この子とは親友になれそう(なりたい)。IKEA家具を組み立てるマシーン

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この子とは親友になれそう(なりたい)。IKEA家具を組み立てるマシーン
Image: CRI Group @ NTU/YouTube

怒涛の勢いで発展するロボットたち…。

小さいときは、ロボットって聴くとドラえもんとか、鉄腕アトムとか、「(ダメな私でも)友達になってくれる」みたいなキャラクターを想像しましたよね。コロ助みたいな実用性が低いロボットでも、友人として側に居てくれたら…嬉しいじゃないですか。

しかし大人の階段を登った自分の胸に手を当てて考えてみたら、やっぱり欲しかったんです、実用性。そんな汚れた私の心を気付かせてくれたのが、シンガポールの南洋理工大学の研究者たちが開発した「IKEAの家具を組み立てるロボット」です。これ見た瞬間に思ったんです。「(ロボットと)友達になるならこれくらいはできてほしい」って。

Image: CRI Group @ NTU/YouTube

というのも、私はIKEAの家具すら組み立てられない工作オンチ。今も部屋の隅にIKEA本棚が組み立てられないまま、ピッシリと箱に収まっています。もちろん、今回の研究は家庭用ロボットとして開発されているわけではなく、すでにマーケットに出ている機械を組み合わせてここまでの精度を達成したことに意義があるわけですが…「IKEA家具を組み立ててくれるロボット」って聞くと「友達、なろっか」って言いたくなります。

技術の発展でロボットはさまざまなタスクをこなせるようになりました。ですが、まだまだ人間の方が得意なことも多く存在しています。そのうちのひとつが、目と手を使った繊細な動きです。つまりIKEAの家具の組み立てですね。視覚情報と手の動きを一致させること、力加減、方向と動きのコントロール、動きの順番、とさまざまな要素が複雑に絡まり合っているわけです。私が苦手なのも納得です。

しかし科学誌Science Roboticsに発表された研究では、それを可能にするシステムが発表されたようです。それもすべて市販されているハードウェアを使っているんだとか。こちらのIKEAのイスの組み立てにかかった時間は、なんと20分程度。しかもランダムにパーツが配置されたなかでパーツを検知し、順番に従って取りあげながら作業を行なったようです。これはすごいですね。

マシーンが何かを組み立てる、というと工場内の製造ラインを想像しますが、今回のシステムは一般家庭におけるIKEAの組み立てのように、ただ目の前にバラバラと転がっているパーツを順番に組み立てていったわけです。管理されたスピードと設定で決められた作業を繰り返すようなロボット機能とは異なります。

この技術の応用先はやはり工場が有力ですが、場所を選ばずに組み立て作業ができるロボットとなると、可能性が一気に広がりますよね。コントロールされた組み立てラインを構築するには、大きな初期投資が必要ですし。それを必要とせずに建築現場やデバイス作業場に簡単に組み立てロボットを設置できたら、効率は一気に高まりそう。また、このシステムを活かして倉庫内の整理や運搬をするなど、ロボットができる作業を増やすこともできそうです。

人間の仕事をロボットが奪っていくことに対する危機感は年々高まっていますが、IKEA家具の組み立てに関しては、とりあえず奪っていただいて私は問題ありません。


Image: YouTube
Source: Science Robotics

(塚本 紺)