海ゴミの7割はたった10のプラごみ。欧州委が全面使用禁止に動き出す

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海ゴミの7割はたった10のプラごみ。欧州委が全面使用禁止に動き出す
Image: MichealJayBerlin/Shutterstock

海が、中国が、ボロボロの限界ですからね…。

世界のごみをリサイクルしてきた中国が「もう資源ゴミ要らない」と今年から輸入を禁じ、突如として世界中に行き場を失ったごみが溢れ返っていることを受け、欧州委員会が使い捨てプラスチック10品目の使用全面禁止に動き出しました。

使えなくなるのはカトラリー(スプーン、フォーク、ナイフ)、ストロー、綿棒、皿、コーヒーカップ、マドラー(かき混ぜる棒)などで、なんとこの10品目で欧州の海や湖に溢れかえる全ゴミの約7割に相当するんだそうな! 禁止令はゴミ箱直行の使い捨てを減らす欧州経済全体の取り組みの一環で行なうものです。

CNNはこう伝えています。

新法ではさらにプラスチック製品メーカーにゴミ回収・処理費用を負担させ、新リサイクル事業を通して全EU加盟国が2025年までにプラスチックボトルの回収率90%を目指すことも検討されています。

欧州委員会の推定では、2030年に禁止令が全面導入されれば、企業には年間30億ユーロ(約3754億円)以上の費用負担が発生することになりますが、消費者は年間65億ドル(約8133億円)の節約になり、3万人の雇用が生まれ、環境破壊の対策と浄化の費用も220億ドル(約2兆7541億円)節約できる見通しとのことです。

全世界で出るプラスチックごみのうちリサイクルされるものはわずか14%で、これは紙の58%、鉄鋼の約90%と比べてとても低率です。世界中からごみが流れ流れて漂着する太平洋ゴミベルトはものすごい勢いで成長しており、今や推定8万7000トンものごみが渦巻く巨大ベルトと化しています。

禁止令といっても使い捨て全般が禁じられるわけではなく、エコな素材(バイオプラスチックなど)なら使ってもOKです。英国は2019年5月にEU離脱ですけど、独自の禁止令を準備中。「各国足並み揃えないとだめだ」とフランスのティメルマンス欧州委員会副委員長はThe Independentに語っていますよ。

気になるのは業界の動きですが、プラスチック業界団体のPlastics EuropeはCNNからの取材に対し、趣旨は支持できるけど、「代替製品がもっと環境にやさしいとは限らず、問題の解決にはならない」と説明しています。

米国ではそんなこともあって、安いプラスシックの使い捨てをやめる運動は思ったほどの広がりを見せていません。レジ袋の使用を禁じたのは2016年のカリフォルニア州が最初で、たった1年で家庭から出るプラごみがなんと72%も減りましたが、ほかの州ではメーカーと飲食業界の意向を反映して地方自治体が使用を禁じることを違法と定めたところも結構あります。

まぁ、しかし、カリフォルニアでは1度に5枚も10枚も使っていたレジの人が急に「バッグありますか?」 って聞くようになって、レジ袋を1枚10円で売るようになったらみんな使うのやめちゃったので、禁じれば変わるのはあっという間という気もします。原油が高くなって経済的に割に合わなくなるのが早いか、塩や魚が食べられなくなるのが早いか…なので、中国激震で禁止が広がるのはラストチャンスかも。

ラップはいいのかな…。


Image: Shutterstock
Source: CNN, Reuters, The Independent

Tom McKay - Gizmodo US[原文
(satomi)