Steamがプラットフォーム側のコンテンツ規制を限りなくゼロに、「違法でない限り」あらゆるジャンルのゲームが配信可能に

ゲーム配信プラットフォームの「Steam」を運営するValveが、「違法または明らかな煽り」でない限り、あらゆる種類のゲームおよびコンテンツをSteam上で配信する方針に決めたことを公式ブログ上で明かしています。

Steam Blog :: Who Gets To Be On The Steam Store?
https://steamcommunity.com/games/593110/announcements/detail/1666776116200553082

Valve says it will stop policing content on Steam - Polygon
https://www.polygon.com/2018/6/6/17435260/steam-visual-novels-adult-violent-games

2018年5月、Steamはアダルトビジュアルノベルを配信するデベロッパー向けに「アダルトコンテンツを排除しない限りプラットフォーム上からゲームを削除する」と警告し大きな話題となりました。それまでにもSteamでは「アダルトコンテンツもしくはそれに類するもの」と判断されたゲームや、「アメリカで起きた学校銃乱射事件を想起させるもの」と判断されたゲームが削除されるケースがありました。日本の同人ゲームパブリッシャーがリリースを予定していたミステリーノベル「いえのかぎ」が削除され話題となるなど、一部ではSteamのポリシーのあいまいさを問題視する声が挙がっていました。

そんな中、Steamは2018年6月6日に公式ブログを更新し、「違法または明らかな煽り」でない限り、あらゆる種類のゲームおよびコンテンツをSteam上で配信する方針に決めたことを明かしています。これは長らく指摘されてきた「ゲーム内の性的搾取表現に対するポリシー厳格化の要求」に対する一種の答えといえます。

by Glenn Carstens-Peters

Steamはアダルトビジュアルノベルや学校銃乱射事件シミュレーターのような一部のユーザーが嫌悪感を示すようなコンテンツも、「ユーザーがプレイする権利」や「開発者が作成する権利」はあるはずだという単純な理念から、規制せずにプラットフォーム上で配信することを決めています。ただし、これらはValveの価値観を反映するものではなく、Steamの運営側にもユーザー同様不快に感じてる人がいる可能性は十分にあると記しています。しかし、そういったコンテンツを闇雲に規制するべきではないというのがSteamの見つけた答えというわけです。ただし、Steamを利用するユーザーが配信されているゲームを見て不快に感じることがないように、ゲームをフィルタリングするために役立つ新しいツールをリリースする予定であることも明かしています。

Steamを運営するValveは、「Valveが何を配信すべきかを決めるべきではありません。我々はゲーマーのために、どのゲームがプレイでき、どのゲームがプレイできないかを選ぶべきではないのです。我々は開発者のために、どのようなコンテンツなら作ることが許されるかを決めるべきではないのです。我々の役割はシステムを提供し、プレイヤーや開発者が『どのゲームをプレイするか』や『どんなゲームを作るか』という決断を行う際に役立つツールを提供し、ユーザーが快適に過ごせるよう手助けすることです」と記しており、プラットフォーム側がコンテンツを規制するこれまでのやり方が間違ったものであったとしています。

by Caspar Rubin

もちろんいくつかの規定は存在しており、Valveのエリック・ジョンソン氏によると国により法律は異なってくるため敏感な題材を扱う開発者はValveと協力して地域ごとのガイドラインに抵触しないようにする必要があるとのこと。

また、Steamが明かした「新しいフィルタリングツール」が公開されるまで、現在公開が保留になっている「一部のユーザーが不快に感じる可能性のあるジャンルのコンテンツ」はSteam上で大々的に押し出されることはないとのこと。ジョンソン氏はフィルタリングツールの開発は近いうちにスタートするとしていますが、明確な公開日程などは明かしていません。