PanoClip ハンズオン:360°撮影ができるスマホレンズ。そんな発想なかったよ…

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PanoClip ハンズオン:360°撮影ができるスマホレンズ。そんな発想なかったよ…
Photo: 山本勇磨

電気が要らないって素晴らしい。

スマホのカメラに装着するタイプのレンズ、そのアイデアで360°撮影を実現してしまおうってのが、この「PanoClip」という製品です。そんな発想おもいつかなかったけど、ありそうでなかった新種のスマホレンズ。

スマホのアタマにかばっと被せて、端末の前面カメラと背面カメラで360°写真を撮るシンプルな仕組みなんですが、この製品がなんとも絶妙でして。これまで360°カメラに感じていたフラストレーションが吹き飛んでしまいました。

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Photo: 山本勇磨
横から見たPanoClip

前面カメラと背面カメラを同時にカバーできるよう、PanoClipは前後にレンズがついた構造になっています。スマホのカメラとPanoClipのレンズの位置がぴったり合わないといけないので、現時点はiPhone専用。しかも、そのなかでも、iPhone X用、iPhone 7 Plus/8 Plus用、iPhone 7/iPhone 8用、iPhone 6 Plus/6s Plus用、iPhone 6/6s用の5種類もあるというパワープレイっぷり(Android版も開発中だそう)。価格は4,600円(税別)です。

作ったのは、360°カメラのInsta360ブランドを展開する、中国のShenzhen Arashi Vision(深セン アラシ・ビジョン)。今回は6月6日の発売に先駆けてPanoClipを触る機会を得たので、外に持ち出して使った感想をお伝えします。

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Photo: 山本勇磨

使いかたは、スマホにPanoClipを取り付けたあと、スマホで「PanoClip」アプリを起動して撮影。静止した状態でフロントとリア、2度シャッターが切られるのを待ったあと、360°写真ができあがる仕組みです。モノとしては2つのレンズなので、撮影クオリティはiPhoneのカメラに頼ります。なお、360°動画は撮影できません。

作例
Photo: 山本勇磨
PanoClipで撮影

私が感じていた360°カメラのフラストレーションのひとつが、使うときにいちいちカメラの電源をつけないといけないってことなんです。360°カメラってそんなに何枚もバシャバシャ撮るものでもないので、2,3枚とってはオフにして…2,3枚とってはオフ…っていう使い方をしています。

何が言いたいかというと、PanoClipを使ってみて、スマホ以外のデバイスを起動せずに360°写真が撮れるのがすごく良い体験だったんです。スマホのカメラを起動するようにPanoClipアプリを起動して、サッと装着してカシャ。撮り終わったらそのままポケットへ。この流れがとにかくスムースで気持ちよかった。電池の残量も気にしなくていいし気が楽なんです。すごくシンプルな話なんですが、体験として電気が要らないって素晴らしい。

フォルダ
Photo: 山本勇磨

撮影した写真がダイレクトにiPhoneに保存されるのもPanoClipの良いところですね。ThetaやInsta360 ONEのように、スマホとBleutooth接続して転送する必要がないのは、写真をシェアするまでのカロリーと時間をグッと減らしてくれます。

360°カメラを映像作品用ではなく、シェア前提の記録用として使うなら、現状これがベストな形なんじゃないでしょうか。

比較-1
Photo: 山本勇磨
クリックで大きなサイズを表示。左からiPhone XとPanoClip/ミドルシップ機「Insta360 Nano S 」/Insta360のハイエンド機「Insta360 ONE」

もちろん画質は専用の360°カメラには勝てません。暗いところにも弱いです。写真として許容できるのは日中の屋外か、明るい部屋のなか限定といったところ。フィルターをかけてシェアすることを見越して、画質は割り切った設計になっています。

空
Photo: 山本勇磨
アプリでフィルターをかけるだけでなく、自動編集でこんな動画まで作れる。空を検出して星空のエフェクトをかけてくれます。星空なしもできます。

要するにPanoClipは、360°カメラとしての取り回しの良さは100点満点だけど、絵のクオリティは50点くらいってことです。でもそれは、既存の360°カメラと比べて良いとか悪いとかいう話ではなく、そもそもバランスポイントが違うから今までの360°カメラとは別モノです。カメラを複数台つかって自前で撮影していた頃から、ThetaやInsta360のような専用の360°カメラが生まれた流れを考えると、PanoClipは360°撮影の新しいカテゴリーです。

ThetaやInsta360 Oneを持ち歩いている方のセカンド360°カメラとしても欲しい1台ですが、取り回しの良さにステータスを極振りしたPanoClipは、360°撮影入門機として広がってほしい。画質うんぬんより、結局360°の画角が楽しかったりしますからね。

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Photo: 山本勇磨

2018年6月6日 10:30更新:Insta360の国内販売代理も行なっているハコスコから、PanoClipのODM商品「ハコスコ PanoClip」が発売されることも発表。こちらはiPhone 7/8用、iPhone 7 Plus/8 Plus用の2種類、4,500円(税別)です。


Photo: 山本勇磨

(山本勇磨)