ストップモーションならではの魅力、あふれてます。
子供のころ、「大人は頼りにならない!」と不満を募らせて一人で突っ走ったことがある人なら誰でも共感し、応援したくなる捨て犬映画『犬ヶ島』から、主役アタリを演じたコーユー・ランキン君が舞台裏を紹介するフューチャレット映像が届きました。
ウェス監督によると人形は「コーユー君の演技をもとに」デザインされているそう。その人形ですが、まずは顔を作って表情を作るところから始まるそうです。いわゆる「立体表情集」というところでしょうか。ここで必要な表情を決めたら、後半で紹介される取り外し式の顔46個になるのかな。
パペットの体は、半々の型を作ってゴムを流し込んでパーツを作り、中に骨組みを入れます。犬の演技で重要となる尻尾と耳は柔らかなワイヤー入り。
本作は日本が舞台のストップモーション・アニメーション映画なので、去年公開の『クボ 二本の弦の秘密』と色々比較されそうですよね。『クボ』は表情にとくに力を入れていて、顔だけで口パーツ8000+眉パーツ8000、組み合わせは4000万通り以上でした。
そうなるとアタリの46個はとても少なく感じますが...これは『ファンタスティック Mr. FOX』然り、ウェス監督が、3Dアニメと見紛うほど滑らかに動く人形ではなく、人形であることを常に意識させる人形劇を作りたいと意図しているから。
そうそう、『クボ』が日本へのラブレターなら、本作はウェス監督から黒澤映画へのラブレターなんですよね。動画冒頭に登場する「小林市長」のデザインは日本を代表する侍俳優・三船敏郎さんだし、ゴミの島が舞台なのも黒澤映画の『どですかでん』だし。他にも黒沢映画好きにはたまらないオマージュの数々が散りばめられているようです。
近未来日本のメガ崎(ネーミングが秀逸!)を舞台に繰り広げられる犬捨て・レスキュー大冒険。子供 × 動物という反則興行成績狙いテーマに加え、独特な世界観が評判なウェス・アンダーソンのストップ・モーション・アニメーションというミラクル・ケミストリー起こりまくり(のはず)な『犬ヶ島』は5月25日(金)に日本公開です。
Image: ©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
Source: YouTube, 映画『犬ヶ島』公式サイト
(中川真知子)