私の会社の機械学習経験ゼロの「ディープラーニングおじさん」が会社のAI戦略を動かすまで

ディープラーニングおじさん

 私の会社には「ディープラーニングおじさん」がいます。「います」といっても私が勝手に一人で心の中でそう呼んでいるだけですが…ともかく、今日はその「ディープラーニングおじさん」が、機械学習経験ゼロから、最終的に会社を動かすまでの華麗なる軌跡を紹介したいと思います。

 なお、会社に関する情報は、私の都合である程度、虚実入り混じった情報になることご了承ください。今回の話で伝えたいことに関しては、影響は無い範囲とは思っています。

ディープラーニングおじさんの華麗なる軌跡

 自分のツイートを「ディープラーニングおじさん」で検索したら、最初に引っかかったのが2016年10月ころでした。もう1年半くらい前ですね。

 ちなみに、このころの「ディープラーニングおじさん」は、組み込み系のソフトは多少経験がありCが多少は書けるものの、Pythonは当然触ったことなく、そもそもLinuxとUbuntuとC言語とPythonの違いもよく分かっていないという状況でした。

 そんな「ディープラーニングおじさん」が、何故か「ディープラーニング」に興味があるということだったので、ちょうど家で「Chainer」使って画像認識のサンプルを動かしていたりしたことなので、簡単なデモを見せました。デモの内容自体は以下記事の延長線上で、リアルタイムにカメラで物体を検出して、それが何かを音声で教えてくれる、的な内容だったと記憶しています。

 イメージ的には以下に音声付きという感じでしょうか
 こんな感じのデモをした記憶

 その後の「ディープラーニングおじさん」の成長は凄まじかったです。正直、最初は環境構築あたりですぐに挫折するだろうと思ってました。

 でも、「ディープラーニングおじさん」は諦めませんでした。わずか3ヶ月後。

 もうここら辺で、完全に見る目を改めました。この人只者ではないなと。さらに、半年の時間が流れます。

 ここら辺の時点で、完全に完敗です。清々しいまでに完敗しました。いや、ひょっとしたらPythonは自分の方が少しは書けるかもしれないけど、その情熱や姿勢と、ディープラーニングに対する知識量。全てにおいて負けたと思いました。

 さらに半年の月日が流れます。会社が「人工知能」というバズワードに踊らされて、怪しげなベンチャーに数千万の投資をしようとしようとしていたとき「ディープラーニングおじさん」が立ち上がります。関係者に地道にデモをふまえて、わかりやすい技術説明からはじめ、仲間を増やしていき。関係者含めた会議をなんどか開き、複数会社のコンペにまで持ち込み「ディープラーニングおじさん」がここぞと思うベンチャー(多分、この分野に詳しい人なら誰もが知っている会社)をコンペにねじ込みます。当初予定していた怪しげなベンチャーは逃げ出し、ついに会社の方針が変わりました。

「ディープラーニングおじさん」から教えられたこと

 ここで、「ディープラーニングおじさんはワシが育てた」と言うつもりは、ほんと毛頭、毛先の一本分もありません。私はただきっかけを作っただけですし、もし私がいなかったとしても、多分「ディープラーニングおじさん」は、いつか自分でディープラーニングを知って、同じような道を辿っていたと思います。

 どんな丁寧な教育のシステムやチュートリアルがあっても、やらない人はやらないし、やる人はやるのですよね。教育って、本人以外ができることって、きっかけを与えることと、やる気のある人を加速させること、失速させないことくらいなのじゃないかな、って思ったりします。

 ここで告白すると、実は私が最初にディープラーニング含む機械学習を勉強し始めた理由って、いきなり会社で「人工知能使って何かしろ!」と言われたときに、反論できるハッタリをかませるくらいの知識が欲しいという、しょうもないネガティブな動機からだったのですよね。でも「ディープラーニングおじさん」が、ひたすらディープラーニングに魅せられ、取り組み、技術に対して目を輝かせ、自分で手を動かし、周囲の考え方も変えていく様子を見て、自分も少しずつ考え方が変わっていきました。今では「もし機会があるなら、ディープラーニング仕事に使うのも良いかもな」と思ったりもします。まぁ使わずに済むならそれに越したことはないのですけどね(笑)

 結局、教えられていたのは私の方だったのかな、と今では思います。今度は私の方がきっかけを貰いました。あとはやるだけですね。  

まとめ

 私の会社の「ディープラーニングおじさん」の話でした。え、「ディープラーニングおじさん」の今ですか?もちろんGPUガンガン積んだモンスターマシンで、元気にディープラーニングしてますよ(笑)

 正直自分の会社で、凄いと思う人はいても、こういう人になりたいって思うことはなくて、常に理想の上司はドラゴンボールのフリーザ様だったのですが、今の理想の上司は「ディープラーニングおじさん」ですね。少しでも深く近づけるように、私もGPUをガンガンぶん回したいと思います(笑)

追記:その後のお話。もし読みたい方は。

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変更履歴

  • 2023/07/08 その後の話追記
  • 2020/12/20 AI本の執筆に関して追記