ボンダイブルーの初代iMac、20周年を迎える。Appleの歴史はこれをなしに語れない

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  • author 山本勇磨
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ボンダイブルーの初代iMac、20周年を迎える。Appleの歴史はこれをなしに語れない
Image: Apple

今のAppleを作った、そう言っても良い理由があります。

現地時間5月6日は初代iMacが発表されてちょうど20年でした。初代iMacといえば、ボンダイブルーの半透明ボディが特徴的。当時を過ごしていた方なら、iMacのブラウン管のように記憶に焼きついた歴史的な1台でしょう。

こちらは、20周年に合わせてティム・クックがツイートした当時の発表会のようすです。20年前の1998年5月6日、スティーブ・ジョブズによって発表されました。

ボンダイブルーの初代iMac、これなしでAppleの歴史は語れません。それには多くの理由があります。

1つはパーソナルコンピューターの「デザインの基準」を変えたこと。いや、パソコンにデザインの基準を与えたといったほうが適切かもしれません。当時のパソコンといえば、黄ばみやすいアイボリーの箱が多数でした。そんななか現われた透き通ったブルーで流線型の初代iMac、これはプロダクトデザインという側面でパソコン市場に大きな影響を与え、今のAppleのブランドイメージでもあるデザインへのこだわりを力強くイメージづけました。

また初代iMacは、AppleがNeXTを買収するかたちで復帰したスティーブ・ジョブズの初の製品。ジョナサン・アイブとジョブズが初めて手を組んで開発したマシンでもあります。そんな初代iMacは、ジョブズがAppleを離れていた間にリリースされた煩雑な製品ラインアップを改造する一手として登場。のちに同じiを冠した「iPod」「iPhone」「iPad」はAppleをトップブランドに成長させました。

この「i」という製品名は、初代iMacではインターネットを意味していました。本体側面のポートにLANケーブルと電源ケーブルを繋げば、すぐにインターネットが使えるiMac。タワー型のデスクトップPCが一般的だった当時に一体型のマシンを作り、ごちゃごちゃしたケーブルを排除したシンプルな設計は初代iMacの売り文句でした。

こういったユーザーファーストな設計は現在のApple製品でも強調されており、今もユーザーに受け入れらている大きな要因でしょう(必要なコンポーネントを揃えた「Apple II」を見れば、ユーザーファーストな設計は本来のジョブズの考え方ではありますが…)。iTunesに繋いて同期ボタンを押せばすぐに使えるiPodから、開けてすぐに接続できるAirPodsやHomePodまで、今のApple製品でも息づきます。

Appleをデザイン志向のメーカーであることをイメージづけ、ユーザーファーストな製品シンプルな製品ラインアップで展開する。そういった今のAppleでは当たり前となった方向性を初代iMacは示しました。20年前のiMacは、Apple製品の正しい道を提示し、Appleを成功に導いた羅針盤のような1台なのです。


Image: Apple
Source: Twitter

(山本勇磨)