「大人になってから第2言語を流暢に使えるようになるのは不可能だ」という昔からの通説があります。そして最近では、同様のことを主張する新しい研究がメディアで盛んに取り上げられています。外国語を流暢に使えるようになるのは18歳ごろまでだと言うのです。でも、そんなことはありません。

流暢に話すの定義とは?

話を整理するために、「流暢」とは何かを定義する必要があります。辞書を引くと「流暢」とは、「外国語で容易かつ明確に話したり、書いたり、自分を表現したりできること」とあります。つまり、ネイティブスピーカーを相手に、双方が大きなストレスを感じることなくコミュニケーションを取れるくらい、十分な語学を身につけることができるかという問題になります。

これはもちろん大変なことではありますが、19歳どころか、58歳の人だって不可能ではありません。ネイティブのような文法的流暢さで「ネイティブスピーカーと同等」であることと、非常に基本的な「流暢さ」は異なります。その点が混同されているため、この通説がずっと生き続けているのです。

エセックス大学言語学教授のMonika Schmid氏は、学術誌『Cognition』に発表された研究が、「fluency(流暢さ)」や「fluent(流暢な)」という単語を一切使っていないことを指摘しています。なぜでしょうか。それは、この研究が「流暢さ」を追究するものではないからです。

この研究は、人が「ある言語の文法」という複雑なものを、ネイティブスピーカーと同じレベルまで習得するには、「臨界期(何かを学習するために最適の時期)」があるのかどうかを明らかにしようとしたものです。そしてその結果は、ジョージタウン大学神経学教授で言語習得を専門に研究するElissa Newport氏によると、研究に使われた方法のせいで、せいぜいが「はっきりしたことは言えない」というものなのだそうです。さらにNewport氏は、ほとんどの言語は、年齢に関係なく約5年で習得することができると述べています。

年齢よりモチベーションや環境が重要

もちろん、年を取るにつれて語学を身につけるのは大変になりますが、それは、語学習得のための特別な時期を逃してしまったからではありません。それよりも、学習者の環境に関係があるようです。たとえば、徐々に認知機能や記憶力が衰えてくるとか、仕事や家族に時間を取られて勉強する時間が昔より少ないとか、突き進むためのやる気が不足しているといったことです。

普通は、大人になってから第2言語を学ばなければならない状況はあまりありません。学校には行っていないし、仕事でもたぶん必要ないでしょう。ですから、言語習得は、ときどき時間を割く趣味のようなものになるわけです。

40代になってから新たな言語を身につける場合、ネイティブスピーカーのように話せるようになるかといえば、おそらく無理でしょう。でも、一生懸命やれば、基本的な意味で流暢になることは可能です。

つまり、今からはじめれば、誰だって話せるようになるってことです。

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Image: Monkey Business Images/Shutterstock.com

Source: Science Direct, Quartz, Scientific American

Patrick Allan - Lifehacker US[原文