いや、まったく知らない人なんだけど…?
友だちの友だちへとつながって、ユーザーの友だちネットワークの輪を広げさせようとするFacebook。もうずっと音信不通になっていた旧知の友とつながり、かけがえのないコミュニケーションに発展することはあるものの、トンデモない知り合いに紹介されてしまう問題も深刻化しているようです。
NGOのCounter Extremism Projectは、過激派組織のISISを支持する、96カ国約1,000人のFacebookアカウントの利用実態を調査。知り合いかも?とFacebookから自動的にサジェストされるユーザーとつながっていくだけで、いとも簡単に過激派思想の拡散が進められていることが明らかにされています。
The Telegraphは、Counter Extremism Projectの調査結果から、このような具体的なあげています。
たとえば、あるインドネシアのISISサポーターは、2017年3月、まったくイスラム教とは関係がなかったニューヨーク在住のユーザーに、友だちリクエストを送りました。
当初、このニューヨークのユーザーは信心深いわけでもなかったのですが、次第にイスラム教への関心を持ちます。
その後、数週間から数カ月のスパンで、インドネシアのISISサポーターは、過激さを増すメッセージやISISをたたえるプロパガンダを送り続け、つながったニューヨークのユーザーは、それにいいねを返すようになっていったのです。
問題なのは、ISISのサポーターへ自動的に知り合いかも?と紹介されていく仕組みそのものではなく、テロリストたちが、労することなく新たな支持者獲得へとつながっていくこと。
Counter Extremism ProjectのGregory Waters氏は、このような警鐘を鳴らしていますよ。
今回の調査プロジェクトにより、Facebookがいかに過激派思想を助長するコンテンツの排除に無能で、対策を講じる意欲が低いのか浮き彫りになった。プラットフォームの管理を怠ったことで、FacebookはISISをサポートするネットワークの温床となり、新たなサポーターが次々と見つかるきっかけともなっているのだ。
実際に調査対象となった、明らかにISISのサポーターとみられる1,000のFacebookアカウントのうち、半年以内にFacebookから規約違反でアカウントの差し止め措置が取られたものは、その半数にも満たなかったんだとか。今回のThe Telegraphの報道に対して、Facebookは、テロリストのアカウント停止に努めているものの、一部の地域では、まったく人員が追いつかず、十分な措置を講じることができていないと認めてもいるようです。
アルカイダとは異なり、積極的にオンラインで情報発信に関わり、ソーシャルメディアのフル活用が大きな特徴となってきたISIS。図らずも、知り合いかも?とユーザーを次々につなげていくFacebookの機能が、テロリストとのつながりを一般ユーザーにまで広めてしまう結果になってきたみたいです。
Image: Orlok/Shutterstock.com
Source: The Telegraph
Tom McKay - Gizmodo US[原文]
(湯木進悟)