10年前に落下した隕石、もともとは太陽系初期の原子惑星体だった

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  • author Rina Fukazu
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10年前に落下した隕石、もともとは太陽系初期の原子惑星体だった

さかのぼること、太陽系「初期」...!!

2008年、小さな石のかけらを撒き散らしながらスーダンのヌビア砂漠の僻地に80トンの隕石が落下したのをご存知ですか?

先日Nature Communicationsに掲載された論文によれば、この隕石に含まれていたダイヤモンドを詳しく調べたところ、水星と火星の中間くらいの規模の今はなき原子惑星体によって形成されていたことが明らかになりました。

「アルマハータ・シッタ」とよばれるこの隕石は、初期の太陽系に原始惑星体が存在したことを示す最初のエビデンスになるとして注目されています。水星と火星の中間くらいの規模の惑星体が、未だ解明されていない別の惑星体に打ち砕かれて太陽系に巨大な残骸をばらまき、地球のように大きな岩石惑星の基礎となったと考えられています。

この仮説の背景には、地球に降り注いだ隕石のうち1%未満という珍しいタイプの隕石「ユレーライト」があります。もっとも大きなものでも人間の髪の毛の幅ほどしかない極小のダイヤモンドを含有し、それらは地球上で発見されるダイヤモンドと同様に高圧と高温の産物であると考えられます。

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アルマハータ・シッタ隕石に含まれるダイヤモンドの内部を示した顕微鏡画像。グレーは炭素、黄色はその他の結晶。
Image: Dr. F. Nabiei/Dr. E. Oveisi/Prof. C. Hébert (EPFL, Switzerland)

こうした原始惑星の存在について、天文学者らは何十年ものあいだ懐疑的であったものの、明確な証拠がない状態が続いていたといいます。実際、惑星の初期形成を予測するコンピュータシミュレーションによって太陽系誕生から最初の1000万年の間にこうした巨大な惑星体の存在が示されていましたが、物質的証拠は欠けていました。

ところが、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)による最新の研究によれば、このユレーライトが 今はなき惑星の残骸であると指摘されています。研究では、透過電子顕微鏡法など計3種類の顕微鏡を使用してアルマハータ・シッタ隕石に含まれる物質について調査されました。

そこで明らかになったのは、ダイヤモンドのミネラル組成が約20ギガパスカルの高圧下で形成されたこと。これほどの圧力は、水星から火星ほどの規模、もしくはそれ以上の質量を持つ惑星内にしか存在しないといいます。

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ダイヤモンド内部のインクルージョン。
Image: Dr. F. Nabiei/Dr. E. Oveisi, EPFL, Switzerland

今回の研究について、論文では「ユレーライトの原態が、衝突によって破壊される前の今はなき惑星であったことを示す確実なエビデンスとなる」と結論づけています。

そもそも、火星サイズの物体が同じような規模感の惑星にぶつかるなんて想像を絶するような世界ですが...そこからできたダイヤモンドが地球に隕石として落ちてきて...ってもうフィクション映画レベルのイメージしかできないっ!


Top image: NASA/JPL-Caltech, Shutterstock
source: Nature Communications

George Dvorsky - Gizmodo US[原文
(Rina Fukazu)