こんにちは。家計再生コンサルタントの横山光昭です。

30代の家族形態は、独身、夫婦2人暮らし、子どもがいる3~5人家族とさまざまです。責任ある大人として、そろそろ貯金を増やしたいと考えている人が多いのではないでしょうか。そんな貯金願望の強い30代に向けて、今回は「10年で1000万円を貯める方法」をご紹介します。

「10年で1000万円」、逆算すると1年で100万円も貯めることになるので、「無理、無理...」と思う方が多いかもしれません。でも、実は1年で100万円貯めなくても大丈夫。「複利」と「投資」の力を借りれば、10年後には1000万円に届くのです。

横山光昭(よこやま・みつあき)

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家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は55万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は累計270万部となる。また、お金の悩みが相談できる店舗を展開するmirai talk株式会社の取締役共同代表も務める。

夢の1000万円の第一歩は、毎月の貯金から。あなたの家計を貯金体質に変えよう

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Image: Andrey_Popov/Shutterstock

毎月4万円、ボーナスで20万円ずつ貯金すれば、1000万円への道がだいぶ近づいてきます。でも、毎月貯金をするのが、最初は高いハードルなんですよね。私も30代になったばかりのころは、貯金より借金の方が多かったくらいですので、貯金の難しさは身に染みています。

貯金をするには家計費をやりくりして、貯金にまわせるお金を捻出しなければいけません。家計費の節約というと、主婦向け雑誌などで紹介されている食費や電気代などの「節約ワザ」を思い浮かべると思いますが、私がここで提案するのは、安いから、便利だからと無意識にやっている「ムダ使いのクセを直す」方法です。

もちろん、チラシをチェックして安いものを買ったり、マメに電気を消したりして節約するのもいいのですが、私は労力の割に節約できる額が少ないように感じています。それよりもお金の使い方のクセを改善すれば、食費、日用品費から被服費、娯楽費まで、あらゆる費目の削減につながるので、参考にしてみてください。

1. クレジットカードや、電車やコンビニで使える電子マネーで買い物をしない

クレジットカードも電子マネーも、現金を出さなくて買い物ができるのでとても便利ですが、便利だからこそついムダ使いをしてしまいがちです。「買い物は現金だけ」と決めて実行すれば、お金が減るつらさが実感できて、ムダ使いにブレーキがかかります。

2. 特売品を買わない、まとめ買いをしない

どんなに安くても、必要のないものは買わないようにします。必要以上の量を買うのもストップ。食品、日用品、洋服から家具、家電まで、すべての買い物にあてはめると、ムダな買い物がグンと少なくなります。

3. 「必要なもの」は買うが、「欲しいもの」は買う前にひと呼吸おく

これは衝動買いを防ぐワザ。必要なものはもちろん買いますが、「欲しい」という衝動で買いそうになったとき、ひと呼吸おいて「いま必要なものか?」と考えてみると、財布を開く手が止まるようになります。

このように「本当に必要なものを、必要な量だけ、現金で買う」ことが身につけば、ガマンばかりの節約とは一味違う、「必要なものをムダなく買っている」という満足感を味わいながら家計費が削減でき、その分を貯金にまわせるようになるのです。

貯金体質になったら、貯金をぐんぐん加速させよう

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Image: Alexander Kirch/Shutterstock

ムダ使いのクセが改善され、給料から貯金ができるようになったら、毎月確実に貯金ができる仕組みをつくりましょう。仕組みづくりで、やることは1つだけ。毎月貯められそうな金額を、「給料天引き」で「貯金用の口座」(自動入金サービスのあるネット銀行がおすすめ)に移すのです。自分でお金を移す手間がなく便利だし、貯金用のお金を使ってしまうこともありません。ボーナスからも同様に、「天引き」で貯金するようにしましょう。

こうして、「給料天引き」で貯金ができるようになったら、スマホなどの通信費と生命保険をズバッと削減しましょう。もちろん人によって条件は違いますが、通信費は格安SIMへの変更で3000~5000円、保険料は必要な保険だけに変更することで5000円~数万円も安くなる可能性があります。これらの固定費は、一度見直せばその後は何もしなくても削減分がそのまま貯金になり、貯金がぐんぐん加速することになります。

最後の仕上げ。「1年で88万円」を「10年で1000万円」にする方法とは?

給料&ボーナスからの天引きで、年間でまとまった金額を貯金できるようになったら、このあとは「複利」と「投資」の力を借りて、貯金を増やしていきましょう。

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毎年88万円ずつ貯めて、半分を複利の普通預金に預け、半分を投資にまわし、利回り5%で運用できた場合。税引き前の金額。小数点第1位で四捨五入。貯金は普通預金の金利(0.001%)複利。
Image: マイエフピー

当たり前の話ですが、1年で100万円貯めて、普通預金に10年間預けたとすると、貯金額は1000万円です。一方、上記の表のように毎年88万円ずつ貯めて、半分を複利の普通預金に預け、半分を投資にまわして利回り5%の運用ができれば、10年後には元本の880万円が1006万円に増やすことができます。

投資と聞いただけで、「お金持ちのやることで自分には関係ない」「損をしそうでコワい」「難しそう」など、及び腰になる人がまだまだ多いようですが、超低金利の影響をモロに受けている30代にとって、投資は最も有効なお金の増やし方だといえます。

もちろん投資では「元本割れ」して損をする可能性もありますが、少額ずつ、長期的に、分散して投資することで元本割れのリスクはかなり減らせます。

私が20代、30代の方々に投資にもっと目を向けてもらいたいと願うのは、待ったなしの中高年層と違って、若い世代の人たちは長い時間をかけて投資の恩恵にあずかれるからなのです。

貯金の大部分を投資にまわさない、個別株やFXなどで短期の利益を追い求めない、銀行や証券会社の窓口で言われたとおりに買わないなど、投資をするうえでの注意点には十分に気をつけ、運用はプロにおまかせで、比較的リスクの低い「インデックス型の投資信託」を手はじめに、投資デビューを考えていいのではないでしょうか。

毎月の貯金が1000万円につながることをイメージして、30代からの貯金をスタートしていただければと思います。


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