映画『ブラックパンサー』の舞台裏は、恐るべきVFX技術の数々が支えていた(動画あり)

映画『ブラックパンサー』のデジタル配信が日本でも始まった。この作品のありとあらゆる場面にはコンピューターを駆使したVFX(視覚効果)が使われているが、なかでもデジタル版の替え玉俳優である「デジタルダブル」による手法は圧巻だ。10以上もの視覚効果(VFX)スタジオが協力したという名場面の数々から、特徴的なシーンを動画とともに紹介する。
映画『ブラックパンサー』の舞台裏は、恐るべきVFX技術の数々が支えていた(動画あり)

VIDEO COURTESY OF WIRED US(字幕は英語のみ。画面右下の「CC」ボタンで字幕のオン/オフが可能)

映画ブラックパンサー』を見終わってエンドロールが流れてくると、主人公ティ・チャラが生きる世界に命を吹き込むために、どれだけ多くの人がかかわったかがわかる。キネティックエネルギーを活用するスーツから、ワカンダの武器の数々まで、マーベルの大作映画には素晴らしいヴィジュアルが詰まっている。

映画制作に協力した10以上の視覚効果(VFX)スタジオのひとつ、Method Studiosで視覚効果スーパーヴァイザーを務めるダリル・ソーチャックは、次のように語る。「素晴らしいことに、現在のわれわれが入手できるツールと技術、テクニックによって、想像できるものなら何でも本当につくり出すことができます」

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ワカンダにある素晴らしいツールやテクノロジーのうち、なんといってもいちばんクールなのは、ブラックパンサーと悪役キルモンガーのスーツだった。ソーチャックによると、ふたりがキャットスーツを着用しているシーンは元々、ほとんどはライヴアクションで撮影されることになっていた。CGIのヘルメットやエネルギー効果といった細かい部分は、あとで追加される予定だったそうだ。

デジタル版の替え玉俳優を駆使

しかし、アニメーターたちが実際に作業を始めたとき、リアルかつシームレスに見える編集が難しいという問題にぶつかった。そこで彼らは代わりに、フルボディのデジタルダブル(デジタル版の替え玉)をライヴアクションに統合することにした。

それで解決した問題もあるが、また別の問題も出てきた。ブラックパンサーの激しい戦闘シーンの多くは屋外を舞台にしている。そこで本作のために450カ所ものVFXショットを完成させたMethod Studiosのチームは、太陽の明るさや各キャラクターのどこに光が当たるかを常に計算しなければならなかった。それは緻密さを要する作業だったが、各ショットのリアリズムの追求には欠かせないことだった、とソーチャックは言う。

しかし、すべてのキャラクターを完全にデジタル化することで、制作サイドはコスチュームに細工を施し、アップデートする機会に恵まれた。戦闘シーンの振り付けのいくつかも改良し、その時点ですでに優れた戦士だったブラックパンサーを、さらに素晴らしい戦士にした。

「彼らはスーパーヒーローです」とソーチャックは話す。「彼らは普通の人間にできることを超えた、より大きくダイナミックなアクションをするはずです」

上の動画では、そのVFXマジックを説明している。


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作品レヴュー


TEXT BY WONBO WOO

TRANSLATION BY SATOMI FUJIWARA/GALILEO