あなたは、コンビニやスーパーでの支払方法はどのようにしていますか?

現金の取り扱いが面倒なことからクレジットカードやデビットカードで支払う人が増えていますが、キャッシュレス決済手段のトレンドが変わってきました。

主役がプラスチックカード決済からスマホ決済へと、その傾向がここにきて急に強くなっています。

スマホ決済「非接触IC」「QRコード」の違い

岩田昭男(いわた・あきお)

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消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。公式サイト

スマホ決済には、大きく分けて2種類あります。

非接触IC」を使った決済と「QRコード」を使った決済です。

非接触ICは、スマホの決済アプリに電子マネーを取り込んだりクレジットカードを登録して、今のキャッシュレス文化の延長で利用できるようにつくられています。

紐付けられているのは、クレジットカード会社が中心ですから、セキュリティーはほぼ完璧です。「おサイフケータイ」「Apple Pay」「Google Pay」などがあります。

それに対してQRコード決済は、アリペイ(Alipay=支付宝)という中国のスマホ決済ツールから生まれ、メジャーになった規格です。

QRコード決済は、店舗での支払いにスマホの決済アプリなどでQRコードを表示するか、もしくは店舗にあるQRコードをユーザーのスマホで読み取ることによって、決済を行います。

Apple Payなどの非接触IC決済と違い、スマホの中に電子マネーやクレジットカードを直接登録しないのが特徴で、専用アプリと、クレジットカード情報や電子マネー情報との「連携」によって、決済を実行します。

代表的なQRコード決済のサービスは、「楽天ペイ」や「LINE Pay」「Origami Pay」などがあります。QRコード決済は支払い時に、本人のデバイスとパスワードの両方が必須なので、現金の盗難やクレジットカードを使用する際の暗証番号のスキミングなどを事前に防ぐことができます。

各サービスでの決済は、そのサービスの個人IDと紐付けられ、決済履歴が残ったり、そのサービス特有の特典が受けられることが特色の1つです。

また、QRコード決済は、iPhoneやAndroidといったスマホのOSに依存せず、アプリをダウンロードすれば大半の機種で利用できます。どの機種でも使えるというのは、大きな利点です。

では、それぞれを比べてみましょう。

非接触IC決済の主なサービス

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Image: Jamesbin/Shutterstock

Apple Pay

Apple Payとは、Appleが提供する決済サービスのこと。日本では2016年10月よりサービス開始。同年発売のiPhone 7/7 Plus、Apple Watch Series 2でApple Payを通じてSuicaとビュー・スイカカードなどのクレジットカードが利用できるようになりました。

非接触ICのFeliCaを搭載し、Suicaを登録しておけば、改札機にスマホをかざすだけで通過できるほか、店の端末にかざして買い物もできます。日本で発行されるクレジットカードのうち2/3以上ははスマホに情報を登録して、買い物も可能です。対応する電子マネーはSuicaiDQUICPay

Apple Payは、iPhone 7以降の機種に電子マネーとクレジットカードを登録して使います。

電子マネーはSuica。クレジットカードは、Suicaにチャージ可能なビューカードを登録しておくと便利です。というのも、ビューカードからSuicaへのチャージは一般の利用に比べると3倍のポイントが貯まり、貯まったポイントは、またスイカにチャージできます。

このカードの組み合わせは、首都圏なら通勤で活躍します。たとえば、以下のようなケースです。

まず、コンビニで朝食を買ったとしましょう。その代金はSuicaで支払います。「支払はSuicaで」と店員に伝え、iPhoneを端末機にかざすと同時にピッと音がして支払いが終わります。

駅のホームに入る時は、改札機にiPhoneをかざすとドアがすっと開いて中に入れます。エキナカでは、明日からの出張に備えて取引先へのお土産を買います。2000円を超えるお土産なら、ビューカードで決済します。私の場合は、2000円以下の少額決済はSuica、それ以上になるとクレジットカードで買うようにしていますが、いずれもiPhoneをかざして支払いをします。

こちらは親指をTouch IDの上に押して指紋認証をしてから決済(iPhone Ⅹから顔認証)。これはクレジットカード払いになります。

スイカの残高が足りなくなったら、ビューカードからオートチャージで入金されます。

入退場の改札にタッチしたときに残高が不足していたら自動的に入金されます。私の場合は1000円を下回ると3000円が入る設定にしています。この組み合わせがよい理由は、これまでバラバラだったJR東日本のポイントがJREポイントとして一本化したことです。

これまでは、Suicaの買い物で貯まるSuicaポイント、ビューカードからSuicaにチャージしてもらえるビューサンクスポイント、駅ビルで買い物をして貯まる駅ビルポイントなど、ポイントサービスが異なり使い勝手が悪かったのですが、6月以降から、すべてが「JREポイント」に一本化するので、いつのまにかポイントがどっさり貯まっています。

貯まったポイントをSuicaにチャージすれば、電車に乗るもよし、買い物するもよし、びゅう商品券に換えるもよし。使い道はいろいろあります。

Google Pay

Google Payは、Googleが世界で広めているAndroidのスマホを使った決済手段。世界では続々と開始されていますが、日本では楽天Edyに対応してサービスを開始(2016年12月)。2017年にはnanacoにも対応しました。さらに、この5月にはSuicaWAONにも対応して使い勝手がグンとよくなりました。

また、ポイントサービスとしては、Tポイント、dポイントなどと連携しています。それらをアプリで管理するシテスムで、履歴やポイントの残高が「ホーム」で確認できるようになりました。チャージができる「カード」というタブも加わりました。まだ、クレジットカードを登録して買い物ができるようにはなっていませんが、公式サイトでは「この夏以降対応予定」と発表しています。おサイフケータイの進化形ですが、今後の発展が大いに気になります。

VisapayWave

国際ブランドのVisaが提供する決済サービス。こちらは買い物専用。非接触ICを使うのはApple Payと同じですが、規格はApple Payが日本独自のFeliCaに対応しているのに対して、Visaは世界標準タイプA/Bが使われていて、世界各国で利用できます。

2020年の東京オリンピックに訪れる外国人の多くが、この規格のクレジットカードを使っているため、端末もそれに応じたものが必要とされます。それに対応した機種といえるでしょう。すでに、マクドナルドに設置されています。今後は、目にする機会も増えるでしょう。

QRコード決済の主なサービス

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Image: ArchOnez/Shutterstock

楽天ペイ

楽天ペイは、楽天の決済ツール全体の呼称ですが、単独でQRコードを読み取るときの機能を指すこともあります。スマホアプリで表示させたバーコード、QRコードを店の人がスキャン。さらに、店のQRコードをスマホでスキャンする場合もあります。

いずれにしろ、楽天IDに登録したクレジットカードで代金を支払う方式です。ポイントは、楽天スーパーポイントが0.5%。加盟店はローソン、 AOKI、ワタミグループ、チムニーグループ(花の舞)など。

LINE Pay

LINE Payは、アプリのコード画面を店の人がスキャンして決済します。代金は銀行口座(メガバンク、ゆうちょ銀行、地銀)から事前にチャージした残高の中から引き落とされる方式

元々、メッセージアプリなので、会員同士なら送金もできるし割勘もOK。セブン銀行のATMやファミリーマートのファミポート、ローソンのレジからは現金でチャージもできます。銀行口座からのオートチャージも可能。加盟店はローソン、ツルハドラッグ、ココカラファインなど。

Origami Pay

Origami Payは、店が用意するQRコードをスキャンして決済します。代金は紐付けたクレジットカードから支払います。銀行口座からの引落しにも対応しています。

加盟店はケンタッキーフライドチキン、ワタミグループなど。お店ごとにさまざまなキャンペーンもあり、ブッシュ型のメールで知らせてくれます。

d払い

dポイント加盟店を中心に4月からサービスを開始したd払い。スマホアプリで表示させたバーコードやQRコードを店の人がスキャン。NTTドコモを利用していなくても支払えます

決済方法は、ドコモ電話料金との合算払いか、クレジットカード(VISA、MasterCard)、ドコモ口座。ポイントはdポイントが0.5%付きます。加盟店は、高島屋、ツルハドラッグ、ユナイテッドアローズ、ワタミなど。


2つのスマホ決済方法をご紹介しましたが、上手な使い方としては、まず最初に自分のスマホの機種に合わせて、iPhoneならApple Pay、AndroidならGoogle Payをそれぞれ選び、それから好みのQRコード決済を入れて使えばよいでしょう。

そうすることで、1台のスマホが2倍、3倍にもなってお得に活用できるようになります。

※各サービスのポイント還元率や加盟店は、リアルショップ利用時の情報を基にしています。ネットショップの利用時と異なる場合がありますので、詳細は各サービスの公式サイトをご確認ください。

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Image: Abscent , Jamesbin , ArchOnez/Shutterstock

Source: Apple Pay , Suica , ビューカード , JREポイント , Google Pay , VisapayWave , 楽天ペイ , LINE Pay , Origami Pay , d払い