広告会社に監視されてるみたいで怖い…。
アメリカでは、交通事故などで起こった人身傷害の際、弁護士を立てることもしばしば。アメリカのナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)が伝えるところによると、ケガで救急救命室にきた人のスマホに人身傷害専門の弁護士事務所の広告が現れているとのこと。なんとも都合のよい…。偶然?
NPRによると、とあるデジタルマーケティング会社が「geofences」と呼ばれるターゲティング広告を使用しました。これは、ある特定の小さなエリアに人が入ったときに広告を表示するようセッティングされているのだそう。その小さなエリアというのが、フェスとかコンサート会場で、今回のケースなら病院です。
病院の患者さんに向けてこういったターゲッティング広告を流すことは、違法ではありません。一応「医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律」を犯してはいないそうです。位置情報を利用した技術というのは結構使われていて、たとえばゲイのデートアプリGrindrでは今いる位置から一番近いHIVの検査センターを表示したり、Snapchatはその土地にあったステッカーをユーザーが使えたりします。また、携帯電話キャリアからこういったデータを受信する場合はユーザーからあらかじめ許可を得ないといけません。私たちユーザーは、結構気にせずに「許可」を押してることって多いですけどね。
また、こうして位置情報を使った健康に関する情報のターゲティング広告が行なわれたのは、実は初めてのケースではありません。2015年にボストンの広告会社が中絶クリニックの待合室にいる妊娠中の女性の位置情報を受信して「妊娠? お手伝いします」や「選択肢はあります」、「あなたはひとりじゃない」など、中絶以外の方法への情報にリンクしたキャッチコピーの広告を流していたことがありました。これについては、マサチューセッツ州検事当局がその広告会社の運営を停止させたという経緯があります。
今回の救急救命室の弁護士広告、これも停止命令が出ることになるんでしょうか。自分が検索していたなら、その広告が出て来るのはインターネット世代には慣れっこですが、さすがにその場所で状況を見られているような広告は怖いですよね。
Image: Elnur/Shutterstock.com
Source: NPR, the Attorney General of Massachusetts
Sidney Fussell - Gizmodo US[原文]
(岩田リョウコ)