ジョージア工科大学が研究中。人間に服を着させてくれるロボット「PR2」

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ジョージア工科大学が研究中。人間に服を着させてくれるロボット「PR2」
Image: Georgia Tech/YouTube

たくさん練習して、人に優しい動きを憶えました。

怪我や病気や高齢のため、アメリカでは100万以上の人たちが自力で衣服を着られず、何らかの助けが必要なのだそうです。そこに目をつけて、ジョージア工科大学が開発しているのが、人に服を着させてくれるロボット「PR2」

これはまだ研究は初期段階なので、作りが簡単な患者衣の片袖だけを通してくれます。ですがPR2が面白いのは、カメラなどの視覚ではなく、おもに“感覚”の情報を頼りにして服を着させること。たとえば「今、人間の腕はどのように感じているのか?」をロボット自体が情報として感じることで、もう袖を上にあげたほうが通しやすいだとか、力加減を調節しながら服を引っ張ってくれるのです。

Video: Georgia Tech/YouTube

PR2は1日で1万1000ものシミュレーションを行ない、このアクションを習得しました。時には完璧に袖を通し、またある時には袖が人の手に引っかかり、ムリに引っ張ると危ない、という動きも悪例として学習。そうやってニューラル・ネットワークに感覚の力加減を叩き込み、人間がどのように感じるのかを覚えていったのです。

シミュレーションの回数こそ多いのですが、トライ&エラーで学習するのは人間とまったく同じですよね。開発リーダーのジョージア工科大学のZackory Ericksonさんは、その工程をPR2にやらせたのだと言います。

PR2はシミュレーションから、あらゆるパターンの予測ができるようになっています。練習から学んだ経験で、0.2秒先の動きを読んで行動しているというのが「鍵」なのだとか。機械的に見えても、実は人間のような対応力を備えているのです。

現時点では、片腕しか袖を通させることができませんし、その工程に10秒を要します。なので開発者チームは、ひとりの人間を上から下まで着付けするには、まだまだ乗り越えなければいけない壁がいくつもあることを認識しています。

ロボットに服を持たせるのは誰だ?というツッコミはさて置き、今後「PR2」がいろんなタイプの服やパンツなどを着させてくれるよう進化すると良いですね。いつの日か、星新一の世界のように身支度すべてをやってくれるロボットになるかもしれません。末永く期待しておきましょう。


Image: YouTube
Source: YouTube via Digital Trends, Georgia Tech

岡本玄介