「私たちは完全に日本を上回った」李克強訪日で中国人が語った本音

ネットで頻出

「今や日本を上回った」

先日とある中国問題を研究する集まりで、在日中国人と交流する機会があった。

研究会を終え、居酒屋での懇親会で彼らから口に出たのは、「中国経済は今や日本を上回った」という言葉だ。

「明治維新、とりわけ日清日露戦争以降、日本は常に中国を下に見ていたが、初めてこの状況が大きく変わった」と強調する彼らの話に相槌を打つふりをしながらも、正直複雑な思いだったのだが、今回中国首脳として8年ぶりに訪日した李克強首相をめぐる中国側の報道にも「日本を追い越した」という表現が枕詞のように登場した。

今世紀に入り、日中関係は波風が絶えなかった。特に民主党政権の2012年の尖閣国有化で、中国では大規模な反日デモが発生、日系スーパーや工場が壊された。

さらに中国公船による尖閣周辺への領海侵犯も日常化し、日中関係は停滞、両国国民感情も一気に悪化した。

筆者も12年秋に北京で日中韓文化交流のシンポジウムに呼ばれたのだが、当初予定していた北京の大学での公開シンポジウムは突然中止となり、社会科学院の研究所での内輪だけの発表会になるなど、日中関係の緊迫化を、身をもって経験した。

ところが最近になり、対日関係改善の機運が高まってきた。特に今年に入ってからの中国側は対日関係改善を急ピッチで進めているように感じられる。

こうした状況を中国の世論はどうみているのか、ネット上の報道や評論から紹介したい。

 

まずは共産党政権の公式見解とも言える人民日報だ。

11日に発表された「いかに中日関係の周期的波乱や曲折を防ぐことができるか?」という一文で、まずは相互信頼が重要であり、特に日本側は信頼感を持ち、客観的、理性的、公正に中国の壮大な発展を見るべきであり、「発展し強大な中国は、日本に対する脅威ではなく、総合的な実力が強まり、平和発展を堅持する中国は、日本の発展への福音であり、世界の舞台の中央へと近づきつつある中国は、世界の平和発展の守護者と建設者なのだ」と言い切っている。

この言葉を額面通り受け取るには、日本国内にはまだ抵抗感が強いと思うが、「経済発展は中日関係を促進する。特に超高齢化を迎えた日本と高齢化を迎えつつある中国は高齢化対策などで協力の空間がある」、さらに「東アジアでの協力は中日関係を新たな高みへと向かう推進力である。米国が貿易保護主義や一国主義を取る中で、中日韓が協力する必要がある」という主張には、日本の側としても特に反対するものではなく、まずは穏当な主張だ。

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