ネットサービス

オープンソースソフトの公開時にどのライセンスを選べばいいかわかるガイド「Choose a License」


ソースコードが公開されるオープンソースソフトウェア(OSS)が、他人の創作意欲をかきたてたり、新たな創作物の基礎となったりすることはよくあるもので、OSSはソフトウェアの発展にとって極めて重要なものです。OSSの公開には、ソースコードの利用範囲を指定できる「ライセンス」表記を作者が付与できますが、一体どのライセンスを選べばよいのかわかりにくいものです。OSSを公開するプログラマーが自分の望むライセンスを選べるように、目的に応じたライセンスを探すことのできるガイドページ「Choose a License」が公開されています。

Choose an open source license | Choose a License
https://choosealicense.com/


上記ページを開くと、目的にあったライセンスの概要にアクセス可能です。

◆ごくシンプルに自由利用を認めたいとき
自分のソースコードを広く提供し、自由に利用してもらいたいという場合は「MIT License」が最適だとのこと。


MIT Licenseでは、私的利用が認められるだけでなく、「OSS作者の名義を表示する(著作権表示)」という条件下で商用利用、再配布、改変が許されています。OSSの利用行為について作者は一切の責任を負わないという利点もあります。MIT Licenseを使うソフトには、Babel.NET CoreRailsなどがあります。

MIT License | Choose a License


◆特許の懸念があるとき
OSSを自由に利用してもらいたい場合でかつOSSに作者が自ら持つ特許が利用されている場合には「Apache License 2.0」がおすすめです。


著作権表示を条件に自由な二次利用を認める点でMIT Licenseと同じApache License 2.0ですが、OSSの中に含まれる作者の特許技術についても、OSS利用者に特許利用を許諾するという点で異なります。Apache License 2.0を利用するソフトには、KubernetesPDF.jsSwiftがあります。

Apache License 2.0 | Choose a License


◆シェアによる改善を期待するとき
公開したOSSは、誰もが利用・改変・再頒布できることで自由に流通させたい場合、著作権を保持しつつ、二次利用で改変や再頒布を認める「コピーレフト」形態としての「GNU GPLv3」ライセンスが適しています。


二次利用にあたって認められる内容はApache License 2.0と同様ですが、二次利用するソフトにも「コピーし変更できる自由を認める」という条件が引き継がれます。GNU GPLv3を利用するソフトには、AnsibleBashGIMPがあります。


◆ソフトウェアではないとき
ソフトウェアでないものにも、オープンソースライセンスは用意されています。


・データ、メディア
条件なく自由な利用を認める「CC0-1.0」や著作権表示や変更点の明示を求める「CC-BY-4.0」、同じ内容のライセンスの引継ぎまで求める「CC-BY-SA-4.0」などがあります。

・ソフトウェアドキュメンテーション
ソフトに付随する文書の「ソフトウェアドキュメンテーション」は上記のデータ・メディアと同様。ただし、ソフトウェアドキュメンテーションではソースコードの例は、ソフトウェアのライセンスに基づいてのみ利用できる点には注意が必要です。

・フォント
フォントについては他の作品での自由な利用を認めるライセンス「SIL Open Font License 1.1」があります。

Non-Software Licenses | Choose a License
https://choosealicense.com/non-software/


◆ライセンスを選びたくないとき
そもそもライセンス選択をしたくないという場合、「なにもしない」というのもアリです。


ただし、ソフトウェアのコードを含めて著作物は生み出されると同時に著作権が発生するものなので、ライセンスを表記することなく公開した場合、権利者からの訴訟リスクをおそれて、その作品を他人が自由に複製したり、改変したり、再頒布したりすることができない状態になります。「ライセンスをつけない」という行為は、「コードの再利用を一切禁止する」という意図しない結果を招くことがあるのには注意が必要です。

なお、GitHubのようなリポジトリ公開サービスでは、サービス利用規約に他人がフォークするのに同意したことになるという内容が含まれているため、ライセンス明示なしでもOSSとして世に提供することは可能です。また、仮に著作権による制限を完全に取り去りたいという場合は「パブリックドメイン」として提供するのも手です。

◆その他の選択肢
上記ライセンス形式以外にも、「GNU AGPLv3」「GNU LGPLv3」「Mozilla Public License 2.0」などについて以下のページでまとめられています。

Licenses | Choose a License
https://choosealicense.com/licenses/

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「オープンソースとは何なのか?」をレゴでわかりやすく説明したムービー - GIGAZINE

オープンソースのプロジェクトを成功させるために避けるべき12のこと - GIGAZINE

チャットのオープンソースプロトコル「XMPP」はなぜ普及しないのか? - GIGAZINE

GoogleがオープンソースのAndroidから利益を生み出すカラクリとは? - GIGAZINE

Googleのオープンソース機械学習システム「TensorFlow」はどのように活用されているのか? - GIGAZINE

EUの著作権保護目的の監視システム導入案にGitHubが苦言 - GIGAZINE

オープンソースソフトウェアの老舗サイト「SourceForge」はいかにして堕ちていったのか - GIGAZINE

in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.