ユーザー目線の製品開発から、新たなAIプロダクト計画まで…アンカーのオーディオ系マネージャー陣に話を聞いてきました

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  • author 小暮ひさのり
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ユーザー目線の製品開発から、新たなAIプロダクト計画まで…アンカーのオーディオ系マネージャー陣に話を聞いてきました
Photo: ギズモード・ジャパン

なぜ、Ankerは選ばれているのか?

その理由がわかる気がします。ギズモードでもたびたびセール情報をお伝えしているとおり、頻繁に新製品を発表しているAnker(アンカー)。僕らガジェットファンにとって鉄板メーカーになってますよね。

そんなAnkerから、新しいオーディオブランドのSoundcoreが発足しました。この様子をお伝えしたレポートでは発表された新製品を紹介しましたが、会場では製品に採用されているAnker独自のテクノロジーについての情報も盛りだくさんでした。

まず、Soundcoreブランドのスピーカーには、低音を強調させるための「BassUpテクノロジー」や、シグナルに応じて電圧を変えて消費電力を抑える「Power Boostテクノロジー」といったユニークな技術が採用されています。

また、今回発表されたモデルはすべてバッテリー搭載。コードレスで使用することができるんです。なかには手のひらサイズのコンパクトなモデルもあり、モビリティと音質の両立についての技術が詰めこまれていました。

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Photo: ギズモード・ジャパン

イヤホン/ヘッドホンにも、新しいテクノロジーが採用されています。スポーツイヤホンシリーズでは、IPX7(約1mの深さに30分間沈めても動作に影響がでない)の強力な耐水性を備えたうえで、イヤホンが故障する原因の多くが汗であるとしてSweatGuardテクノロジーという耐汗性まで実現。防御力がさらに強固になっています。

くわえて、この秋にはAI音声対応機器が登場するという話も…! このように、音質・利便性・テクノロジーがこれまで以上に進化し、SoundCoreブランドの勢いを感じます。

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ヘッドホン部門のゼネラル・マネージャーRock Gao(ロック・ガオ)さん(写真左)、スピーカー部門のゼネラル・マネージャーHerbert Fan(ハーバート・ファン)さん(写真右)
Photo: ギズモード・ジャパン

今回は、Anker Technologyスピーカー部門のゼネラル・マネージャーを務めるHerbert Fan(ハーバート・ファン)さん(写真右)と、ヘッドホン部門のゼネラル・マネージャーRock Gao(ロック・ガオ)さん(写真左)にお話を聞いてきました。新ブランドのSoundCoreシリーズに採用されているテクノロジーや、Ankerならではのユニークな発想には思わず膝を打つばかりです。


──スピーカーに採用されている「BassUpテクノロジー」は、小型モデルでも低音の強調と高音質を実現できるそうですが、この技術はAnkerの独自開発によるものなのでしょうか?

ハーバート・ファン(以下、ファン):同類の発想で機能を実装した商品もありますが、BassUpテクノロジーなどはAnker独自のアルゴリズムや技術を使って開発しました。

──サイズが小さくても十分な音質に自信があるそうですが、どんな点に注力したのでしょうか?

ロック・ガオ(以下、ガオ):技術面に関していえば、小さなスピーカーで物理的に大きな音や良い音質を実現するのは難しい問題でした。我々はチップ(DSP)の改良を重ね、アルゴリズムにも力を入れ、小さなスピーカーでも大きな音と低音部の高い音質を実現することができました。

また、実際に音を聞いたときの感覚やテイストも重視しています。どれだけ低音を強調するかといった調整は、実際に聞いたときのユーザーの感覚だったり、個人の好みにも影響してくるので、テイストやバランスを考えるのは困難でもありました。現在さまざまなオーディオブランドがあり、各ブランドにそれぞれ優れているところがありますが、Anker自身も独特な強みを持っているんじゃないでしょうか。

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Photo: ギズモード・ジャパン

──スポーツイヤホンでは耐水性に加えて耐汗性も搭載されましたが、これにはどういった技術が採用されているのでしょうか?

ガオ:耐汗に関するSweatGuardテクノロジーには、構造、糊づけ、ナノコーティングと3つの要素があります。そして、どれも非常にハードルが高かった問題です。

構造については、業界でもかなり先進的な技術を使ってIPX7の規格をクリアしています。しかし、その構造から糊づけ(接着)も必要になり、ある程度のスペースを確保しなければならなくなったんです。糊を配置するにあたって「均質性をどう確保するのか?」だったり「糊づけ後にボタンを押したとき違和感をなくすには?」など、何百回という試行錯誤を重ねてベストなソリューションを編みだしました。

ナノコーティングが施されている点も重要です。ナノコーティング自体は新技術ではないと思われていますが、実のところ大多数のナノコーティングは防汗に対応する能力があまりないのです。数十個のデバイスで検証したところ、やはりそのような結果が出ました。

そこで我々は、さまざまな独創的な実験を行なうことにしたんです。たとえば海水につけて腐食性を検証するといった実験を数百回繰り返し、最も良い構造にたどり着くことができました。

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Amazon Alexaを搭載したEufy Genie
Image: Anker

──発表会では今秋にAI音声系機器が登場する旨が示唆されましたが、それは既存のスマートスピーカーの延長にあるのでしょうか? それとも、イヤホンなど携帯性のある機器にAIが搭載されるのでしょうか?

ファン:たしかに、AIを搭載したイヤホンが今後のニーズになるだろうというのは感じています。人々のAI体験については、我々もより深く掘りさげているところです。それによってどのような世界が実現されるのかというと、たとえるなら『her』や『ブレードランナー』といった映画のようにAIと会話を行なうシーンですね。これを今後の世界のビジョンとして共有しています。

ですが、AIの音声やスピーカーは現状としてシンプルな機能しか搭載していません。実際、天気やニュースしか聞くことができませんよね。行く末として、たとえば「運動をしないといけませんよ」などのリマインドをAIが行なってくれる健康管理であったり、好みに応じて商品をプッシュするなど、アシスタントとしてのAIイヤホンというビジョンを持っています。

しかし、これを実現するためには、本当に長く複雑な過程が必要です。そのうえで、今年の秋に出すAI対応商品は、それらのすごく複雑な過程の基礎であると位置づけています。

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Photo: ギズモード・ジャパン

──未来のAIテクノロジーのベースになりうるというわけですね。現在、AIというとGoogleHomeやAlexaなどいくつかの選択肢があります。現在はAlexaやGoogle Assistantに対応する製品がありますが、今後はどこと手をつないでいくのでしょうか?

ファン:たしかに、AIの会社はたくさんあります。GoogleやAmazon、Microsoft、中国のXiaomi(シャオミ)などですね。まだ商品が出る前ですので、情報を教えることはできませんが、協力してもらうことは検討しています。実際にそのような企業とのコミュニケーションも行なっていますよ!


さまざまなテクノロジー、アプローチでどんどん新製品を繰り出していくAnker。今回のインタビューを通じて、「僕らが使いやすく、楽しむためにはどんな技術を開発するベきか」という点が重視されているように感じました。

ざっくり言えば、すごくユーザー目線なんですよね。支持を集めている理由もわかる気がします。

そんなAnkerのSoundcoreブランドからは、ここで語られた技術が搭載されたスピーカーやイヤホンが今夏にかけて続々と登場します。そして秋には未だベールに包まれたAI対応機器も予定されており、目が離せません。

先日のGoogle I/OでもAIを活用したさまざまなアプローチが話題になりましたが、各社のAIは日進月歩で進化しています。どこと手を組むにせよ、今秋にはこれまで以上に僕らの助けになってくれる気がするんですよね。Ankerの製品でもたらされるユーザーエクスペリエンス、それらにAIがどう食い込んでくるのか? ワクワクもんですね!


Image: ギズモード・ジャパン, Anker
Source: Anker, Asmilk Ace, ブレードランナー 2049

(小暮ひさのり)