快適で気持ちいい納得させられる上質さ

このCB1000Rは、今までホンダのラインアップにはなかったカテゴリーの、オシャレでスポーティなスポーツネイキッド。正確なところを言うと、欧州生産で、日本では販売されていなかったモデル・CB1000Rの後継になる。さらにルーツをたどれば、日本でも2001年に登場した「CB900ホーネット」の姿がおぼろげながら見え隠れする。

画像: 2018年4月2日発売 163万6200円

2018年4月2日発売
163万6200円

かつてのホーネットを含めて、このシリーズに共通していることがある。懐古的なテイストに拘るのではなく、最新のデザイン、技術で普通のライダーが普通に楽しめるスポーツネイキッド、というもの。言い換えれば、極めて自由で健全なスタンダードスポーツだ。

まず、このスタイルが大きな魅力。最近のホンダ車の中でも傑出した斬新さで、独特の個性がある。ただ、コンセプトモデルではタンクエンドは地金のクリア仕上げだったが、これがステッカーになったのが寂しい。

このクラス、伝統的にエンジンはスーパースポーツベースのものが搭載されてきた。だが、今回、敢えてソレを強調していない。開発責任者の内田さんが言うには、このバイクの性格を誤解させないためなのだという。

6000〜1万回転辺りは元気の良さがハッキリしている!

画像: 6000〜1万回転辺りは元気の良さがハッキリしている!

今回、パワーは前モデルの125馬力から145馬力になった。これで活気とエネルギッシュな吹け上がりを手に入れたんだが、その応答は徹底的に紳士的! 面白いエンジンで、まず、元気のいい回転域が6000〜1万回転あたりとハッキリしている。でも、3000回転より少し下の回転域から2次曲線的にそこへつなげているので、トルク変動する回転域がやたらと広いのだ。このトルク変動によって、ドラマチックな吹け上がりとして感じるられるように味付けした。しかも、もっとも応答がダイレクトなスポーツモードで走ってもツキは優しく、リニアな力の立ち上がりを丁寧に制御してくれる。パワードライバビリティはスポーツネイキッドの中でも最高だと思う。

画像: 前モデルと比べても全体的にアグレッシブさを持った出力特性の新型CB1000R。低回転域からの高いスロットルレスポンスと力強いパワーフィールが新型のウリだ。加えてライディングモードで、そのシーンにマッチした走りを演出してくれる。

前モデルと比べても全体的にアグレッシブさを持った出力特性の新型CB1000R。低回転域からの高いスロットルレスポンスと力強いパワーフィールが新型のウリだ。加えてライディングモードで、そのシーンにマッチした走りを演出してくれる。

試乗当日、天候はあいにくの雨で、峠道は完全なウェットだった。でも掲載写真くらいのバンク角で走れてしまった。しかもこれ、スポーツモードである。プロだから当然だろ…というなかれ。このバイクを編集部員にそのまま渡したら、同じような勢いで走っていた。もちろんスポーツモードのままでだ。

これがレインモードだとずっと優しく応答する。でも使うなら、枯れ葉が乗ってるウェット路面とか、泥が出ているキケンな状況だけだど思う。ウェットでもスタンダードやストリートやスポーツモードのままで、不安はない。このバイク、スポーツモードで走っていても、スリップする手前まで、多くのライダーが安心して攻められるのだ。電子制御系は、上級SS並みに煮詰められている。ABSはさながらSS用のレーシングABSのようで、濡れた凸凹路面でも過剰に作動することなく、しっかりとブレーキングできる。実はコレができるスポーツネイキッドは少ないのだ。

トラクションコントロール(ホンダではトルクコントロールと呼ぶ)やエンブレコントロールといった、そんな電子制御に頼る前段階の「素性」のできばえ、バランスがいいのだ。いや、むしろスゴいと言った方がいいだろう。

SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高 2120×790×1090㎜
ホイールベース 1455㎜
シート高 830㎜
車両重量 212㎏
エンジン形式 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 998㏄
ボア×ストローク 75.0×56.5㎜
圧縮比 11.6 : 1
最高出力 145PS/10500rpm
最大トルク 10.6㎏ーm/8250rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 16ℓ
キャスター角/トレール 25°00’/100㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 ダブルディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・190/55ZR17

コイツにはどこまでも走りたくなる感触がある

雨の中でも安心して、気持ちよく走り回れたもうひとつの理由は、乗り手の指示を素直に受け入れるシャシーがあるからだ。スタビリティのいい快適なサスも持っている。前後ショックは、ソフトめのバネと、強い減衰力だが初期作動が極めてスムーズなダンパーを備えている。小さなギャップを乗り越えたことは伝えてくるが、衝撃は伝えない。ウネリを超えても落ち着きがよく、波状のギャップなども安心して、いい勢いで越えられる。これはスポーティな走りをしている時に限ったことではなく、ただ走っているだけで乗り心地がよく、どこまでも走りたくなる感触があった。

フレームも優しい! 乗り手の体重移動を僅かなシナリで軽く受け止め、ガチガチしたタッチはまるでないが、でも節度はしっかりある。気負わずに、色々な操作ができるので疲れないし、容易にコントロールが可能だ。車体設計担当の後藤さんやテストの高柴さんに話を聞いてみると、まさしく、こういった扱いやすさを車体の剛性バランスやマスバランスから生み出すことこそが大きな目標だったという。ソレは上手くいっていると思う。気になったことと言えば、6000回転以上でシートに少し振動が出ることくらい。100㎞/hで6速4200回転ほどだから、実用上はあまり関係ないだろうが。

何しろ、ツアラーでもツーリングスポーツでもないのに、そういうバイクより快適で気持ちよく、どこまでも走っていきたくさせるような操縦フィールを持っている。CB1000Rは、そんな使い方までできるスポーツネイキッドなのだ。車体のそこかしこから、オトナを納得させる上質さを感じさせる。いい走りをしていると思う。

画像: 伝統的な丸形LEDヘッドライトをモダンにデザイン。ロービームとハイビームの間にはHONDAロゴのプレートがアクセントとして入る。

伝統的な丸形LEDヘッドライトをモダンにデザイン。ロービームとハイビームの間にはHONDAロゴのプレートがアクセントとして入る。

画像: 発進、停止時以外のクラッチレバー操作が不要となるクイックシフターを標準装備。ストロークセンサーはCBR1000RRと同じ物を採用している。

発進、停止時以外のクラッチレバー操作が不要となるクイックシフターを標準装備。ストロークセンサーはCBR1000RRと同じ物を採用している。

画像: 小型化を図りつつ、情報を集約した液晶デジタルメーターを採用。左上部に車両情報をひと目で伝える8色のマルチカラーライン表示を採用。

小型化を図りつつ、情報を集約した液晶デジタルメーターを採用。左上部に車両情報をひと目で伝える8色のマルチカラーライン表示を採用。

幅広い走行状況に適したディメンション

旧モデルと比べ、リアサスペンションの過度な縮みを抑える指標のひとつであるアンチスクワット率を高く設定している。これにより、求められる走行状況に対して的確に運動特性を発揮。さらに、スロットル操作に対し、後輪を効果的に路面に押し付けて、増加した駆動力を効果的に伝えることで、車体レスポンスも向上している。

画像: 幅広い走行状況に適したディメンション

RIDING POSITION(身長:176㎝、体重:68㎏)

シートとタンクエンドの処理はスリムで、ホールドしやすく、このクラスとしては足着きもいい。乗車中にヒザが窮屈になるようなライポジではなく自然で楽だ。ハンドルのシボリが弱めなので、少し肘の開くファイティング気味な姿勢になる。

画像1: RIDING POSITION(身長:176㎝、体重:68㎏)
画像2: RIDING POSITION(身長:176㎝、体重:68㎏)

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オートバイ 2018年6月号 [雑誌]

モーターマガジン社 (2018-05-01)

 

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