お金について考えるときは、つい「お金を使うことで得られるプラスの効果」に目がいきがちです。

「Xドル投資すれば、長期的に見てY%のリターンが得られるはず」

「このソファを買えば、アパートの部屋の雰囲気が明るくなり、住んでいる私の気分も良くなる」

といった考え方ですね。でも、投資に関して決断を下すときは、その対象にお金を払うのと引き換えに失うもの、つまりマイナス面についても、よくよく考慮することが大事です。

トレードオフを意識する

私たち人間には、衝動的な決断をしやすいという性質があります。でも、拙速な決断をしたり、形だけ考えたフリをしたりするのではなく、真剣に「これに決めた時にあきらめなくてはならないものはなんだろう」と考えてみましょう。そうすることで、目先の利益に飛びつくことなく、お金について長期的な視野を持てるはずです。

この話題について、「ウォール・ストリート・ジャーナル」などに個人のマネー管理についてコラムを寄稿するJonathan Clements氏のブログ「HumbleDollar」に、以下のような投稿がありました。

トレードオフ(一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという状況)や「機会費用」(選択しなかったことによる損失)を意識したからといって、正しい選択ができるという保証はありません。最初に感じた衝動に従うことが非常に魅力的で、抵抗できないことが多いからです。それでも、意識することで、多少なりともトレードオフの問題を考慮できますし、ほかの選択肢を検討する冷静な心を取り戻せます。さらには、違う道を選ぶ意志の力を奮い起こすことさえ可能になるかもしれないのです。

これは単に、仕事でクタクタに疲れた日に衝動買いをするのは是か非かという問題にとどまりません。機会費用は、お金に関するすべての決断に取り入れるべき考え方です。

Clements氏はこう書いています:

たとえば、新たな投資信託にまとまった額の資金を投じるとしましょう。その場合、投資が市場の特定の分野に偏る恐れがあります。特に、新たに購入を検討している信託の投資対象が、すでに購入している投信と近い場合にはなおさらです。また、家を買う場合でも、予定外の出費に備えて緊急時用の貯金を積み増ししたり、万が一自分が死んでしまった場合に家族が住宅ローンを返済できるよう、生命保険の掛け金を増やしたりする必要が生じるかもしれません。また、会社を辞めて自営で働くとなれば、健康保険の費用も完全に自分持ちですし、病気やケガで仕事ができなくなった時に備えて所得補償保険に入るための出費もかさみます。

これは私にとって、特に身につまされる問題です。というのも、今ちょうど、ニューヨークでワンルームの家賃を払うのに苦労しているからです。そのためには、すっかり習慣化している無駄使いを改めなければならないことは、理屈の上ではわかっています。こうした無駄な出費は、いつでも自由に使える貯金を増やすという、お金に関するもう1つの目標の障害になっているのも確かです。

しかしClements氏によると、ほかにも考えなければいけない点があるようです。それは、

  • その決断は、私の幸福にどれほどの影響を与えるのか?
  • どのようなリスクがあるのか?
  • ほかにもお金に関して変えなければいけない点があるのか?
  • まだ想定していない、追加の費用にはどんなものがあるのか?

といった問題です。

これは特に新しい発想ではありません。米Lifehackerでも以前に、何かを買う前に「一時停止ボタン」を押し、自分なりのルールを決めるよう促す記事を掲載しています。

しかしこれは、衝動買い以外のお金に関わる決断にも当てはまる話です。何かにお金を費やすと決めたら、ほかの何かにお金を使うことをあきらめなくてはなりません。

投資対象が適切に分散されているポートフォリオや会社持ちの健康保険といった、一般的に妥当とされる出費でもこの点は変わりません。こうした決断を下す時には、冷静さを保ち、引き換えに失うものについてもよく考えるべきでしょう。

Clements氏も、あらゆる決断が、その人のお金に関する状況すべてに影響を及ぼすわけではないとしながらも、「あとになって思いもかけない悪影響が出ることもあるので、重要な決断であることは間違いありません」と指摘しています。


Image: pathdoc/Shutterstock.com

Source: HumbleDollar

Alicia Adamczyk - Lifehacker US[原文