こんばんは、ちみをです。腹が空いております。
手前しがないオッサンではありますが、いっちょまえに腹は空く。
そんな時、おもむろに引っ張り出したるはこのスキレット。
▲この鈍く黒光る質感、肉厚で無骨なボディ、まさに男の男による男のためのツールだ
しかし! インスタグラムで #スキレット をのぞくとどうだ?
この美しき男の魂は女子力の象徴として不本意な地位を確立しているではないか!?
由々しき!!!!!!!! 極めて由々しき!!!!!!!!
スキレットはあくまでも機能美に満ちあふれた鉄塊のオーラに本質があるのであって、決してパンケーキの受け皿だけに甘んじるような、ヤワでゆるふわなキッチングッズではない! 見た目より、味の方が大事でしょう!!
……というわけで、そんなスキレットの本当のポテンシャルを理解いただくべく、平素筆者が実践するハードコアな非モテ男子のためのスキレットレシピをレポートする。
スキレットだけで料理。1日めはこの3品から
今日もいつものようにほうほうの体で職場から帰宅、この日の1品目はバキバキの豚トロ。
豚トロ、それはロマン。
脂と脂、そして脂が織りなす鉄壁の断面はそうウォールオブハーモニー。
これをカッチンカッチンに熱したスキレットへ、カクテキとともにぶち込む。
塩コショウしてふたをし、数分で完成。
豚トロ焼き韓国風
【材料】
- 焼肉用豚トロ (好きなだけ)
- カクテキ (好きなだけ)
- 塩 (好きなだけ)
- 七味 (好きなだけ)
- ゴマ油 (少し)
【作り方】
ゴマ油で豚トロとカクテキを焼き、塩と七味をかけたら完成。
※豚トロの脂がめっちゃくそハネるので注意 。
七味を軽く振り、激アツのまま口に放り込むと脳髄が揺れる。
「は、はふは、ううぅふふあ」
あまりのアツさと脂で言語モジュールが機能停止、不審者のようなあえぎが漏れる。
そうなればハイボールが進むことこの上なし。
うめぇ。
このメニューの注目すべきはマナ板&包丁の使用がゼロということ。
洗い物が非常に少なく済むため、常にシンクがあふれかえっているお前らには非常にうれしい逸品ではないか。
そうそう、食べ終えても残った脂を捨ててはイケない。
豚とろの芳醇な脂を活かし二品目に取り掛かる必要がある。
まさに「脂の一滴、血の一滴」、声に出して言いたい格言of the イヤーはこれに確定。
ゆめゆめ忘れるなかれ。
その脂と交わるはこのマッシュルームだ(切って並べただけ)。
裏面の深い深いヒダがヒダヒダと脂を吸い込む。
キムチや豚トロの脂とのマッチングが気になるところだがマッシュルームとてゴリゴリに加熱してしまえばシイタケだろうがマタンゴだろうがさして変わりは無く、芳醇でセクシーな菌類の芳香が部屋一杯に広がる。
仕上げに七味をかけて完成。
マッシュルーム鉄板焼き腐海仕立て
【材料】
- マッシュルーム (好きなだけ)
- 塩 (好きなだけ)
- 七味 (好きなだけ)
- スキレットに余ってる脂
【作り方】
マッシュルームを切って塩コショウで焼き、七味かけたら完成。
見てのとおり豚トロとキムチのうま味をじゅるじゅるに吸い込んでおり、うま味、甘味、酸味、塩味がひとつの塊となって襲ってくる。
豚トロの脂がどっさり溜まったフライパンを洗わず使い回すなんて、こんな雑すぎる芸当、とてもじゃないが女性には披露目ができるようなものではない。
さて、スキレットにはまだ脂は残っている。
さらにもう1品、白菜の漬物を投下することにしよう。
白菜漬けの余り脂焼き
【材料】
- 白菜の漬物 (あまり塩辛く無いものがベター)
- ゴマ油 (多め)
- 七味 (好きなだけ)
- スキレットに余ってる脂
【作り方】
水を切った漬物を切ってゴマ油で焼き、七味をかけたら完成。
強火でガチガチに焼く。
意外や知られていないのだが、漬物は焼くと化けるのだ。
見てくれ、この焦げ目。
さまざまな味覚を引き継いだ極上の脂に焼かれ、ついぞ無敵となった熱々のコイツを酒を飲み飲みチビチビとかじろうもんならば、永遠に酒が進むったらありゃしない。
ちなみに焼くと塩味が凝縮されるので、塩の強くない漬物を使うのがベター。
進むハイボール、もたげる眠気、さて食いすぎた、続きは明日。
※ちなみに、スキレットは洗わない。脂がたっぷりついているし、どうせ明日使うし、そんなすぐにさびるはずもないからであり、下手に洗ったりした方がさびるリスクが上がるからである。
2日めはこちら
疲れた。
今日も今日とて腹が空くので、昨日よりスキレットに受け継がれてきたヤバイ脂で調理開始するとしよう。
今日はヘルシーそうな食材を使用。まずは厚揚げだ。
このように適当に切り、ケチャップと塩コショウを投下。
飲み会で余りがち、冷蔵庫に眠りがちなチーズどもをスキレットにのせ、数分焼く。
厚揚げの疑似ピザ、余りチーズ仕立て
【材料】
- 厚揚げ (しっとりしたヤツが良い)
- ケチャップ (好きなだけ)
- 塩胡椒 (好きなだけ)
- チーズ (冷蔵庫に余ってるやつ
- スキレットに余ってる脂
【作り方】
厚揚げを切ってスキレットにのせ、あとの材料をぶっかけて焼いたら完成。
昨夜より引き継いだ脂のうま味、酸味、塩味、そこにケチャップの甘みとほのかな焦げつきの苦味が加わることで、重厚な五味のコンビネーションが丁寧に紡がれている。
このように、いかに上手く脂を引き継いでうま味の和音を重ねるかが重要なKSF(キーサクセスファクター)であり、私はこの技を「脂のリレー」と呼んでいる。
カムチャカの若者が豚トロの夢を見るとき、
メキシコの娘は朝もやの中でキムチを待っている。
ニューヨークの少女がほほえみながらゴマ油をすするとき、
ローマの少年は溶けたチーズにウィンクする。
この地球で、いつもどこかで脂がはじまっている。
僕らは脂をリレーするのだ。
なんと感動的な生命の連鎖。
この地球をまたにかけた2日に渡る脂の旅も、次の1品で最終章だ。
材料は卵、バター、チーズ、納豆。
まず納豆と卵を、
恥も外聞もなくガッシャガッシャに混ぜる!!!!!!!!
十分に混ざったら焼きます。
1分ほど焼いたら余り物のチーズをセットし、中心にバターをドカっと配置し、魚焼きグリルへ。
ガスだろうが炭火だろうが、直火でギンギンに焼き付けられるのがスキレットの特権。特にこの小さめサイズのスキレットは、家庭用の魚焼きグリルにもガンガン突っ込めるので完全勝利。
でもってほどよく焦げたら完成!!!!!
バター醤油納豆オムレツ、活火山仕立て
【材料】
- 卵 (2個)
- 納豆 (1パック)
- バター (好きなだけ)
- 醤油 (好きなだけ)
- 冷蔵庫に余っているチーズ (好きなだけ。粉チーズもあるとベター)
- サラダ油 (少々)
【作り方】
サラダ油を少しひき、納豆と卵をガシガシ混ぜて焼く。
1分焼いたらバターとチーズをセットし、魚焼きグリル弱火3分。
焼けたら鍋肌から醤油をたらして完成。
これが我が家に伝わる秘伝のレシピだ。
見よこの脂だまり、健康とは対極にある欲望のるつぼ。
スプーンで割り入って醤油を垂しつつやっていくと、納豆VSチーズの発酵味にバター醤油が正面衝突して対消滅。
これにより実質0カロリーになった。
臭いし重い、絵面も謎、漂うハードコアスピリッツが今宵の我が家の食卓を鈍い鉛色に彩る、これこそが男の晩酌、完璧だ……!
ボケー。完璧だ(満腹)。
ちなみに洗浄はカンタン。
パッキバッキに熱して水かけジューからの、タワシでガッシガシで問題無し。
スキレットは最低限の手入れと使い方(毎度油をひいて保管する、食材を乗せる時はしっかり熱してから、使用後は洗剤で洗わない、等)を守れば、取り扱いは決して難しくない。そしてタダの鉄の塊というだけあって耐久力はガチ、さらにニトリなどで入手したものならば1つ500円程度から入手可能。
うん、安くて頑丈、使い勝手良し。
すっかりインスタ映えの申し子のようになってしまったスキレットこそ、実はインスタ映えから一番遠い位置にプロットされるべき「真の男のプロダクト」なのでは無いか。
是非1枚、導入をオススメする。
※記事初出時、表記に誤りがありましたので修正しました(2018/5/30)