「キャシュレス化促進」と言う言葉を聞くようになってから、クレジットカードと電子マネーに注目が集まっています。しかし、利用者からすると支払い方法を現金からカードに変えるだけではメリットは限られます。獲得できるポイントも1000円で1ポイント~5ポイント、還元率0.1~0.5%と僅かの場合が多いのが現状です。

そこで、カード会社も工夫を凝らしはじめました。最近は、これまで難しいと思われていた分野のサービスを開拓してポイントを付与したり、新しい切り口のポイントプログラムをつくるなど、必死にがんばっています。ここでは、いくつかのサービスとポイントプログラムを紹介してみましょう。


岩田昭男(いわた・あきお)

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消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。公式サイト

家賃を払っているだけで、ポイントが貯まるカード

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Image: lucadp/ Shutterstock.com

私がモットーとしているのは「ポイントのよく貯まるカードを持ちなさい」と言うこと。それには還元率の高いカードを選ぶのが1番ですが、飛び抜けたカードが少なくなっている現在、オススメなのが、家賃の支払いをクレジットカードに変えることです。家計の中でも大きな金額になる家賃を毎月支払うことになりますから、まとまったポイントも貯まります。最近では毎月の家賃をクレジットカード払いにできる賃貸物件が増えています。

たとえば、アプラスとレオパレスが提携したクレジットカードで家賃の支払うとTポイントが貯まる『Tカード プラス レオパレスメンバー』があります。

これは「Tポイント」サービスを搭載したクレジットカードで、国内全182店舗のレオパレス21直営店で入居手続きを行なった顧客に向けて発行されます。月々の家賃をこのクレカで引き落とすことで、毎月200円に付き1ポイントの「Tポイント」が貯まります。貯まった「Tポイント」は、全国約72万店舗の加盟店で、1ポイント=1円分として利用ができます。

家賃をクレジットカード決済にすると、いろいろなメリットがあります。ポイントがどっさり貯まるほかにも、自動引き落としになるので、振り込みをする手間や手数料がなくなり、振り込みをうっかり忘れることも防げます。しかも、家賃の支払い日に現金がない場合でも、カード代金の引き落とし日までに家賃分のお金が紐付けされた銀行口座にあればいいので、支払いの猶予ができる面でも有利です。

※なお、『Tカード プラス レオパレスメンバー』は、レオパレス21直営店においてレオパレス21の管理物件に入居を希望し、契約時の初期費用の支払いに1~24回払いが選択できる「アプラスショッピングクレジット」を利用することが条件となります。

永久不滅ポイントで、株式投資がはじめられるカード

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Image: lucadp , Elena Abrazhevichr / Shutterstock.com

今までポイントといえば、貯まったポイントで日用品と交換したり、買い物に利用するといった使い道でしたが、新たに、貯めたポイントを運用して保有ポイントを増やすことが可能になりました。

このサービスを提供しているのは、ポイントの有効期限がない「永久不滅ポイント」で有名なクレディセゾンの『セゾンカード』です。

永久不滅ポイントの活用では、2016年12月からマネックス・セゾン・バンガード投資顧問の投資信託に連動させたポイントサービスが知られています。初心者向けのバランスコース、中級者向けのアクティブコースに加えて、日本株コース、米国株コースの4つから、自分にあったコースを選べます。すでに12万人が利用していますが、5月から株式関連サービスも加わります。

これは、株価に連動して毎日価値が変わっていくポイントサービス「STOCKPOINT」と提携して、クレディセゾンが行うサービスで、カード利用でもらえる永久不滅ポイントを上場企業の株価に投資し、運用したポイントが1株価格相当に増えると株式に交換できるというものです。

これまで1000円で1ポイントと還元率が低かったサービスをポイントの運用をうまく組み込むことで、保有ポイントを増やすチャンスがでてきました。今まで投資をやったことがない人にとっても、元手となる資金がなくても簡単にはじめられる仕組みになっていますので、一度試してみてはいかがでしょう。

家計の司令塔、家計簿アプリと連動したカード

ご紹介した新しいサービスやポイント付与の動きを裏で支えるツール出てきました。それが毎日の家計を管理する「家計簿アプリ」です。現在、6~7の業者がありますが、なかでも、マネーツリーは、基幹技術となるMT LINK(自社の持つ豊富な技術を提携金融機関に公開・提供する仕組み)を提供しており、会計・金融業界で、最多の金融系API連携数を誇ります。その技術を生かして、三菱UFJニコスと共同で、請求金額アプリをリニューアルしました。

この「三菱UFJニコス 請求額・ポイント残高かんたん確認アプリ」の良いところは、系列のMUFGカード、DCカード、Nicosカードだけでなく、他社のカードであっても利用明細がわかるようになった点でしょう。その結果、自分の手持ちのクレカ、電子マネー、ポイントなど、すべての取り引きを把握して、家計管理が行えるようになりました。ほかにも、銀行口座、証券口座の残高や利用明細も閲覧できますし、カレンダー機能では、複数のクレジットカードの利用日と引き落とし日を明示してくれるので、自分のカードライフをしっかり把握することができます。現時点で「三菱UFJニコスアプリ」のダウンロード数は120万を超えています。


クレジットカードやデビットカードなど、マネーカードを活用するなら、ポイントをしっかり貯めて、賢く活用したいですよね。自分のライフスタイルにマッチした、カード選びの新常識の1つとしてぜひ参考にしてください。


Image: Giovanni Cancemi , LuckyVector , lucadp , Elena Abrazhevich , AF studio / Shutterstock.com

Source: Tカード プラス レオパレスメンバー , セゾンカード , STOCKPOINT , 三菱UFJニコス 請求額・ポイント残高かんたん確認アプリ ,