「私は英語が話せます」を英語でいってみましょう

uroak_miku @Uroak_Miku

本日、姫様に対処していただくのは「can」論です。これと「～れる」の比較をお願いしたい。

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「～れる」の用法は、基本的にふたつ。 ①私は英語が話せる。 ②このキノコは食べられる。 ①は「私」の能力のことで、②は「キノコ」の性質のこと。これが違い。

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ところで「見える」というのがあるけど、これは①でも②でもありません。①と②は日本語文法（外国人用の文法）では「可能形」と呼ばれていて、「見える」や「思われる」は「自発形」と分類されています。

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①も②も、結局はひとが何か積極的に行動に出てナンボなわけです。「歩ける」なら「歩こう」という意思があるし、「食べられる」ならやはり「食べてみたい」という意思が裏側に感じられる。しかし「見える」や「思われる」は、そういう意思と無関係に、ひとの感覚を刺激してくるメカニズムだから。

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一方で「can」は 　① I can walk.（歩くぐらいできるさ） 　② I can enter the room.（私は入室OKだから） 　③ I can make a mistake.（私でもミスはするよ） 　④ I can help you.（手伝いましょうか） が基本四パターンなのです。

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先の 　私は英語が話せる は、①～④のどれにもなじまない。①解釈だと「英語くらい話せるさ」だし、②だと「私は英語話してもOKってことになってるから」、③だと「私でも英語はできないわけではないよ」で、④は「英語で話してもいいです」で、それもおかしくなる。

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正解は 　I speak English. です。

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直訳すると「私は英語を話す」なのですが、英語では動詞（の現在形）は「普段から」のニュアンスがあるのです。だから 　I speak English. なら 　私は普段から英語を話す だから 　私は英語が話せる と述べているわけです。

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こんな風に、日本語と英語のチャンネルを、頭の中でカチャッと切り替えできるように生徒さんを導いていくのがコツなのですが

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「can」を教えるとき、めんどくさいので「～できる」と黒板に書いてしまうんですね英語の先生方は。

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この「～できる」というのは、どうも明治以後に正規採用されたもののようです。英語の書物を大量に、手際よく和訳しないといけない時代になって、それで「can」とあったら「できる」に置きかえてしまえ！と簡略化メソッドが編み出された。

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このメソッド、英語→和語には効果絶大だったのだけど、この反対には効果が薄かった。

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先の 　① I can walk.（歩くぐらいできるさ） 　② I can enter the room.（私は入室OKだから） 　③ I can make a mistake.（私でもミスはするよ） 　④ I can help you.（手伝いましょうか） のうち③を除けば「can→できる」変換でそれなりに和訳できてしまう。

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しかし 　手伝いましょうか を 　I can help you. と変換はできない、このメソッドでは。

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明治以降、私たちは英語→和語への変換ソフトの開発には熱心で、このソフトを「国語」と名づけ、そして出力される言語を和語と溶け合わせて「日本語」に進化させていったわけです。

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そのおかげで英語→日本語への変換は比較的スムーズにできるようになった。このソフトを会得するにあたって生まれた鬼子が「あなたはジャックですか」「いいえベティです」に典型される「ジャック＆ベティ語」でしたが。

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英語→日本語はなんとかなっても、英語←日本語がうまく働かない、そういう翻訳ソフトを、私たちは学校の授業でインストールされる。

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そのせいで 　私は英語が話せる を 　私ハ英語ヲ話スコトガデキル と脳内アセンブルして 　I can speak English.（英語ぐらい話せるわ） などというアサッテな英文を出力してしまうわけです。

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「日本人の英語」がこうして生まれてくる。

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このおぞましき翻訳ソフトの刷り込みにメスをいれないかぎり、小学校英語の正規教科化ごときではニホンジンの英語嫌いを解消はできないと考えます。

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とりあえず論はここまで。

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