ロボットが家事を全部やってくれるドリームライフ、まだ?
家電の進化でちょっとずつラクになっているものの、家事はまだまだ人間の仕事です。しかし、ロボットがやってくれるようになる日もそう遠くはないかもしれません。というのも、家事のデータベースとシミュレーション動画を使って、ロボットに家事の仕方を教えようとする研究があるのです。
MITコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)、トロント大学、マギル大学、そしてリュブリャナ大学の研究者たちは、コンピューターにビデオ教材を見せることで、あらゆる家事の仕方を教えるメソッド「VirtualHome」についての論文を発表。MITのプレスリリースによれば、「VirtualHomeとは、細かな家事タスクのシミュレーションを行なうことができ、それらを人工の“バーチャルエージェント”に実行させるシステムで、いつかロボットたちにそういったタスクの仕方を教える可能性を開くでしょう」とのこと。
VirtualHomeには1つの家事に対して何通りものやり方(プログラム)を説明する家事のナレッジベースがあり、ナレッジが有するプログラム(3000近くある)をバーチャルなキャラクターが実演する3D動画が生成されます。その動画を見たAIは見たことをそっくりそのまま、つまりプログラムが実演する家事に伴う行動すべてをマネするという流れ。
研究者たちが制作した動画内のセットはリビングルームに台所、ダイニング、寝室、そして仕事部屋も付いた家具付きの住宅で、シミュレーションゲームの『ザ・シムズ』に出てくる家にソックリです。動画を見た人工的エージェントは、その中で実演された家事を行なおうと試みます。研究チームのバーチャルエージェントはこれまでに、およそ1000の動作を実行することに成功したとか。
MIT CSAILのAdam Conner-Simons氏によれば、新しい技術の習得は「そのタスクが、理解できるステップの連続でプログラムとして説明されているかぎり」もちろん可能とのこと。
テレビをつけるという動作は人間にとっては理解しやすいものですが、この単純な命令はロボットがそのタスクを実行するため必要だと思われる指示に欠けるものです。電源ボタンを押さないかぎりテレビをつけることはできませんし、電源ボタンの前にいなければそれを押すことはできません。そして、ボタンの前まで歩いていかないかぎり、ボタンの前には立てません。そういうことです。
研究者たちは、ゆくゆくはこのようなシミュレーション動画の代わりに、YouTubeにあるような現実の説明ビデオを見せるだけで、タスクのやり方をロボットたちに訓練したいと願っています。
現実世界への適用についてConner-Simonsに質問した際に、キンキンに冷えたビールを開けるのを手伝ってくれるロボットを提案したというAustin記者。同氏に「それはチームが元々、計画した使用例ではない」と言われてしまいました。しかし、家庭用品を動かす能力は役に立つスキル。Conner-Simonsは「このようなシステムが、高齢者や障碍者など運動能力が限られている人々にとって重要なかかわりを持ち得ると想定している」と答えたとか。
家事をする気力が限られている怠け者のことも想定してほしいなぁ。
Image: MIT CSAIL
Video: YouTube
Source: MIT News, Virtual Home
Patrick Lucas Austin - Gizmodo US[原文]
(たもり)