あなたのHDMIケーブルは大丈夫? 古すぎるとHDR画面などを活かせていない可能性も

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あなたのHDMIケーブルは大丈夫? 古すぎるとHDR画面などを活かせていない可能性も
これは悪くないケーブルです
Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

昔のビデオケーブルとは違うんです。

HDMIがビデオケーブルの主流になって随分経ちましたが、みなさん、テレビやモニターは買い換えるのに、昔買ったHDMIケーブルを使い回していませんか? 普通に考えたら、どこで何年前に買おうがHDMIケーブルであることには変わりがないと思いますよね。でも、残念ながら違うんです。間違ったHDMIケーブルを使っていると、HDR広色域再現、スポーツやゲームのための高いフレームレートなど、新しいテレビや、それに繋げているガジェットの機能をフルに活かせていないかもしれないのです。でもご心配なく。ちゃんと調べれば、正しいケーブルを見つけるのは結構簡単です。

ケーブルには規格がある

まず理解しなければならないのは、過去に使われてきたコンポーネント、コンポジット、あるいはS-Videoケーブルと、HDMIケーブルは違うということです。それらのケーブルに必要なのは、ちゃんと製造されていることと、正しいプラグ穴があることだけです。いっぽうHDMIケーブルは、どちらかというとUSBやEthernetケーブルに性質的に近くなります。つまり、パッと見が似ていても異なるバージョンが存在し、転送できるデータ量に大きな違いが出るということです。USB2.0ケーブルで外付けHDDを繋いでいると、USB3.0より転送スピードが落ちますよね? HDMIも同様で、主に帯域という角度から同じような制約があるのです。

現時点でHDMIには7種類のバージョンが存在しています。2002年に登場した1.0に始まり、最新版は2017年11月に登場したばかりの2.1です。各バージョンがサポートしている帯域や、その他のクールな機能を決めているのは、東芝、テクニカラー、パナソニック、ソニーなどを含めた、HDMI規格を策定している団体です。

現在最も主流なバージョンは、2009年に登場した1.4です。これは、帯域最大10Gbps、1080pの解像度に、120Hzのリフレッシュレートをサポートしています。つまり、スポーツやゲームに最適な120fpsで表示することができます。しかし、4K解像度では60Hzしかサポートできず、HDRや広色域などの機能は使えません。ということは、つまり過去2、3年に発売されたテレビやゲーム機、セットトップボックスにこのケーブルを使っても意味がないということなんです。

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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

「意味がない」は言いすぎかもしれませんが、ベストでないことはたしかです。せっかくお金を払った新機能が使えないわけですからね。

また、HDMI 1.4 には1.4a1.4bというサブバージョンが存在します。前者は1080p、24Hzで3Dテレビに対応し、後者は120Hzで対応しています。どちらも通常のテレビでは大して恩恵はありません。3Dテレビがもう廃れてしまったこと、それによってコンテンツが減少してしまったことから、これらふたつのバージョンをそこまで気にする必要はないでしょう。どちらにしても、普通の1.4と同じように動作します。

ところが、バージョン2.0では機能が大幅にアップします。帯域は10Gbpsから18Gbpsと増え、これによって広色域やHDRを表現するのに必要なデータを転送できるようになりました。ところが、4Kではまだ60Hzが限界です。だから、お店で4Kを120Hzで出力できるTVをオススメされたとしても、HDMIバージョン2.0ではそんな映像は表示できません。

そこで登場するのが、去年の11月に発表された最新のバージョン2.1。帯域は48Gbpsと、2.0のほぼ3倍、1.4の5倍近くにまで達しました。おかげで、4Kを120Hzで出力しながらHDRと広色域を両方使うこともできるのです。しかし、去年の11月に発表されたばかりのため、それに対応したポートをもつテレビも、ケーブルそのものもまだ非常に種類が少ないのが悩みどころ。

HDMIケーブルの基準は隠されていることがある

「よし、じゃあHDMI2.0か2.1と書いてあるケーブルを買いに行けばいいんだ!」と思っているかもしれませんが、実はHDMIはケーブルがサポートしている規格をパッケージに明記することを、2012年に禁止しました。

とはいえ、楽天やAmazonの商品の多くはタイトルに明記してあることが多いので、そこまで心配はないかもしれません。では、説明にはっきりと書かれていない場合はどこで判断すればいいのでしょうか?

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正しいHDMIケーブルを探すには、アルファベットのごった煮を解読するスキルが必要だったりします
Image: Alex Cranz (Monoprice)

一番のコツは、4K、60Hz、HDRや、もっと難解なYUV 4:4:4などという単語を見るのではなく、ケーブルの帯域を見ることです。帯域が18Gbps以上であれば大丈夫とみていいでしょう。

また、買おうとしているケーブルがちゃんと認証を得ているかどうかも確認しましょう。認証を得てないものは、宣伝している帯域がどれだけ大きくても、実際にはそれだけのスピードが出ない可能性が高いからです。認証を得ているケーブルは若干高くなりますが、そこまでの大差ではありません。十万いくら払ったテレビが、ちゃんと設計通りの映像を表示できるようにするには安い金額だと思います。

古いケーブルを捨てるべきかを見極める

では、今持っているケーブルを交換すべきかはどうすればわかるのでしょう? ケーブル自体にはわかりやすい表示がありません。今持っているものをすべて捨てて一新するわけでなければ、それぞれいくつかのことをチェックする必要があります。

まず、テレビの取扱説明書をみて、ポートがサポートしているHDMI規格を確認します。多くのテレビ、特に安いものは、2.0以上をサポートしているポートがひとつしかない可能性もあります。つまり、買ったときに散々自慢していた4KだのHDRだのといった機能を使えるポートがたったのひとつしかないかもしれないのです…!

そこで、バージョン2.0のポートを見つけて、4KとHDRを使えるデバイスと繋げます。次に、テレビでHDRがオンになっていることを確認しましょう。テレビによって確認方法が異なるので、説明書を見てみてください。

HDRが使えるなら大丈夫かもしれません。しかし、オンにした状態で映像にひずみや引っかかりを見つけたら、ケーブルが故障しているか、データを転送しきれていない可能性があるので、交換しましょう。これは特に6フィート(約1.8メートル)以上のケーブルで広色域とHDRをオンにして、4K映像を60Hzで転送しようとすると起こりがちな現象です。なので、基本的に6フィート以上のケーブルを買うことはオススメしません。

楽天やAmazonなどでは比較的簡単に認証されたケーブルを買うことができるので、自宅のケーブルを再確認し、必要があれば買い換えるべきだと思います。せっかくいいテレビやデバイスを買ったのですから、ケーブルをケチりすぎては勿体ないですよ!


Image: Alex Cranz/Gizmodo US

Alex Cranz - Gizmodo Field Guide[原文
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