AIがFPSゲームのステージを自動生成できるようになる。無限プレイはこちらです

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  • author 岡本玄介
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AIがFPSゲームのステージを自動生成できるようになる。無限プレイはこちらです
Image: Pier Luca Lanzi/YouTube

ヤメ時がわからなくなります。

1993年に登場し、FPSの知名度を高めた名作『DOOM』。現在Oculus VRの最高技術責任者をしているジョン・D・カーマックがプログラミングに参加し、ゲーム・デザイナーのジョン・ロメロやアメリカン・マギーなどがステージを設計しました。

『DOOM』はただ敵キャラを撃ち殺すだけではなく、隠し部屋や隠しアイテムなど、ちょっとしたパズル要素で次のステージに進むなどアタマを使うプレイが必要です。そこがイイんだよねぇ、というプレイヤーも多いはず。

ところが今、そういったステージを人工知能が自動で生成できるようになりつつあるのです。これだと無限プレイが可能になると同時に、ゲーム・デザイナーは商売上がったりになってしまうかもしれません…。でもいちゲーマーとしてはこの技術に大いなる可能性を感じてしまいます。

では、「Generative Adversarial Networks(GANs)」という技術を使ったデモ映像をどうぞ。

Video: Pier Luca Lanzi/YouTube

まずは、機械学習ライブラリー「TensorFlow」で作ったAIに、3万7000回もステージを反復学習させたそうです。そして、そのデータをもとにAIが生成したステージを実際にプレイしてみると、隠し部屋もあったりして、まさにオリジナルの『DOOM』そのものといった感じに仕上がっていました。

『DOOM』が有名な理由のひとつに、開発元のid Softwareが誰にでもツールを使えるようにし、ステージを自作できるようにした点があげられます。縛りのある空間を何往復もしたくなり、それが3DのFPSゲームが大きく発展することにも繋がりました。結果そういったステージが大量に作られたおかげで、AIの学習に貢献することとなったのです。

今回のAIを作ったのは、ミラノ工科大学の研究者たちです。彼らは互いに対抗して動くAIアルゴリズム「GANs」を活用し、ステージの生成を最適化するようにしています。ひとつはオリジナルの『DOOM』から大量のステージを学習し、敵の配置や部屋数などのステージ構成を知り尽くしたAI。もうひとつはステージを作り続けるAIです。作られたステージをひとつ目のAIが審査し、作る側のAIにフィードバックします。このループを繰り返すことで、ステージを作るAIの精度が上がっていくという構図です。

最終的に、審査するAIが生成されたステージを「人が作ったステージだ」と勘違いしたら、それは完成度の高いステージだと判断されるよう設計されています。

動画からはAIの完成度が高いように見受けられましたが、まだこの技術は未熟だと考えられているようです。であれば『DOOM』以降25年に渡り、リリースされたFPSすべてを読み込ませれば……より完璧なステージが生成されそうですよね。

かつてはマップが自動でランダム生成されるVRゲーム『Echo Grotto』なんてのもありましたし、古くは『ローグ』をはじめ『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』など、ソフトがステージ構成をランダムに生み出すゲームはいろいろとありました。でもこれからは、AIが学習から得たアルゴリズムでステージを理論的にランダム生成する時代になっていくのです。

そうなると“キリの良いところ”が出てこないので、お母さんに「もう宿題しなさい!」と怒られるまでゲームが止まらなくなっちゃいますね。


Image: YouTube
Source: YouTube via Futurism

Andrew Liszewski - Gizmodo US[原文
岡本玄介