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弁護士秘書として67年働いた女性がコツコツと約9億円に増やした財産を死後に寄付


67年間も法律事務所で弁護士の秘書として働き、96歳で亡くなったある女性が、コツコツと820万ドル(約9億円)もの大金を貯蓄し、死後に恵まれない学生の奨学金にあててほしいと寄付しました。

96-Year-Old Secretary Quietly Amasses Fortune, Then Donates $8.2 Million - The New York Times
https://www.nytimes.com/2018/05/06/nyregion/secretary-fortune-donates.html

多額の遺産を寄付したのは、ニューヨーク州で弁護士の秘書として働いていたシルビア・ブルームさん。ブルームさんは東ヨーロッパの移民として生まれ、大恐慌時代のニューヨーク・ブルックリンで育ちました。公立学校に通い、夜間で大学の学位を取ったのちにウォール街の法律事務所Cleary Gottlieb Steen&Hamiltonに勤めると、67年にわたってのべ1200人以上の弁護士やスタッフと働きました。子どものいないブルームさんは夫と長年、賃貸アパートに住み、その暮らしは極めて質素なものだったとのこと。職場へは地下鉄で通勤していたブルームさんは、2001年9月11日に同時多発テロ事件が発生したときも、テロ現場の世界貿易センタービルに近い職場からタクシーを使うことなくブルックリン橋を歩いて避難したとのこと。当時、84歳だったことを考えれば、タクシーを浪費と考えるような倹約家だったことがうかがえます。


ブルームさんは法律実務だけでなく、弁護士の身の回りの世話もしていた「古いタイプの秘書」で、弁護士に代わって株の売買なども行っていたとのこと。「上司の株を買うときに、彼女は自分にも同じ銘柄の株を買っていたのでしょう。もっとも秘書の給料ということで、買った株はずっと少額だったでしょうが」と、ブルームさんの姪のジェーン・ロックシンさんは話しています。


2002年に夫を亡くした後もブルームさんの生活は変わることなく、弁護士秘書として働き続けたとのこと。90歳を超えた引退間近のブルームさんが、猛烈な吹雪の日に職場に向かうため地下鉄から飛び出てきたのを見かけた同僚のポール・ハイアムズ弁護士が「一体、あなたはここで何をしてるのですか?」と尋ねると、「では、私はどこにいればよいと?」と聞き返されたそうです。ハイアムズ弁護士は「彼女がロースクールで学んでいなかったことは本当に惜しいことです」と述べています。

コツコツと貯金し投資を続けて資産を築いたブルームさんでしたが、ミンクのコートをはおうことなく、高級住宅街のパークアベニューに引っ越すこともなく、質素で質実な生活を続けたため、ブルームさんが多額の遺産を残したことを知った人はみな同様に驚いたそうです。子どもがいなかったブルームさんは、姪のロックシンさんに「残されたお金は、不遇な環境で学ぶ学生のために使ってほしい」と遺産を委ねたとのこと。その遺言に従って、遺産のうちまず624万ドル(約6億8000万円)がHenry Street Settlementの「カレッジ・サクセス・プログラム」の奨学金として学生に給付されることが決まりました。これはHenry Street Settlementの125年の歴史の中で最高額の寄付金になるそうです。

ちなみにロックシンさんはHenry Street Settlementで会計を務めているとのことで、ブルームさんは安心してお金を託すことができたようです。ロックシンさんによると、残りの200万ドル(約2億2000万円)も別の奨学金に使われる予定だとのこと。公立学校での学業と有名大学を卒業した弁護士たちとの協働によって育まれたブルーム氏の教育観のおかげで、多くの学生が学業を全うできるようになる見込みです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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