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なぜ人は会話の中に「うーん」「えーっと」という意味のない言葉を挟んでしまうのか?

by amslerPIX

何かをしゃべっている時、意味もないのに「うーん」「えーっと」という言葉を口をついつい口にしてしまうもの。そんな「人はなぜ言葉の前に『うーん』『えーっと』といった意味のない言葉を挟んでしまうのか?」という疑問について研究した結果が、科学雑誌の米国科学アカデミー紀要に発表されました。

Nouns slow down speech across structurally and culturally diverse languages | PNAS
http://www.pnas.org/content/early/2018/05/09/1800708115

Why You Say 'Um' Before Certain Words
https://www.livescience.com/62630-why-you-pause-um-before-nouns.html

言語学者であるフランク・セイファート氏らの研究チームは、ヨーロッパ・北アフリカ・メキシコ・シベリア・ヒマラヤ・アマゾンの熱帯雨林・カラハリ砂漠といったさまざまな地域で人々の日常会話を録音しました。そして研究チームは9つの言語にまたがった28万8484語におよぶ音声サンプルを分析し、発話のスピードについて調査したそうです。

その結果、いずれの言語も日常会話のスピードは常に一定というわけではなく、早くしゃべったりゆっくりしゃべったりと、発話スピードは常に変動していることがわかりました。研究者らが会話に使われた単語のうち「名詞」と「動詞」に着目して分析したところ、名詞の前で発話スピードがゆっくりになる傾向がみられたとのこと。

発話スピードと動詞、名詞の関連は9つの言語すべてに共通する特徴でした。加えて、「うーん」「えーっと」といった意味のない言葉が名詞の前に登場したり、名詞の前に沈黙が挟まる割合は、動詞の前と比較して60%も多かったそうです。

by Rick-Star

研究チームは「日常では使わないような複雑な動詞の前には、名詞と同じくらい沈黙や意味のない言葉が入るのか?」という点についても調査したとのことですが、やはり身近でない複雑な動詞よりも一般的な名詞の前に、たくさんの沈黙や意味のない言葉が挿入されていたとのこと。

名詞は会話が伝達する内容に新たな情報や予期しない情報をもたらす場合に使用され、時には代名詞に置き換えたり省略したりする必要もあります。そのため、名詞を発言する時は動詞を発言する時に比べて多くの制約がつくそうです。名詞の前に「うーん」「えーっと」といった言葉が付随しやすいのは、名詞が持つ複雑性が動詞の持つ複雑性を上回ることによると研究チームは推測しています。

「今回の研究結果は『うーん』『えーっと』という言葉の発生条件について明らかにしただけでなく、文法や文化において広い多様性を持つ言語においても、発話スピードを含む音声リズムに一定の共通点があることを示すものです」とセイファート氏は語りました。

by Chris Drackett

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in メモ, Posted by log1h_ik

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