乗り物

SpaceXの巨大ロケット「Falcon Heavy」の初商用打ち上げは2018年末あたりになる見通し

By Official SpaceX Photos

アメリカ時間の2018年2月6日にフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた最強ロケット「Falcon Heavy」が実際に人工衛星をのせて商用打ち上げを実施するタイミングが明らかになってきました。初のカスタマーとなるのはサウジアラビアのアラブ衛星通信機構「Arabsat」で、打ち上げ時期は2018年末から2019年初頭にかけての時期になる見込みです。

Arabsat Falcon Heavy mission slated for December-January timeframe - SpaceNews.com
http://spacenews.com/arabsat-falcon-heavy-mission-slated-for-december-january-timeframe/

この情報は、Arabsatが宇宙関連メディアのSpaceNews.comに対して明らかにしたもので、通信衛星「アラブサット6A」の打ち上げ時期は2018年12月から2019年1月のどこかで実施されると回答したとのことです。先述のとおり、この打ち上げが無事に実施されればFalcon Heavyロケットにとって初の商業打ち上げとなります。しかしこれは「Falcon Heavyの二度目の打ち上げ」になるというわけではありません。

その理由は、アラブサット6Aの打ち上げまでの間に、アメリカ空軍による「STP-2」と名付けられた技術デモンストレーションのミッションが予定されているため。空軍で人工衛星の運行や大陸間弾道ミサイルなど宇宙関連の作戦を行うAir Force Space Command(空軍宇宙軍団)の広報担当者は、SpaceNewsに対し、STP-2ミッションは2018年10月に予定されていると明らかにしています。当初この打ち上げは2018年6月中が予定されていましたが、広報担当者によると「SpaceX内の評価試験と、SpaceXと空軍の双方による技術レビューの結果」として延期されているとのこと。

By Official SpaceX Photos

Falcon 9ロケットを3本束ねた形のFalcon Heavyは2018年2月、ダミーのペイロード(貨物)としてイーロン・マスク氏所有の「テスラ ロードスター」を搭載して打ち上げられました。ロードスターと、その運転席に座る人形「スターマン」は打ち上げ後に無事分離され、実際に火星を目指して長い旅にでています。しかし、打ち上げがうまくいきすぎて(?)スピードがつきすぎたために、実際には火星を少しオーバーシュートしてしまう軌道に乗ったと考えられています。

By Official SpaceX Photos

ついに実施される運びとなったFalcon Heavyの商業ミッションですが、STP-2とアラブサット6Aに続く次の打ち上げ予定は不明とのこと。SpaceXは他の大口顧客であるIntelsatやViasat、Inmarsatなどとの間に打ち上げに関する合意を有していますが、いずれの企業もFalcon Heavyを使った打ち上げについては実施する意向を示していないためです。

Viasatの通信衛星「ViaSat-2」とInmarsatの「European Aviation Network」衛星は当初、2016年6月に予定されていたFalcon Heavyの打ち上げで宇宙に運ばれる予定でしたが、開発が遅れたために計画を変更して2017年6月にArianespaceのロケット「アリアン5」によって打ち上げられています。

InmarsatやIntelsatは依然としてFalcon Heavyを使った打ち上げのオプションを保有しているとしていますが、実際に実施するかどうかについては明らかにされていません。せっかくの新型ロケットも、実際に打ち上げる貨物がないと「宝の持ち腐れ」になってしまうわけですが、Falcon HeavyはFalcon 9ロケットを3本束ねた状態のロケットといえるため、SpaceXにとって経済的な損失は最小限に抑えられることになりそうなのは同社にとって安心材料といえるのかも。


SpaceXは今後の予定について、Falcon 9ロケットの打ち上げを最大で300回実施して2023年ごろまでに引退させることを発表しています。その後は、火星への有人飛行をも視野に入れた超巨大ロケット「BFR(Big Fuckin' Rocket」の運用が予定されています。

東京~ハワイを30分で結ぶことも可能なスペースXの新型巨大ロケット「BFR」とは? - GIGAZINE

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
SpaceXの巨大ロケット「Falcon Heavy」を起き上がらせて発射台にセットする様子が公開中、2018年1月中に試験打ち上げを実施予定 - GIGAZINE

SpaceXの超大型ロケット「Falcon Heavy」に強力なエンジンではなく27基の小型エンジンを搭載した理由とは - GIGAZINE

SpaceXのロケットで宇宙を旅するスターマンは「スピード違反」で目的地の火星を通り過ぎてしまうことが判明 - GIGAZINE

Falcon Heavyロケットと火星を目指す「スターマン」をWestworldのクリエイターが描いたショートムービーが公開される - GIGAZINE

失敗してもへこたれず成功するまで諦めない大切さがわかるSpaceXのロケット着陸失敗まとめムービー - GIGAZINE

in ハードウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.