こちらの記事は2018年4月14日に公開されたものです
ちゃんと理由があるんです。
ついに今月公開となるマーベル映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』。ここまで来るまでの約10年間、マーベル映画は本当に盛り上がり続けてきましたが、個人的にちょっと気になることがありました。
それは、ヒーロー単独作品の一本目がほとんど必ず自分の悪の分身みたいなヴィラン(=敵キャラ)と戦い続けているというところ。
例を挙げると『アイアンマン』では、パワードアーマーで戦う社長トニー・スタークの敵は会社を乗っ取ろうと画策しトニーのパワードアーマーを改造して戦う副社長のオバダイア・ステインでした。
そこから、『インクレディブル・ハルク』のアボミネーション、『キャプテン・アメリカ』のレッド・スカル、『アントマン』のイエロー・ジャケット、『ドクター・ストレンジ』のカエシリウス、『ブラックパンサー』のキルモンガーといった具合に、ヒーローとその境遇や能力、装備が、似ているか対極だったりするヴィランが沢山登場しています。
もちろん、『マイティー・ソー』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(チームものだけど)、『スパイダーマン:ホームカミング』など、ぜんぜん違うタイプのヴィランが登場することもありますが、それにしても多い。
ちなみに『アイアンマン』は、『2』も『3』もパワードアーマーや企業家/科学者が敵という同じタイプのヴィランが続いています。
どれもだいたい面白いし、決してお話がワンパターンになっているという程でもないのですが、なんでここまで続いているのかがどうも気になる。もちろんマーベルのコミックにそういうキャラクターが定番のヴィランだからといえば、それでおしまいなのですが、じゃあなぜコミックもそうなのか。
そんなことを最近考えていたら、ちょうどぴったりな疑問をio9のライター、Beth Elderkinさんが紐解く動画と記事が公開されていましたので紹介しておきましょう。
内容をまとめると、これは何もマーベルが大好きなお話のスタイルというわけではなく、紀元前6世紀頃に生まれたゾロアスター教のアフラ・マズダとアーリマンやその後生まれたキリスト教の神とサタン、カインとアベルと言った具合に古代の宗教でも対極の存在の戦いが描かれ続けてきていて、それを源流にしているんだとか。確かに!
さらに、自分に似た悪の存在との戦いというのは、いわゆる自分の分身である「ドッペルゲンガー」が源流であり「チェンジリング」といった名前で民間伝承に登場しています。これは文学作品に長いこと使われてきた定番のテーマであり、その始まりは19世紀の怪奇小説『The Devil's Elixirs(邦題:悪魔の霊液)』なのだとか。ハルクの元ネタである『ジキル博士とハイド氏』もその一部ですね。
ではなぜ、作家たちはそのスタイルを使い続けているのか。それはほんの少しの差で善にも悪にもなれるという人間の二面性を描くことができるだけでなく、分身的な存在とのやり取りを通じて、キャラクターが自らの感情や弱点と向き合う話を描くことができるからとしています。
考えてみると改めて気付かされますが、本当に長い歴史がありますよね。他にも分身を見つめることで生じる内なる戦いは最強クラスのキャラクターですら苦しめられるものであると同時に、そこに人間味を感じて観客が感情移入しやすいというものあるのかもしれませんね。
とにかく、確かにワンパターンといえばワンパターンに思えるかもしれませんが、とにかく物語を面白くするのに効果的だということを歴史が証明しているのです。また同じタイプのヴィランが出てきても、それじゃあどんなの面白いものを見せてくれるんだと、期待しながら楽しんでいきたいですね。
果たして新たなヴィラン「サノス」はどんなキャラクターなのか。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日公開!