加計学園の面会、架空なら矛盾 愛媛知事「説明不足」

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前田智 台北=西本秀 大川洋輔 根岸拓朗
【動画】台湾出張中に取材に応じる中村時広・愛媛県知事=西本秀撮影
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 学校法人「加計(かけ)学園」の愛媛県今治市への獣医学部新設で、県文書に書かれた加計孝太郎理事長と安倍晋三首相との面会は、実際はなかった――。学園のそんな説明に県が不信感を強めている。事務方トップの謝罪にも中村時広知事は1日、説明不足との認識を示した。面会がないとつじつまが合わない県文書の記載は複数ある。約31億円を投じる県は「最高責任者」の説明を求めていく構えだ。

 発端は、愛媛県が5月21日に参議院に提出した文書だ。そのうちの2015年3月3日の県と学園との打ち合わせ内容を記したメモには、学部新設をめぐって15年2月25日に首相と加計氏が面会した、という学園の報告が記されていた。

 提出翌日の22日、国会で過去の答弁との整合性を問われた安倍首相は面会を否定した。学園は4日後、「実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えた」と釈明するファクスを報道各社に送った。

 「我々は公的機関。偽りなら説明、謝罪を」。中村知事は学園の対応を批判した。5月31日、学園の常務理事でもある渡辺良人事務局長が県庁を訪れ、首相と加計氏の面会について「たぶん自分が言ったんだろうと思う」と説明した。

 報道陣には「その場の雰囲気で、ふと思ったことを言ったのではないか」と述べ、さらに詳しい説明を求められると「もう3年前の話ですから」「詳しい記憶はない」などと答えた。

 台湾出張中の知事に代わって応対した県幹部によると、渡辺氏は間違いが「理事長と首相の面会」の部分だけと説明した。だが、面会は県文書に複数登場し、実際に面会がなかったのなら成り立たなくなる記述もある。

 例えば渡辺氏の「面会発言」があったとされる15年3月3日のメモ。そこには県と学園の打ち合わせが「理事長と首相との面談結果等について報告したい」という学園の申し出で開催されたと記されている。面会がなかったなら、開催理由そのものが虚偽だったことになる。

 また同月15日の市と学園との協議内容を記した文書には「面会を受け、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)から資料提出の指示」「理事長と総理との面会時の学園提供資料」と、面会があったことが前提の記述がある。この文書には文部科学省が専門家に意見照会した、とも書かれており、文科省はこの時期に照会したことを認めている。

 県庁での渡辺氏の説明では、これらの矛盾は解消しない。台湾で1日、朝日新聞などの取材に応じた中村知事は「県議会や県民の納得を得られるものではない」と批判した。

 さらに一般論と前置きして…

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