゃないか? とか、お金にルーズなんじゃないか? とか、それ以外の隠れた部分を連想しちゃいませんか?

内田さん:ああ、そういうのはありそうですね~。

カツセ:あと、「ウォレットチェーン」も多かったですね。

内田さん:でた! ウォレットチェーン(笑)!

石澤さん:なんか、見た目の格好悪さもあるんですけど、幼く感じちゃうんですよね。チェーン付けてないと失くしちゃうような、管理ができない人なんだ~って。

カツセ:なるほど。管理ができないイメージがあるとダメなんですね。あと、チェーンに近いんですけど、「ゴツゴツしたアクセサリがイヤだ」って意見も多かったです。ピアスやネックレスも。

石澤さん:あー、それもわかります。何もないのが一番です。

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Photo: Shinsuke Yasui

カツセ:あとは、「香水」。「キツい匂いが嫌」って意見は多かったです。

内田さん:わかる。汗臭いのも嫌なんですけど、誤魔化そうとする匂いがキツいのも嫌なんですよね。個人的には、ウォレットチェーンと同じレベルで嫌

石澤さん:1000パーセント個人の見解だとしても厳しすぎる。

カツセ:今ので何人か死にましたよ、きっと

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過激な発言が続きすぎて、心が折れかけている。
Photo: Shinsuke Yasui

カツセ:あとは、「お尻のポケットに長サイフを入れる人がイヤ」も目立ちましたね。

内田さん:ああ、わかる気もしますけど、でも鞄を持たない人は、どこにしまうの? ってなりそうですよね。

カツセ:鞄といえば、「トートバッグを持ってる人はなかなか好まないですね。できれば鞄持たないでほしいし、持っても小さくて素敵なカバンがいい」っていう意見がありました。

内田さん:トートバッグが嫌なのは、ちょっとわかりますね

カツセ:えっ

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この取材で最も死にたくなった瞬間である。
Photo: Shinsuke Yasui

カツセ:なんでトートバッグがダメなんですか…?

石澤さん:トートバッグって、モノによってはかなり大きいから、「何が入っているのかな?」って不審に思っちゃいます。なんか、中に入ってるものが入れっぱなしで、整理されてなさそう

カツセ:心が痛い。

内田さん:持たないか、もっと小さくまとめるのがいいと思います。

カツセ:女の価値はバッグで決まる」ってツイッターで物議を醸してましたけど、それ以上にトートバッグで男の価値が決まってそうで泣きたいです。

些細な“隙”まで見られる時代。清潔感への意識は高く持つべき

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Photo: Shinsuke Yasui

カツセ:あと、ヘアワックスについての意見も多かったです。「ベタベタなのは嫌だ」「触ってフワってなるぐらいがいい」「濡れてるみたいなやつは信じられない」など。

内田さん:あーわかります。そこも自然が一番ですよねー。

カツセ:でも、結婚式とかだと、パキっと固めている人が格好よくないですか?

石澤さん:うーん、おでこが汗で光っていて、そのまま髪の毛もギトギトとかだと気持ち悪いです。

カツセ:そうか、顔がテカってたら、ダメなんですね?

内田さん:汗が出ちゃうのは仕方ないし、健全なことだと思うんです。でも、ケアできる商品もたくさん出ているので、そこは意識してもらえたらうれしいですね。

石澤さん:汗をかくたび着替えられたらベストですけど、それは難しいと思うので、せめて汗拭きシートで拭くとか、対処がほしいです。スタバとかに入って、涼んで汗を引かせて、それで終わりにする人とかも見かけますが…。

カツセ:僕ですね?

石澤さん:あれでも服に汗が残ってシミになったり、匂いは残っていたりするんです。放置するのではなく、汗をかいたら乾く前にきちんと拭く。これだけでも効果は違うと思います。

カツセ:なるほどー。

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Photo: Shinsuke Yasui

カツセ:そろそろ終盤ですが、多かったのが「男性が携帯電話のインカメラを使って、髪型とかを直しているの見るのが嫌だ」。「ちょっとでも反射する窓があるたびに、前髪直す人が嫌だ」。 この二つも目立って多かったです。

石澤さん:鏡やインカメラを見る男性が増えているのは、身だしなみをちゃんとしようとしている証拠なので、許容してあげてもいいかなと思います。弊社でも「清潔男子」はそういった行動をすると、認識しています。

カツセ:へえ! そうなんですね。

石澤さん:でも、たとえば全身ハイブランドでコーデした上で、ジッと画面や窓を見ていたら、もうそれは自己愛なだけじゃないですか。自分に酔うところまでいくと、周りに不快感を与えてしまうと思うんです。

カツセ:なるほど。そこは線引きが大事なんですね。

石澤さん:そうです。あとは今回のカツセさんのアンケート結果を見てもわかるとおり、女性は男性のかなり細かいところまで見ていることがわかると思います。服はキマっているけど、靴だけボロボロとか、目についてしまうんですね。

内田さん:そういう意味では、モテる、モテないといった問題だけでなく、社会人のマナーとしての採点ポイントもバリエーションが増えてきて、男性が気にしなきゃいけないところも比例しているのだと思います。

カツセ:そうか、モテる以前の問題なことも、多いのかもしれないですね。

内田さん:意外と細かなところまで見られていると認識したうえで、事前に対処しておくと自信の持ち方とか、安心感が違うと思うんです。それこそ「今日は脇汗対策をしたから、灰色のTシャツだって大丈夫だぞ!」って思えたら、気持ちがラクじゃないですか?

カツセ:本当だ。それはそうだと思います。

内田さん:身だしなみは対人関係や仕事にかなり影響があると思います。最初はタオルを持つみたいな気持ちで始めてみてもいいと思うので、「Ban」を使った脇汗対策、気軽に取り入れてみてください。

カツセ:鮮やかにPRにつなげてびっくりしました。ありがとうございました!

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Photo: Shinsuke Yasui

こうしてライオンさんの新商品「Ban汗ブロックロールオン プレミアムラベル男性用 マイルドソープの香り」「Ban 汗ブロックロールオン プレミアムラベル 男性用 無香性」 の発売をきっかけに集まった「男の身だしなみでイヤなポイント」を検討する企画が終わりました。

この記事では紹介できなかった「乳首透けるのイヤ」「ズボンの腰ばきイヤ」「短パンイヤ」「すね毛イヤ」「すね毛剃るのイヤ」「髭イヤ」「よくわからない英語が書いてあるTシャツイヤ」「ロールアップするとチェック柄になるズボンイヤ」「口臭イヤ」といった辛辣すぎるコメントもまだまだあるのですが、これ以上我々男性が不用意に傷つくのも良くないと判断し、ここで記事も終わりにしたいと思います。


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Photo: Shinsuke Yasui

最後になりますが、身だしなみひとつをとっても、完璧な人間なんてなかなかいません。誰にでも欠点はあるので、それを踏まえたうえでどうしたらケアできるかを考えていれば、僕も少~しは清潔度が上がってモテるようになるのかな、と思いました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

Image: 安井信介, カツセマサヒコ

Source: ライオン, Ban汗ブロックロールオン プレミアムラベル男性用