実用一辺倒だけじゃない、楽しい応用ができそう。
新薬製造の工程は高額な機材を導入し、高価な道具を使い捨てにするような、非効率的な作業だらけ。そのムダをバッサリ斬るべく考えられたのが、水滴をプログラム通りに動かし、合体させて混ぜたりできる不思議な撥水基板「プログラマブル・ドロップレッツ」でした。
この技術は、電動率が高い(電気が通りやすい)液滴に電圧をかけると、ベタっと落とされた液滴がやや球体に近い形状となり、接地面が少なくなるという物理現象「エレクトロウェッティング」を利用しており、まるで水滴が基板の上を『ぷよぷよ』のように自由自在に動くのです。
と、ここまでが前回のお話。今回はこの「プログラマブル・ドロップレッツ」を利用して、アートな実験やゲームからもっとこの技術を理解してみよう! という映像です。
まずは水彩絵の具を、作りたい色に混ぜてくれるデモでした。電子基板がパレットになっちゃうだなんて、夢にも思いませんよね? 色の濃淡だって、水を何滴混ぜるかで何%薄くなるのかが直感的に理解できるのです。まるでアナログなお絵描かきソフトのよう。
続いては追いかけっこゲーム。プレイヤーは基板を傾けて、自分の水滴(この場合はオレンジ色)で任意の水滴を追いかけます。逃げる水滴はコンピューターで制御されているので、ひとりでにどんどん逃げていこうとします。
水に濡れると形を変える紙なども、方向や量を基板で操作して変形させられる。というデモもありました。
この技術を応用すれば、将来的にスマートフォン上にメッセージを書いたものが、水蒸気で曇った鏡に描写される…なーんてポルターガイストめいた遊びもできちゃいます。
複数の水滴を同時に移動、合体、変形、分離させることができる「プログラマブル・ドロップレッツ」。原型となる技術は過去にあったものの、Udayan Umapathiさんのチームはこれをさらに押し広げようと研究を重ねています。
水滴は雨から涙まであちこちに存在しています。この調子だと、いつか誰も思いつかなかったような応用方法がどんどん登場しそうな気がしますね。今後を楽しみにしておきましょう。
Image: Tangible Media Group
Source: BGR via vimeo, Tangible Media Group
(岡本玄介)