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無線LANの5.2GHz帯(W52)、屋外利用を可能に、電波法施行規則を改正へ

 総務省は、無線LANの5.2GHz帯の屋外利用を可能にする電波法施行規則の一部改正へ向け、関連規定の整備を行う。

 国内では現在、「W52」と呼ばれる5.2GHz帯(5150~5250MHz)、「W53」の5.3GHz帯(5250~5350MHz)のいずれも、利用は屋内に限られ、放射される電波の電力の強さを表す最大e.i.r.pも200mWまでに制限されている。一方、「W56」の5.6GHz帯(5470~5725MHz)は、屋外でも利用可能で、最大e.i.r.pは1Wまでに定められている。

 今回の改正により、W52もW56同様に、アクセスポイント側の最大e.i.r.pを1Wに引き上げ、屋外での利用を可能とすることを目指す。なお、子機側の出力は200mWのままとなるが、利用にあたって免許や登録は不要。一方、アクセスポイント(基地局)、陸上移動中継局(中継器)の設置には、免許と登録の手続きが必要となる見込み。また、W53に関しては、引き続き屋内のみの利用となる。

 総務省では、5.2GHz帯無線LANの利用拡大に向けて、情報通信審議会において、必要な技術的条件を2017年12月より審議。この答申の一部を2月13日に受け取っていた。

 総務省ではこれを受け、電波法施行規則等の一部を改正する省令案等を作成。これに対するパブリックコメントの受け付けを3月16日から4月16日まで実施。Wi-Fi Alliance、無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)、インテル株式会社、シスコシステムズ合同会社などが賛同を寄せていた。また、電波監理審議会からも、原案を適当とする旨の答申を受け取っていた。

 この改正は2019年のラグビーワールドカップや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えたもので、実現すればスタジアムや駅などの商業・公共施設において、Wi-Fiの接続性が改善されることになる。

 この背景には、ITU-R(ITU Radiocommunication Sector:国際電気通信連合 無線通信部門)が、5GHz帯無線LANと他システムとの共用可能性と、5.2/5.3GHz帯の屋外利用の可能性の検討を、WRC-19の議題として採択。これに先立ち、米国やカナダでは、すでに5.2GHz帯の屋外利用が可能となっている状況がある。