デジタルなマーク・ロスコ。
マイクやスピーカーなど、音響設備を使ったインスタレーション作品を多く制作しているアダム・バサンタさんが、横向きに立てたスキャナーを向かい合わせにした装置から、カラフルな抽象画を生み出す作品『All we'd ever need is one another』を「開発」しました。
コンピューターのスクリプトが自動的にマウスを動かし、スキャナーのソフトをランダムにイジるように設定。たったそれだけなのに、現代美術の巨匠マーク・ロスコのようなアートがジャンジャン生成されるのです。
ソフトのインターフェイスは固定された位置に置かれ、ポインターは指定されたX/Y軸をクリックするようになっています。作品の出来栄えは、頭上で明滅する電灯の明るさと、向かい側に反射したスキャナーのタイミングによる偶発性に左右されます。
そして新しく作られたイメージは現代アートのデータベースから機械学習したアルゴリズムによって分析。データベースにある作品と何かしらマッチするところがあれば、アート作品として採用され、ウェブサイトといくつかのSNSにアップデートされる仕組みになっています。
そして時折、画廊に設置された大型プリンターでも出力され、その場で壁面を飾るのです。
バサンタさんは、こうして何もかもが自動で作らるアートは、「まるでゴーレムのようだ」と表現しています。一度スイッチをONにすれば、それ以降人間の手が加えられず、アタマもココロも不在の状態から芸術作品が絶え間なく生み出されていくのです。
完成した作品は、まるで油絵のようでもあり、リトグラフ版画のようでもあります。もしこれらを買うとしたら、一体いくらのお値段になるのでしょうか?
Image: Vimeo
Source: Vimeo via prosthetic knowledge, Adam Basanta, All we'd ever need is one another, Instagram
(岡本玄介)