新しい仕事をはじめるのは楽しくてエキサイティングなことです。あなたが幸運な人なら、仕事はすべてオフィスの中で完結できるでしょう。しかし、現実はなかなかそうはいきません。きっとあなたは、自宅でも少なからず仕事をすることになるはずです。あるいは、「オフィスに顔を出さなくてもよい」というポリシーを利用して、家でゲームをしたりお酒を飲みながら仕事をするようになるかもしれません。

このように、オンとオフの境界があいまいになってくると、PCやスマートフォンを仕事とプライベートでどう使い分けるのかという問題が発生します。

今回は、私の経験談からその解決方法をご紹介します。

仕事とプライベートでパーティションを分ける

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Screenshot: David Murphy

あなたがラッキーなら、会社から貸与されるノートPCの完全な管理権限を持つことができ、システムに手を加えてもIT部門にとやかく言われないのかもしれません。

その場合は、プライマリハードドライブ(データの保存先)を仕事用とプライベート用の2つのパーティションに分けない理由はありません。可能であれば、プライベート用のパーティションだけでもファイル暗号化を施してください。まともな企業なら、仕事用のパーティションを暗号化するように言ってくるか、最初から暗号化プログラムがインストールされているはずです。

どんなに自由裁量があっても、基本ルールは必ず遵守してください。会社から貸与されたノートPCで、疑わしいことをしないということです。たとえプライベート用のパーティションの中でも、BitTorrentを開いたり、アダルトサイトを閲覧するなど、明らかに仕事と無関係なことをしてはいけません。

プライベート用のパーティションを作るメリットはたくさんあります。まず、企業がインストールした迷惑なソフトウェアを回避することができます。たとえば、あなたがブラウザで作業中なのにもかかわらず、ソフトウェアのアップデートのために、強制的にログアウトさせるようなサードパーティプログラムがインストールされているかもしれません。あるいは、業務で使用するアプリケーションとの互換性の関係で、オペレーティングシステムのアップデートを制限するツールが組み込まれていることもあります。

また、仕事とプライベートでパーティションが分かれていれば、ワークライフバランスも管理しやすくなります。また、仕事用パーティションにプライベートなパスワードを保存していて、会社を辞めるときに消し忘れるなんて事態も避けられます。会社のVPNに自動ログインした状態だったのに、見てはならないWebサイトを閲覧してしまった、なんてこともありません。

もう1つのやり方:仕事とプライベートをアプリで分ける

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Screenshot: David Murphy

PCのハードドライブを2つのパーティションに分けるのはちょっと怖いとか、気が進まない、企業から禁じられているという場合は、別のやり方で仕事とプライベートを使い分けることができます。

たとえば、Webブラウザのプロファイルを仕事用とプライベート用の2つに分けることも可能です。もっとも、プライベート用のプロファイルを使っているときでも、上司に見せられないようなサイトを閲覧すべきでないのは当然です。ですが、プロファイルを分けておくことで、オンラインスプレッドシートで作業するはずが、かわいい猫ちゃんの写真に見入ってしまっていたなんて事態は起こりにくくなります。

そのほか、プロファイルごとにブックマークや拡張機能を個別に保持できたり、仕事用は仕事用デバイスと、プライベート用はプライベート用デバイスとそれぞれ分けて同期させることもできます。

仕事とプライベートで同じアプリを使うのはおすすめできません。たとえば、仕事のメールにOutlookを使っているときに、プライベートのメールまでOutlookに取り込んではいけません。プライベートのメールにはGmail(またはお好きなメールアプリ)を使うようにします。

ただし、カレンダーは例外です。1つのアプリ内ですべての予定を確認できたほうが、スケジュール管理はずっと楽になります。カレンダーのICSフィードを別のカレンダーにインポートするのはとても簡単です。仕事とプライベートの予定を1カ所でまとめて見られるようになれば、時間外緊急会議が入っている夜に、友人と飲む約束をしてしまった、というミスも避けられます。

さらに慎重を期したいという人は、PCの中にサンドボックス環境をつくり、仕事に無関係なアプリは、サンドボックスの中でだけ実行するようにしてもいいでしょう。少し極端なやり方ですが、IT部門からは喜ばれることでしょう。

スマートフォンはどうする?

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Screenshot: David Murphy

さて、ここからが興味深いパートです。企業からスマートフォンを貸与されている場合、そこにプライベートのデータを保存するのかしないのか、どの程度ならOKとするのか、じっくり検討する必要があります。

基本的に、プライベートで使っているPCのブラウザと、会社から貸与されたスマートフォンのブラウザは同期すべきではありません。さらに言えば、仕事で使うブラウザとプライベートで使うブラウザは別のものを使うのが得策です。たとえば、仕事ではFirefoxを使い、プライベートでは別のブラウザを使います。そうしておけば、プライベートのデータが知らないうちに会社のサーバーにバックアップされてしまったなどという事態も避けられます。

私はメールも同じようにしています。仕事もプライベートもメールはGmailサービスを利用しているのですが、仕事ではiPhoneのMailアプリを使い、プライベートではGmailアプリを使っています。Gmailアプリのほうが使いやすいのですが、こうして人工的な壁を作っておくほうが安心なのでそうしています。Mailアプリで送ったメールはすべて仕事関連で、Gmailアプリでやりとりしたメールはすべてプライベート用だとわかっているので安心です。両者が混ざり合うことはありません。

(一方、カレンダーはそこまで厳格にはせず、すべてのスケジュールを1つのカレンダーアプリに同期しています。理由は前述のとおりです)

ToDoリストに関して言えば、できるだけ1つのアプリに統合しておくことをおすすめします。あなたも他の人たちと同じく、ときには勤務時間外に仕事のタスクをこなさなければならないことがあるでしょう。そんなとき、仕事のタスクとプライベートのタスクをまとめて見られるようにしてあれば便利です。

会社から貸与されたスマートフォンにプライベートなアカウントを接続するときは、不必要なデータが同期されてしまわないように、くれぐれも注意してください。私は、メール、カレンダー、ToDoリストなど基本的なものしか使わないようにしています。たとえば、プライベートの写真ライブラリが、うっかり仕事用のアカウントに同期されてしまわないよう注意が必要です。写真はプライベート専用のアプリを使ってクラウドに直接アップロードし、スマホにはダウンロードしないようにします。

運が良い人は、仕事用とプライベート用のプロファイルをはっきりと分けられるスマートフォンを与えらているかもしれません。そうでない人は、スマホを2台持ち歩くことも検討してください。仕事だけに使う仕事用スマートフォンと、そのほかの用途に使うプライベート用スマートフォンです。2台持ち歩くのは面倒ですが、心の平安は得られます。

疑わしいときは、基本ルールを遵守する

現代では、1つのデバイスを仕事とプライベートでシェアすることが、一般的になりつつあります。しかし、どんなに賢く使い分けているのだとしても、基本中の基本を忘れてはいけません。会社から貸与されたデバイスで操作した内容はすべて記録されている可能性が高いことを、肝に銘じておきましょう。

言い換えれば、会社から貸与されたデバイスには、間違っても仕事に支障がでるようなものを保存してはいけない、ということです。知らないうちにプライベート用のアカウントから同期されてしまったというのもなしにしてください。プライバシーが気になる人は、文書であれ、テキストメッセージであれ、猫の写真であれ、会社のサーバーにバックアップされて困るものは、仕事用のスマートフォンには保存しないように。

多くの人が、「仕事用のデバイスは100%仕事だけに使う」という厳格なルールに従っていますが、それで何ら問題はありません。仕事とプライベートの境界をあいまいにする必要があれば、そうしてもかまいません。その場合は、プライベートのデータは仕事用のデバイスには一切保存しない、という運用も検討してください。

そうしている人は大勢いますよ。


Image: ARTFULLY PHOTOGRAPHER/Shutterstock.com, Lifehacker US

David Murphy - Lifehacker US[原文