今年で60周年。2018年のおもちゃ大賞をとった野球盤の「新しさ」って? #東京おもちゃショー2018

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今年で60周年。2018年のおもちゃ大賞をとった野球盤の「新しさ」って? #東京おもちゃショー2018
Photo: ギズモード・ジャパン

消える魔球とか言ってる場合じゃない。

2018年のおもちゃ大賞ボーイズ・トイ部門では、「野球盤3Dエース モンスターコントロール」が大賞を受賞しました。野球盤といえばエポック社が1958年から手がけてきた歴史的なボードゲームで、今年でちょうどシリーズ60周年を迎えます。還暦!

この野球盤3Dエース モンスターコントロールは、記念すべき60周年のモデルチェンジ商品。でも、2018年でもおもちゃ大賞をとるほどベストセラーな野球盤は、いったい何が新しいのでしょう? 東京おもちゃショー2018のエポック社ブースにお邪魔して実機を見てきました。

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Photo: ギズモード・ジャパン

今年の野球盤には、3つの新機能が追加されています。ピッチャーが球をストラックアウトのように9方向へ投げ分ける「3Dコントロールピッチング機能」、バットを振る高さを調整できる「3Dスラッガー機能」、そして球速とボールコースを表示する「スピードガン電光掲示板」です。

要素だけ聞いてみると「なーるほどね」という感じがするかもしれません。が、野球盤は野球をシミュレートしたボードゲームですから、球を投げて打つというアナログの体験がなによりの美味み。60年続く美味みを残しつつ、現代風なアレンジを加えています。

たとえば投球コースを変える「3Dコントロールピッチング機能」は、ピッチャー側が手元のレバーを操作して球が飛ぶ方向、高さを調整します。「3Dスラッガー機能」も同様に、バッターは手元のレバーで高さを調整。そう、すべての仕組みはアナログなんです。

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Photo: ギズモード・ジャパン

こうした手元で物理を操作するという感覚は、野球盤のフィロソフィーな気がしますし、顔を突き合わせて遊ぶ面白さにも繋がっていると感じました。昔は球を転がして打つだけだった野球盤も、2015年にバッターが球を打ち上げられるようになり、ピッチャーも放物線を投げれるようになり。60周年ではリアルな投げ分けを取り入れることで、より複雑な心理戦やゲームを通してのコミュニケーションが楽しめるようアップデートされたのです。

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Photo: ギズモード・ジャパン

で、それらの体験を良い感じに増幅させてくれてるのが、「スピードガン電光掲示板」です。球速表示はリアルな臨場感を演出してくれますし、コース表示は戦略的なヒントになります。コースを表示する仕組みは、ピッチャーが投げたときのコース操作レバーの位置から導かれます。

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Photo: ギズモード・ジャパン
掲示板パーツの底部には赤外線センサーがついている。白い反射材の位置・形状から球のコースを読む

しかも、ピッチャーのレバーの位置を検知しているのは、掲示板パーツの底部に付いた赤外線センサーなんです。最近だとNintendo Laboでその応用っぷりが見直されたりしてますが、この赤外線センサーも投球コースをレバーで変更する方法も、技術的に新しいものではないですよね。でも、盛り込み方次第で体験は大きく変化するわけで、それを野球盤がやってくれたのがグっとくるというか。これはイノベーションというよりも、エモベーションです。

野球盤としてアナログな面白さをしっかり残しつつ、かつデジタルの力で進化もしつつ。そうした野球さながらのリアルな体験にフォーカスする姿勢が、おもちゃ大賞に輝いた要因なのかもしれません。実際に触ってみると、バットを振る感触やピッチングコースの調整がやっぱり面白かったです。これは読みあいもアツくなりそう。

「野球盤3Dエース モンスターコントロール」は、2018年6月9日(土)発売、価格は1万2000円。東京おもちゃショーでは、普段はあまりお目にかかれない歴代野球盤(レプリカ)も展示されています。

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Photo: ギズモード・ジャパン
1958年の初代野球盤レプリカ


Photo: ギズモード・ジャパン
Source: 東京おもちゃショー

ヤマダユウス型