VIDEO COURTESY OF WIRED UK
このほど『WIRED』UK版は、ロンドンのメイフェアにあるモダンな日本料理レストラン「Sake No Hana(酒の花)」という洒落た空間で、7本の包丁をテストした。著名な料理長・樋渡秀幹が忙しい間を縫って、厨房で刃渡り20cm以上の包丁を試し、魚や肉、野菜をぶつ切りや薄切り、三枚下ろし、みじん切りにしたりしてくれたのだ。
テストでは、樋渡料理長が5×6cmのサーモンの切り身から刺身をつくるのに要した時間を包丁ごとに計測した。続いて料理長がお気に入りの包丁2本を選び、同店で働くシェフ、タパとともに「包丁対決」を行った。
『WIRED』UK版の対決動画では、樋渡とタパがわれわれのコレクションから精選した包丁2本を使って、スズキ科の立派な魚を三枚に下ろして刺身をつくる様子を見られる。対決の結果は、Dexamの包丁を使った樋渡料理長が59秒、Wolf Gourmetの包丁を使ったタパが68秒と料理長に軍配が上がった。
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刺身づくりに要した時間:12秒
スコア:9点
価格:約12,700円
ドイツ製の高炭素ステンレス鋼使用、ロックウェル硬さで61という目を見張る硬度の包丁で、テストでは好結果を出した。
樋渡料理長は、パッカーウッド(積層強化木)の柄の使用感に満足した。「手に馴染み、野菜をみじん切りにするときや魚を薄切りにするときも滑らかでした。みじん切りの際に柄の端がまな板に当たらないので、優れたデザインだということがわかります」
樋渡料理長が気に入ったのは、刃の独特な形状。中指を所定の位置に置くと、刃の鋭さと、柄と刃のバランスがいいことにすぐに気づいたという。
刺身づくりに要した時間:11秒
スコア:8点
価格:約30,000円
刺身づくりに要した時間:13秒
スコア:7点
価格:6,717円
刺身づくりに要した時間:8秒
スコア:7点
価格:約12,300円
「握り心地がよく、魚を薄く切るのに好ましい長さとデザインです。けれども、指がまな板に当たるので、野菜のみじん切りでは不満を覚えました。刺身には適した形状と長さだと思います」
刺身づくりに要した時間:11秒
スコア:6点
価格:9,720円
この包丁は、福井県越前市にある武生(たけふ)特殊鋼材株式会社が製造する特殊鋼材を使って製造されている。6層の硬鋼と軟鋼に覆われ、刃の表面に大理石模様が浮かぶ。木製の柄も魅力的だ。
樋渡料理長は際だって美しい外観に感心し、テストしたもののなかでは日本の最も伝統的なスタイルをとっている包丁だと述べた。「包丁があまりに軽いと、刺身をつくるときに腕の筋肉を使わないといけません。これはかなり軽量なデザインで、もっと重くてもいいと思います。鋭利なのでキュウリやマンゴーのような軽い材料を切るときにはいいですが、わたしから見るとニンジンのような高密度の野菜を切るには重さが足りません」
刺身づくりに要した時間:11秒
スコア:6点
価格:約2万円
刺身づくりに要した時間:12秒
スコア:4点
価格:約6,000円)
[2018年06月19日 20:30:本文の一部を修正しました。Archibald London「Takefu」の日本円での価格は、正しくは約2万円です]
TEXT BY EMILY PECK
TRANSLATION BY MINORI YAGURA/GALILEO