街中や通勤電車で、バックパックを利用するビジネスマンを目にすることが多くなりました。ビジカジの普及や、多様なワーキングスタイルへの理解が後押しとなり、バックパックが許容されるシーンが確実に増えているからです。

でも、バックパックなら何でもいいという訳ではありません。そこで今回は、スタイリッシュで本当に使える仕事用バックパックを解説します。

仕事環境の変化が新しいスタイルを生み出す

たくさんの書類やデジタルデバイスを詰め込んで、移動しながら仕事をこなす現代のビジネスマンにとって、バックパックは心強い味方です。外出先や出張先でのメールチェックはもちろん、急な書類確認やタブレットを使っての商談はもはや当たり前。

これまで社内でしかできなかった業務が社外でも可能になり、フリーアドレスのオフィスが増えれば、バッグに求められる機能が変わってくるのは当然のこと。

スーツにバックパックなんて!という人も案外いる

スーツにはブリーフかアタッシェがお約束! という、年配層や女性層が多いことは確か。きっちりとした身なりを求められる業種の方や、正統派スーツスタイルを重んじる方にバックパックはおすすめしません。

仕事における服装の自由度が高い方やフリーランスなど、あくまで自己裁量でバックパックを活用しましょう。TPOをわきまえた大人のライフハッカー読者のみなさまに改めて申し上げるまでもありませんが…。

ちなみに、リュック(ドイツ語のrucksack=ルックザックが語源)は基本的にバックパックと同じ意味で、どちらも“背嚢”=背中に負う袋のことを指します。

ちなみにデイパックはその名のとおり、1日分の荷物を運ぶ簡易的な小型バックパックという意味で使われています。

仕事用にふさわしいバックパック選び五カ条

1. やっぱりカバン専業ブランドがいい

多くのファッションブランドがバックパックを発売していますが、そのほとんどがいわゆるOEMであって、独自の生産背景を有している訳ではありません。カバン作りを本業とする信頼できるブランドなら、無駄なブランドロゴやディテールを削ぎ落とした質実剛健かつ適正価格のバックパックが揃っています。

2. 選ぶべきは丈夫なナイロンの黒

ネイビーやオリーブなどのバリエーションがありますが、選ぶべき色はやはり黒の一択。靴との相性も考えると最も汎用性が高く、コーディネトをまとめやすいからです。素材は耐久性が高く、撥水加工を施したナイロンが基本。高密度に打ち込んだナイロンなら光沢感があり、さらに洗練された印象に。

3. シンプルなスクェア型デザイン

上部が半円状にカーブしたカマボコ型バックパックが一般的ですが、こうしたデザインはどうしてもカジュアル感が強く、ビジネスシーンには不向きです。そこで注目すべきは、四角いデザイン。外側に余計なポケットがないシンプルな箱型であれば、悪目立ちせず、いい意味で存在感を消してくれます。

4. デジタルガジェットを安全に収納

A4書類は当然のこと、13インチ以上のノートPC、タブレット、バッテリーなど、さまざまなデジタルガジェットまでひとまとめにできる収納力が肝心。現在の仕事用バックパックには緩衝材を入れたPCスリーブが必須。多少手荒に扱ったとしてもダメージが少ない、360°プロテクション構造だと万全です。

5. 薄マチで型崩れしにくい構造

バックパックがだらしなく見えてしまう原因のひとつは、荷物の重みで変形し、不要なシワが入ってしまうこと。カジュアルであれば問題ないのですが、スーツやジャケットに合わせると大きな違和感が生まれてしまいます。今回紹介するバックパックは、いずれも薄マチで箱型を維持するように作られています。

Appleも認めた! コスパ最強の薄マチ:Incase “City Collection Compact Backpack Ⅱ”

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Photo: 竹内泰久

アメリカ・サンフランシスコで1997年に創業した“インケース”。Appleユーザーに向けたバッグを手がけ、公式ストアでも取り扱われています。こちらは削ぎ落としたデザインが都会的なコンパクトモデル。

摩耗に強いリップストップのポリエステル素材を採用。メインコンパートメントにはMacbook Pro15インチがぴったり収納できるPCスリーブを、トップパネルにはiPhoneなどスマホの収納に適したポケットを配置。その内部には起毛したフリースを採用し、衝撃を和らげるとともにスムーズな出し入れが可能に。

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Photo: 竹内泰久

クッション材をあしらった360°プロテクション構造と相まって、デジタルガジェットを安全に持ち運ぶことができます。

荷物をたくさん詰めて重くなっても、薄くパッドを入れたショルダーストラップとトップハンドルのおかげで、局部的な負担を軽減。前面に配した2本のプリーツの上側のジッパーを開くと、ペンやカードケースなどの小物を仕分けできるオーガナイザーポケットも装備し、まさに至れり尽くせり。

そしてこの価格は驚異的! Macユーザーはもちろん、ビジネス用バックパック初心者におすすめです。

シティ コレクション コンパクト バックパック(縦46cm×横33cm×マチ11cm])1万5000円/インケース

一泊二日の出張にも対応する大容量3WAY:BACH “Gateway 20”

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Photo: 竹内泰久

現在はスイスを拠点とし、ヨーロッパを中心に展開しているバッグ専業ブランドの“バッハ”。感度の高いセレクトショップなどで取り扱われ、日本でも人気急上昇中です。

現在はアジア生産ですが、そのルーツは1979年にアイルランドで設立されたバッグ会社。それまで培ってきた高い機能性と、無駄のないデザインが人気の秘密。

こちらのモデルは、ボディ本体にぐるりと緩衝材を入れた360°プロテクション構造の3WAYモデル。素材には強度に優れたコーデュラナイロンを、ジッパーには壊れにくいYKK製を採用。

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Photo: 竹内泰久

メインコンパートメントには15インチまでのPCに対応する緩衝材入りスリーブを装備し、トップパネルのジッパーを開閉するだけでもアクセス可能。

フロントには、頻繁に出し入れするスマホや名刺ケースなどの収納に適した、2つのジップポケットを配置。ショルダーストラップを内部にしまって、ハンドルを使えば横型のブリーフケースに、付属ストラップを使えばショルダーバッグになる3WAY構造。

背面にはキャリーケースのハンドルを通すことができるスリーブも装備しているので、海外出張にも活躍します。

BACH “Gateway 20”(縦45cm×横32cm×マチ16cm)1万9000円/バッハ

薄マチでも自立し、スーツにも合わせやすい:PORTER “Porter Time Daypack”

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Photo: 竹内泰久

日本を代表するバッグ専業ブランドである“ポーター”。こちらでもビジネスに最適なバックパックを発見。あえて2WAYや3WAYにせず、タテ型での使用にこだわったスクウェア型モデルで、薄マチながら自立するように設計されています。

シルクのような上品な光沢を放つ、オリジナルのコーデュラ®ナイロンツイル素材が、他との違いを主張します。表面に施したテフロン®ファブリックプロテクター加工によって優れた撥水性と防汚性を発揮し、裏面に施したPVC加工により内装への水の侵入を最小限に留めてくれます。

フロントポケットは上下に分割され、ペンケースや名刺入れなど、すぐに取り出したい小物の収納に便利な内装ポケットを装備。マット加工を施したセミオートマチックスライダーは、引き手を下げるとロックされる特殊仕様で、バタつかないようになっています。

上部のレザーハンドルは掴んだときの肌触りがよく、上品なツイル素材と相まって大人の雰囲気に。2つのポケットを備えた収納部は、13インチPCとタブレットを同時に持ち運べ、A4書類もスッキリ収納。また、メインコンパートメントの両サイドにドリンクホルダーをあしらい、ペットボトルや折りたたみ傘の収納も安心。

ポーター タイム デイパック(縦41cm×横28.5cm×マチ11cm)2万8000円/ポーター

じわじわ人気急上昇中! 英国発のニューカマー:C6 “Square Backpack”

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Photo: 竹内泰久

日本国内での知名度はまだそれほど高くないのですが、ファッション関係者やガジェット好きからネクストブレイクを予感させるバックブランドとして注目されているのが、英国発のC6(シーシックス)です。

2012年スタートの新鋭ですが、ノートPCをはじめ、さまざまなデジタルデバイスを駆使する現代人のためのバッグを数多く輩出。こちらは横長のブリーフとしても使える2WAYモデル。

ボディにはコーデュラ社のバリスティックナイロンを採用し、外側からポケットなどが極力見えないデザインにまとめています。

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Photo: 竹内泰久

メインコンパートメントはシンプルな作りで、背面側のサブコンパートメントにノートPC用スリーブを配した2層構造。サブコンパートメントにはストレッチ性のあるメッシュポケットを多数あしらい、アダプターやバッテリーやケーブルなどを小分けにして収納できます。

フロントにあしらったテープに沿って配置したポケットは、それぞれ3方向で独立した小物ポケットになっています。ハンドルを取り出せば、横長ブリーフとしても使えるので、大事な打ち合わせやプレゼンでも臆することはありません。

スクウェア バックパック (縦46cm×横28cm×マチ12cm)2万8000円/シーシックス

仕事バックパックをスマートに楽しむ作法も忘れずに

とっておきの仕事用バックパックを手にしているのに、残念に見えてしまうビジネスマンが多いので、ここで改めて注意喚起を。

まずNGなのは、ショルダーストラップを長くして、本体を腰位置まで下げてしまうこと。だらしない上に、頭が悪そうに見えるので絶対やめましょう。

それから、混雑した電車内では必ずバックパックを身体の前に抱えること。いい歳こいた大人が、マナーも守れないようでは情けない限り。周囲への気遣いができてこそ、バックパックの利点を最大限に引き上げてくれるのです。

Photo: 竹内泰久

styling: 安部武弘

Source: Incase, BACH, ポーター, C6