敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ子育て術「HOW I PARENT」シリーズ。今回は人気ポッドキャストReply Allの共同ホストを務めるアレックス・ゴールドマンさんの子育て術です。

アレックス・ゴールドマン(Alex Goldman)さんは、ギムレット・メディア社傘下にあるインターネットに関する人気ポッドキャストReply Allの共同ホストです(彼自身とその仕事について、詳しくは『The Secret Life of Alex Goldman』をチェックしてみてください。共同司会者のPJ Vogtさんに携帯電話をハッキングさせるエピソード、『Long Distance Part 1Part 2』では、詐欺電話を深堀して、地球の反対側で徹底的な調査を行うことになります)。

アレックスさんは現在育児休暇中で、家族に最近新しく加わった生後3週間のポリーの世話をしています。そんな彼の子育て術について聞いてみました。

氏名:アレックス・ゴールドマン

居住地:ニュージャージに住んでいて、仕事はニューヨークでしています。

現在の職業:Reply Allのポッドキャストのホスト

家族構成:妻のサラ、ハービー(3歳)、ポリー(生後3週間)

──最初に、家族とキャリアについて。ここまでの人生は概ね計画通り?それとも予想外のことが多かった?

まず、私が子どもを持ったことが驚きです。なぜなら真剣に避妊していたから。その理由は、地球環境が徐々に人間が暮らしにくいものになってきているので、子どもがこの環境を引き継ぐと思うと、不安や憂鬱に駆られるから。わざわざ子どもを作って辛い目に遭わせたくないと思っていました。

妻と私は20代の頃には、「今がそのときだと思ったら子どもを持とう」と言っていました。でも、2人が同時に「今だ」と思うときがありませんでした。サラが子どもを欲しいと思ったのは私より先。その結果、2人とも辛い思いをする時期がありました。ある時点で私はこんなことを言って逃げ出しました。

「この世には何の保証もないし、子どもを持つのに『完璧なタイミング』も存在しないよ。子どもを持つと、恐ろしいことやわけのわからないことばかりに深入りすることになって、『これは、とても手に負えたものじゃない。自分は本当に子どもが欲しいのかもよくわからなくなった』と感じるはずだよ」

最初の子どものハービーが生まれても、果たしてこれで良かったのかなと…。でも、ハービーが初めて私に微笑んだ瞬間に、これで良かったのだと思いました。

──朝のルーティンは? 子どもにスムーズに外出の準備をさせる裏ワザは?

ハービーは、今「きかんしゃトーマス」に夢中で、私やサラが鉄道局長のトップハム・ハット卿の声色で話すとよく言うことを聞いてくれます。大きな声でゆっくりとイギリス訛りで『さあ、お利口なハービー君はコートを着るよ。遅れちゃいけないからね』というふうに語りかけるんです。ハービーは大喜びで「トッピング卿をやって!!」と頼むほどです。

──家事と育児をパートナーとどのように分担している?

妻は専業主婦で、私はReply Allの仕事をしていると夜とても遅くなることがあります。月曜日から水曜日まで、子どもたちはほぼ彼女が面倒を見ています。私は木曜日と金曜日は、夕食を家で食べるようにしていて、夕食後のハービーのお風呂と寝かしつけも私が担当します。家事に関しては、サラは料理が私よりずっとうまいので、私は皿洗いをしています。あと、子どもが散らかしたら私が帰宅してから片づけるからね、とサラに言ってあるのですが、おもちゃの山をよけて歩かなければならないと彼女はストレスを感じるので、私が帰宅する前にいつも片づけてしまいます。それで、私は彼女の足をマッサージしてお返ししています。

──パートナー以外に、誰からどの程度育児を手伝ってもらっている?

義理の両親が我が家から45分ぐらい離れたところに住んでいて、子どもたちの面倒をみてくれるので助かっています。週末は喜んでハービーを預かってくれ、ハービーも祖父母と過ごすのが大好きなんです。

── 「これがないと生きられない」というガジェット・アプリ・チャート・ツールは?

ポリーに関しては、「テクノロジーが発達する前は、子育て中の親はどうやって睡眠時間が取れていたのだろう」とたびたび思います。たとえば、自動揺りかごのような洗練からは程遠くても絶対に必要なテクノロジーがあります。ポリーの自動揺りかごのエンジン音を聞きながら、この小さなイノベーションが無かったら、ポリーは眠っていないだろうな、と思います。

ハービーに関しては、一番Spotifyのお世話になっています。彼は音楽が大好きで、スピーカーがあると決まった曲を聞きたがります。今、一番のお気に入りは『California Sun』です。1日に100回もこの曲を聞きたがり、夜ベッドに行くときは私に歌って欲しがります。

──子育てをするようになってから仕事のやり方は変わった?

一番変わった点は、毎日24時間デジタルの世界にいるのをやめたこと。Reply Allがスタートしたとき、サラは妊娠5カ月で、私は異常なぐらい長時間働いていました。今でもかなり長時間働いていますが、子どもと一緒にいる時間を割くように本気で努力しています。遅れを取り戻そうと必死になることもなくなりました。これがどの程度うまく実行できるかは、そのとき次第だと。あまりのめり込まないようにするのはいつも本当に大変です。

──夜のルーティンは何をしている?

私は、自宅で夕食を取る日は、家族で食事をした後、ハービーが遊んでいる間に皿を洗います。それから、子どもをお風呂に入れ、その後は本の読みきかせの時間です。家族みんなで3冊読んだら、ハービーの部屋に行ってあと2冊読み、歌を1曲歌います。その後は、片づけをしてから、読書をしたりテレビを見たりします。

──今のリラックス方法は?

私は任天堂のコンピューターゲーム『ゼルダの伝説シリーズ』をずいぶんたくさんやっていて、最近2、3カ月は『ブレス・オブ・ザ・ワイルド』で遊んでいます。いわゆる幻想冒険物語ですが、その世界に入り込んで、好きなように山に登ったり動植物と触れ合ったりできますし、ハングライダーで空を飛び回ったりもできるんです。これは信じられないぐらいリラックスできます。他には、MIDIコントローラーをいじくりまわして、Pro Toolsで作曲してみたりしています。私は、この10年間このプログラムを使ってラジオを作ったことしかないので、これは未知の世界です。

──親として一番誇らしく思う瞬間はどんなとき?

誇りに思うというほどの瞬間はまずないけれど、少なくとも1人はユーモアのセンスがある子どもがいることをとても誇らしく思います。彼は、冗談を言ったり、言葉を考え付いたり、想像力に富んだおふざけをするのが大好きなんです。

──一番情けないと思う瞬間はどんなとき?

子どもに対して忍耐を失ってしまうとき。後で自分を責めています。だって、子どもはそれ以上なすすべがなくてそうしているわけですから。子どもは自我を捨てたり、他人と分け合わなければならない理由も毎食ヨーグルトを食べられない理由もわかりません。私がそれを教えなければならないのです。でも、怒りで自分を怒鳴りつける相手からは誰も学ぶことはできません。

──子どもたちにはあなたのどんなところを見習って欲しい?

子どもたちには、音楽は世界で一番大切なものであり、ダンスや歌はどんな場面でも通用することを知って、人生を楽しんでもらいたいと思っています。

──子育てのベストなコツは何?

子どもは集中力が続かないので、それをうまく利用すること。何か欲しがって騒いでいても、簡単に気をそらしてしまえることが多いものです。

──子育てで一番難しいことは何?

目の前の瞬間に集中して子どもに本気で注意を注ぐこと。携帯電話を置いて、遊び場で子どもを追いかけまわすこと。

── 1日のうちで一番好きな時間はいつ?

ハービーは毎朝6時半ごろに起きて、おもちゃの汽車とキリンを手にして静かにベッドに戻ってきます。そして、30分ぐらいまた眠るか静かに横になっています。1日が始まる前に、彼が私たちを愛していて、必要としていることが黙っていても感じられるこの時間はとても素敵です。

──子育てとキャリアを両立させている親御さんたちに伝えたい一言

子育てとキャリアの両立が本当に楽になることはまずないでしょう。ですから、仕事でも家庭でも完璧主義をやめることです。

Michelle Woo – Lifehacker US[原文

Photo: Gimlet Media