サイエンス

全世界のエアコン総台数は2050年までに3倍に増加して地球温暖化が加速するかもしれない

by Tjflex2

暑い夏を快適に過ごすために欠かせないエアコンは、使えば使うほど電力を消費して温室効果ガスを排出します。エアコンの使用によって電力消費が増加し、発電に伴って排出された温室効果ガスがさらに地球を暑くし、ますますエアコンの使用時間が増えるという恐ろしいサイクルは、今や先進国だけでなく新興国にも広がりつつあるそうです。

Air conditioning use emerges as one of the key drivers of global electricity-dema
http://www.iea.org/newsroom/news/2018/may/air-conditioning-use-emerges-as-one-of-the-key-drivers-of-global-electricity-dema.html

Future of cooling
http://www.iea.org/cooling/

The World Wants Air-Conditioning. That Could Warm the World. - The New York Times
https://www.nytimes.com/2018/05/15/climate/air-conditioning.html

国際エネルギー機関(IEA)が発表したレポートによれば、全世界のエアコン台数は2016年時点でおよそ16億台とのことですが、2050年にはなんと約3倍の56億台にまで増加すると予測されています。IEAのレポートによれば、今後30年間にわたり毎秒10台のエアコンが売られる見込みであるとのこと。


2016年の発電に伴う温室効果ガス排出量は約12億5000万トンでしたが、2050年には2倍近い約22億8000万トンにまで増加すると考えられています。電化製品の使用に伴って電力消費が増加し、発電に伴う温室効果ガスの排出量が増加し、地球が温暖化することでさらにエアコンの需要が高まるというサイクルになっているのです。

エネルギーの専門家であるフェイス・ビロル氏は、「アメリカに住む人々の約90%がエアコンを利用していますが、アジアやアフリカ、ラテンアメリカに中東といった非常に暑い国々では、28億人の人口に対しエアコンを持っている人々は約8%程度にすぎません」と述べていますが、今後はエアコンの所持率が低い新興国の所得が増大することで、家庭のエアコン設置率が上昇するだろうとしています。インドのチェンナイやムンバイといった都市では、アメリカのマイアミと比較して平均気温が24度以上の日が2倍もあり、エアコンによる冷房を必要とする日数が非常に多いとのこと。

by National Renewable Energy Lab

所得が増すと家庭に設置する電化製品が増え、それらの電化製品が放出する熱でさらに室内が暑くなるとIEAのレポートは指摘し、所得の増大とエアコンの需要増加は関連しているとしています。また、エアコンは使用すると室内を冷やす代わりに熱気を屋外に放出するため、「いくつかの都市ではエアコンの利用により外気温が1度上昇している」とされているそうです。

猛暑は人の健康に悪影響を与え、1995年にシカゴを襲った熱波は700人以上を死に追いやり、2003年のヨーロッパ、2010年のロシアで発生した気温上昇によって、それぞれ数万人が亡くなった研究者らは考えています。エアコンの導入は異常な暑さによる死を避けるために必要であり、「地球温暖化を防ぐためにエアコンを使わない」という極端な考えはナンセンスだといえます。

研究者らはエアコンによる地球温暖化の解決策として、エアコンのエネルギー効率を上げることを提案しています。インドで売られているエアコンは、アメリカや中国で売られているエアコンの2倍も電力を消費し、日本やヨーロッパで販売されているエアコンはアメリカや中国のエアコンよりも25%エネルギー効率がよいとのこと。ビロル氏は政府がエアコンのエネルギー効率について基準を設定するべきだとしており、「今後数年間にわたり、エアコンは全産業のうち2位を占める巨大な産業であり続けます。同時に、全電力需要のうち21%が、エアコンの需要によるものなのです」と述べて、地球温暖化に対処するにはエアコンの問題解決が急務だとしています。

by draculina_ak

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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