反対方向に浮かせるのではなく、反発させるのです。
バイク乗りの皆さん、コーナリング中にズリっと後輪が滑ってコケたこと……ありませんか? かつて街中で普通の交差点を曲がる時、砂利だか砂だかでのせいでズサーっとダサいコケ方をした私。通行人に見られて恥ずかしいやら、肘を擦りむいて痛いやら、ブレーキレバーは曲がるやらで、とにかく惨めな気持ちになるんですよねぇ。
そんなライダーの安全を守ろう!と開発されているのが、予期せぬケツ滑りの瞬間にガス噴射で軌道修正してくれるシステム。コケそうになった時にガスがボシュ!っと噴出され、滑るのとは逆方向に反発力を生むことで、転倒を回避するのです。
開発しているのは、自動車部品と電動工具を提供する、ドイツのメーカーBosch(ボッシュ)。原理は至ってカンタンで、技術的には宇宙空間を進む宇宙飛行士のジェット・パックと同じものなのだとか。
しかし使用できるのは1回きりで、ガスを使い切ってしまったら交換が必要となります。とはいえ何度でも再利用できるので、自動車のエアバッグみたいなものだと思っておけば良さそうです。
このスラスターはまだ実用化されていませんが、 Boschは、速度センサー、エンジン操作ユニット、油圧ユニット、内部計測ユニットの4つから成る「Motorcycle stability control(MSC)」というシステムを完成させています。これがコーナリング中に適切なバンク角を保つよう車体を制御し、エンジン回転数やブレーキの効き具合を調節してくれるライダーお助けシステムなのです。
おそらくスラスターを発動させるには、これらのユニットとの組み合わせが必要になるかと思われます。MSCはサーキットのような場所でその効果を最大限に発揮するかと思いますが、予期せぬ路上の砂利や砂に即座に対応するなら、このスラスターがベストなのでしょう。
ということで近い将来、街中や峠でバイクがガスを吹く姿を見かけるようになるかもしれませんね。
Image: Bosch via Alphr
Source: YouTube via Alphr, Bosch
(岡本玄介)